先週の株式市場は、トランプ米大統領の言動に翻弄され乱高下が目立ちましたが、週末にかけて買い戻される底堅さも見せました。今週は日米で主力企業の決算発表が本格化する中、市場の関心は相場全体から、業績格差による個別銘柄の選別がより進むことになりそうです。
先週の振り返り:前半と後半で景色が変わる展開
先週末(2026年1月23日)の日経平均株価は5万3,846円で取引を終えました。前週末(1月16日)の終値(5万3,936円)からは90円安となり、週間ベースでは、わずかに3週ぶりの下落に転じています。
結果的に、単純な週末終値の比較だけで見ると、あまり動いていない印象ですが、あらためて日経平均の5分足チャートで1週間の値動きを確認すると、値幅(高値と安値の差)が結構大きかったことが分かります。
<図1>日経平均の5分足チャート(2026年1月19日~23日)
図1で具体的に見て行くと、先週1週間の高値は23日(金)の5万4,050円、安値は21日(水)の5万2,194円でしたので、週間の値幅は1,856円でした。また、「週前半の下落」と「週後半の持ち直し」によって、相場の景色がガラリと変わった1週間だったことが読み取れます。
こうした相場の流れを左右した主因は、グリーンランド領有をめぐるトランプ米大統領の動きです。
週の前半は、トランプ米大統領が米国のグリーンランド領有に反発する欧州8カ国に対し、追加関税の発動を示唆したことが地政学リスクとして意識され、日本株にも売りの流れが波及する展開となりました。
しかし、週の後半に入ると、トランプ米大統領が北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長との会談を経て、関税発動の見送りを表明したことで状況が一変し、市場に安心感が広がり、週末にかけての買い戻しの動きにつながりました。
また、日々の動向を見ても、株価の下落局面でも安値をつけた後に買い戻しが入る値動きが続き、「様子を見ながら」株価が下がって行ったことから、現在の日本株が意外と底堅かったことが確認できます。
「森」よりも「木」が意識される場面が増える?
続いて、株価材料や物色面からも先週の相場を振り返ってみます。
まず、東証33業種の業種別騰落率を確認すると、先週は上昇が15業種、下落が18業種と、全体としては下落業種がやや上回る結果となりました。
<図2>2026年1月23日時点の東証業種別の週間騰落率(2026年1月16日比)
相場全体を「森」として捉えた場合、さまざまな要因が複雑に絡み合い、業種ごとの明暗を分けました。具体的には、先ほど触れたトランプ氏の地政学的動向に加え、日中関係や国内の衆議院選挙(1月27日公示予定)をにらんだ思惑、さらに ディスコ(6146) や台湾 TSMC(TSM) 、米 インテル(INTC) といった半導体・ハイテク企業の決算動向が挙げられます。
しかし、注目すべきなのは、「同じ業種やテーマの中でも銘柄によって明暗が分かれている」という点です。
例えば、建設業は週間で1.78%安のワースト7位に沈んだものの、その内訳を見ると、 安藤・間(1719) や 鹿島(鹿島建設:1812) 、 大林組(1802) など、全73銘柄中34銘柄が先週に上場来高値を更新しています。同様に、ワースト4位の銀行業も、地方銀行を中心に68銘柄中18銘柄が上場来高値を更新しました。
このほか、レアアース関連やエネルギー関連、半導体関連といった主要テーマでも、好決算や独自の材料を持つ銘柄には買いが集まる一方、そうでない銘柄は売られるといった具合に、個別銘柄という「木」の視点では、銘柄を選別する動きが鮮明になっています。
これから企業決算シーズンが本格化しつつある中、テーマや材料だけでなく、各企業の業績や成長といった「プラスα」を加味した銘柄選別がより一層進むことになりそうです。
今週の注目ポイント
そんな中で迎える今週も、先週に続いて「木」が意識される場面が増えることになりそうです。最重要となりそうな注目イベントや材料について、簡単に整理したいと思います。
企業決算
今週から注目企業の決算が本格的に増えてきます。
国内では アドバンテスト(6857) 、 レーザーテック(6920) 、 信越化学工業(4063) といった半導体主力株に加え、 三井住友フィナンシャルグループ(8316) や キーエンス(6861) 、 武田薬品工業(4502) 、 コマツ(小松製作所:6301) 、 商船三井(9104) など、幅広い業種の主力企業の決算が相次ぎます。
海外でも、米「M7(マグニフィセント・セブン)」のうち、 マイクロソフト(MSFT) 、 アマゾン・ドット・コム(AMZN) 、 メタ・プラットフォームズ(META) 、 テスラ(TSLA) が発表を控え、蘭 ASMLホールディング(ASML) などのテック系、AI・半導体企業の決算が注目されます。また、 ボーイング(BA) や エクソンモービル(XOM) 、 シェブロン(CVX) といった資本財・エネルギー企業の決算も予定されています。
市場の焦点は、先週の決算が好調だったディスコや台湾TSMCの勢いと、失望を誘ったインテルのような「ダウンサイドリスク」のどちらに天秤が傾くかです。すでに、ある程度の好業績は織り込まれており、余程のポジティブサプライズがない限り、悪材料に過敏に反応しやすいと思われ、警戒が必要です。
日本の選挙戦と「金利・為替」市場の動き
今週27日(火)に衆議院選挙の公示が予定され、選挙戦がスタートします。メディアの情勢調査や、各政党の政策議論の動向が相場を揺さぶる可能性があります。
「与党過半数」に黄色信号が灯るような報道が出れば、株高シナリオが揺らぎ、売りが強まる可能性も否定できません。また、各党の減税・バラマキ公約による財政悪化懸念から、日本の国債売り(利回り上昇)が進みやすい状況であることにも注意が必要です。
通常は「日本の金利上昇=円高」となりますが、足元は実需の円売りが強い一方で日米当局の介入警戒感もあり、為替のボラティリティが高まりやすい状況であることが厄介です。
FOMCと次期FRB議長人事
今週27日(火)~28日(水)にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)ですが、政策金利の据え置きが既定路線となっているため、市場の関心はパウエル議長の会見内容や、次期米連邦準備制度理事会(FRB)議長の人事に向けられています。
トランプ米大統領が近いうちに次期FRB議長の指名を行うという観測があり、早ければ今週中にも出てくる可能性があります。FRBの独立性が脅かされる懸念や、急速な利下げを迫る圧力が強まれば、債券市場安(金利上昇)を通じてハイテク株への逆風となる可能性があります。
今週の日経平均はレンジ相場を意識か?
もっとも、先週末24日(土)の朝に取引を終えた日経225先物取引のナイト・セッションの終値が5万2,900円と、現物の終値から大きく下げているため、今週の日本株市場は、下落スタートが見込まれています。
こうした先物市場の下落は、23日(金)の日本銀行会合後の植田和男日銀総裁の会見や、米当局による「レートチェック(介入に向けた準備動作)」の観測を受け、為替市場で急速に円高が進んだことが大きな要因となっています。
軟調なスタートが見込まれるだけに、「どこで下げ止まるのか?」、「再び上昇基調に戻せるのか?」が相場の焦点になりますが、そこで意識されるのは、5万2,000円の下値と5万4,000円の上値になります。
<図3>日経平均(日足)とMACDの動き(2026年1月23日時点)
図3は日経平均の日足チャートですが、5万2,000円の株価水準は、先週も株価の下げ止まりの目安として意識されました。また、チャートを過去に遡ると、上値の目安として機能していたことが分かります。
つまり、これまで「抵抗(レジスタンス)」となっていた5万2,000円が、今度は「支持(サポート)」として役割を転換できるかが試されます。株価が5万2,000円以上をキープできれば、中長期的な上昇トレンドの足掛かりとなるでしょう。
反対に、上値については、5万4,000円および1月14日の高値5万4,487円を前に上値が重くなる「抵抗」となっているため、この抵抗を突破できれば株価の上昇に弾みがつくことになります。
とはいえ、株価と下段のMACDを組み合わせて見て行くと、株価の上値が切り上がる一方で、MACDの上値が切り下がる「逆行現象(ダイバージェンス)」の格好となっています。この場合の逆行減少は「トレンド転換型」であるため、このまま相場の調整局面に入る展開も想定しておく必要があります。
このほか、相場の強気ムードの変化にも注意しておく必要があります。
<図4>日経平均(週足)と信用評価損益率の推移(2026年1月16日時点)
図4は、週足の日経平均と「信用評価損益率」の推移を示したものです。直近(1月16日時点)の信用評価損益率はマイナス1.2%まで改善しています。
一般的に、評価損益率の値が高いほど、含み損を抱えている投資家が減少していることを意味します。これは、株価の上昇基調の強まりに伴って改善するか、相場の急変時に損失を抱えた信用建玉がごっそりと返済された場合などに評価損益率の数値が上昇します。
足元の評価損益率の改善は前者にあたります。直近で評価損益率がプラス3.31%となった2025年4月18日の場合は、トランプ相互関税による株価急落直後であるため、後者のケースにあてはまります。
前者の場合、個人投資家を中心に、信用取引を行っている投資家の懐に余裕がある状況と言えます。そのため、株式市場が多少下落しても、一定の耐性(押し目買い意欲)があると考えらえます。
先週の慌ただしい相場の動きや、今週のイベントの多さなど、株式市場が落ち着いて消化するのに、やや情報過多な状況です。今週のメインシナリオは、「レンジ相場が想定される中、企業業績や米FOMCなどのイベントで新たな動きが出てくるかを見極める」ことでしょう。個別銘柄の「木」に目を配りつつ、相場全体の「森」の方向性が決まるのを待つ1週間になりそうです。
(土信田 雅之)

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