2025年も残すところわずかとなりました。今日は、来年の日経平均予想について書きます。

2026年末に、日経平均は5万5,000円まで上昇すると予想します。その根拠を説明します。


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著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 2026年の日経平均、年末5万5000円と予想する理由 」


企業業績のモメンタム回復へ

 2026年末の日経平均株価が5万5,000円まで上昇する予想の根拠は、企業業績のモメンタム回復です。今期(2026年3月期)トランプ関税の影響で停滞した企業業績が、来期(2027年3月期)には二けた増益になると予想しています。


<東証プライム純利益(前期比%):2024年3月期~2027年3月期(予想)>


2026年の日経平均、年末に5万5,000円まで上昇すると予想する理由(窪田真之)
出所:楽天証券経済研究所が作成

 今期(2026年3月期)の純利益はトランプ関税の影響で減益になると予想していました。ところが、2025年7-9月の業績が好調であったことを受けて、今期予想を5.3%減益から2.3%増益に上方修正しました。背景として以下3点が挙げられます。


【1】トランプ関税のマイナス影響が想定より小さく済みそう
 今期は、トランプ関税の影響を受けて、自動車産業など製造業が減益となります。ただし、相互関税・自動車関税が15%に引き下げられたこと、米景気が堅調で1ドル=150円台に円安が進んだ恩恵もあり、減益幅は想定よりも小さくなります。


【2】非製造業の業績が好調
 非製造業(不動産、建設、情報通信、サービス、観光業など)の業績が好調です。

以下、日本銀行短観DIを見れば分かる通り、非製造業DIは、プラス30超えと、高水準が続いています。


【3】AI関連が好調
 製造業・非製造業とも、AI関連ビジネスが好調です。 ソフトバンクグループ(9984) が米国企業のOpenAI(オープンエーアイ)への投資収益2兆円超を計上した貢献が大きかったことに加え、半導体関連も業績好調でした。


<日銀短観・大企業DI:2020年3月~2025年9月>


2026年の日経平均、年末に5万5,000円まで上昇すると予想する理由(窪田真之)
出所:日本銀行「短期経済観測」より楽天証券経済研究所が作成

メインシナリオ:2026年も世界景気は緩やかな拡大続く

 日経平均が5万5,000円へ上昇する予想の前提として、2026年に米景気がソフトランディング、日本の景気が緩やかな回復を続けると想定しています。


 その理由として、以下3点があります。


【1】トランプ関税エスカレートのリスク低下


 米中貿易戦争は休戦状態にあります。中国がレアアースの輸出を制限または禁輸することをちらつかせたり、大豆供給源を米国からブラジルへシフトしたりしてから、米中貿易戦争は中国優位となっており、トランプ大統領が対中国で融和的とならざるを得なくなっています。


 2026年11月に米国で中間選挙が行われることも重要です。ここで共和党が敗北すると、トランプ大統領任期の後半(2027~2028年)に、議会の協力を得られず思うように政策を進められなくなります。2026年は中間選挙を意識するがゆえに、株安につながる関税エスカレート策は控える可能性があります。


 トランプ大統領が導入した相互関税と、合成麻薬フェンタニルの米国流入に関わる関税について、「大統領権限を逸脱していて無効である」との訴えに基づいて、米国で裁判が進んでいることも影響すると思われます。


【2】高市政権による成長戦略始動


 大幅な財政拡張を伴う景気刺激策の実施に、与野党ともに前向きです。

景気が好調の時に大きな財政出動を行うのは異例ですが、内閣支持率が高いこと、野党の協力を得やすいこともあり、公約通りの財政拡張を伴う成長戦略を実施する見込みです。


 インフレによる名目国内総生産(GDP)の成長率拡大も含めて、企業業績に追い風になると予想しています。


【3】AIビジネスの拡大続く


 2026年には、日本でも世界でも、AIのビジネス利用がさらに拡大すると予想しています。AI関連産業の業績好調は続くと予想しています。


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(窪田 真之)

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