2025年は、米トランプ政権の関税政策や、日経平均が1万円以上も上昇するなど、激動の年だったでしょう。2026年はさらなる飛躍となるのか。
2025年相場も残りわずかとなりました(本レポートは12月26日に執筆しています)。
例年の最終レポートでは、1年間の振り返りと翌年の大まかな見通しについて考察するというのが恒例となっています。そんなわけで今回も2025年の日経平均株価の値動きの振り返りから始めていきたいと思います。
2025年はどんな相場だった?4つの局面で振り返り
<図1>日経平均(日足)の動き(2025年12月26日前場終了時点)
上の図1は12月26日の前場終了時点の日経平均の日足チャートです。
あらためて、2025年相場を日経平均の値動きで振り返ると、大きく4つの場面に分けることができそうです。
【局面(1)】様子見(1月~2月中旬)
1月20日に発足した米トランプ政権(第2次)に対する、規制緩和や減税政策への期待がある一方で、関税政策や移民対策などの不安が交錯しました。
また、イーロン・マスク氏率いる政府効率化省(DOGE)が派手な動きを見せていたこと、そして、これまでのAI相場に一石を投じることになった「DeepSeekショック(中華AIの台頭)」が訪れる中で、4万円台を挟んだ様子見が続きました。
【局面(2)】不安と警戒(2月中旬~4月)
米トランプ政権から、鉄鋼や自動車、相互関税などに対する「関税ラッシュ」が次々に打ち出され、景気や企業業績への不安が高まるにつれて株式市場も下落基調となりました。特に4月あたまの相互関税発表直後には、国内外の主要株価指数が揃って大幅下落する場面がありました。また、米中関係の悪化警戒も、株価下落に追い討ちをかける格好となりました。
もっとも、こうした株価急落を受けて、米トランプ政権は態度軟化や軌道修正の動きも見せ始め、いわゆる「TACO(Trump Always Chickens Out:トランプはいつもビビッて退く)」という見方が浮上し、株価持ち直しのきっかけともなりました。
【局面(3)】不安後退とAI相場の盛り上がり(5月~11月)
2025年相場の中で最も期間の長かった株価の上昇局面です。
また、関税の税率が決まったことによって、企業業績の見通しが立てやすくなったことも、株式市場は買い戻しの基調を強めました。そして、AI・半導体関連銘柄が相場を力強く牽引するなど、不安後退と期待感を背景にした株式市場の上昇基調が継続し、日経平均も11月4日の取引時間中に5万2,636円の高値をつける場面がありました。
【局面(4)】過熱感と調整(11月~12月)
11月から12月にかけては、相場の過熱感や、一部のAI・半導体関連株銘柄の割高感が意識され、日経平均が調整含みの展開となりました。米国では、議会の「つなぎ予算」をめぐる攻防によって一部の政府機関が10月1日から閉鎖される事態となり、経済指標の公表が遅延するなど、その影響が懸念されていたことも相場の重石となりました。
その一方で、日米の金融政策のスタンスを背景にした金融株買いや、割安なバリュー株を物色する動きも見られました。12月に入って東証株価指数(TOPIX)が最高値を更新するなど、株式市場の地合いそのものは悪化しておらず、2026年以降の「次」の展開をうかがっている状況となっています。
こうして振り返ると、色々あった印象ですが、12月26日前場終了時点の日経平均終値は5万0,916円となっており、昨年(2024年)末終値(3万9,894円)から1万円以上も上昇しています。
このまま来週30日(火)の大納会を迎えることができれば、2025年は「大きく飛躍した年」と言えそうです。
2026年相場のポイントは?
こうした4つの局面を経て迎えることになる2026年相場ですが、これまで見てきた2025年相場の流れを引き継ぐことになります。
そのポイントとしては、以下が挙げられます。
- 株式市場の調整と天井が意識される中で、再び最高値を更新することができるか?
- 内容が変化し選別が進み始めたAI相場の行方
- 市場の前提と現実のギャップを意識しながら景況感や金融政策の動向を見極めていく動き
株式市場の調整と天井への意識
中でも重要なのは、「株式市場の調整と天井」への意識です。
<図2>相場のムードから見た上昇トレンドの局面とポイント
上の図2は一般的な、上昇トレンドの推移を示しています。このトレンドは大きく分けて、「株価の底打ち感からの上昇」の序盤、「不安後退と期待感で上昇」する中盤、「過度な楽観や恐怖で上昇」する終盤の3つに分けられます。
先ほどの図1でも日経平均の値動きを辿っていきましたが、トランプ関税による不安が底打ちしたあたりから株価が上昇し始め、関税交渉の進展や米中関係悪化といった不安の後退と、AIへの期待感で株価が大きく上昇しました。
そして、相場の過熱感で調整含みとなるなど、図2と組み合わせて見てみると、現在の状況は、上昇トレンドの中盤から終盤に差し掛かっている可能性があります。
もちろん、現在の状況が図2の「弱気の罠」の局面であれば、まだまだ上昇していけることになりますが、「そろそろ株価が天井を迎えたのかもしれない」という意識は持っておく必要がありそうです。
2026年相場は「もう一花」咲かせることができるか?
では、天井圏が意識される中で、今後の日経平均はどのように動きそうなのでしょうか?
<図3>日経平均(週足)とエリオット波動
上の図3は日経平均の週足チャートにエリオット波動を描いたものです。
エリオット波動とは、株価の上げ下げを「波」のリズムとして捉え、現在の株価がそのリズムのどこに位置しているのかを探っていく分析手法です。株価のリズムには、「上昇のリズム」と「下落のリズム」の2種類あります。
<図4>エリオット波動の相場のリズム
そこで、あらためて図3をチェックすると、2023年1月6日週から始まった上昇リズムが、2025年4月11日週で終えていることや、その2025年4月11日週から新たな上昇のリズムが始まっていることが読み取れます。
現在の株価位置は、新たに始まった上昇リズムの「第3波」から「第4波」に差し掛かっていると思われ、今後は第4波がどこまで続くのか、第5波はどこまで上昇できるのかが焦点になります。
いずれにしても、上昇リズムの第5波は株価のピークとなることが多いため、やはり、天井への意識は持っておいた方が良いと思われます。
<図5>エリオット波動で想定される天井形成パターン
今後の展開としては、次の二つが考えられます。次に訪れるであろう第5波が、第3波の頂点でもある5万2,636円と同じ株価水準で上昇がストップしてしまう「ダブルトップ」の天井形成となるのか。もしくは、第5波が第3波の頂点を超えて最高値を更新して天井をつける「トリプルトップ」となるのかが想定されます。
天井形成を確認した後ですが、上昇リズムの終焉を見極めることになります。
そして、問題となるのは、「今回の上昇リズムが終焉した後、次に訪れるのが上昇リズムなのか、下落リズムなのか?」です。
<図6>エリオット波動のリズム継続と転換
恐らく、2026年末の株価が上昇して終えることができるのかの分岐点はココになりそうです。仮に、次に来るのが、下落リズムだった場合には、次につける高値もしくは、直近の高値が天井となり、下値を探りにいく展開が想定されます。
日経平均の上値の目安は?
では、仮に2026年相場が上昇を続けた場合、どこまでの上値を想定すれば良いのでしょうか?
この点については、以前のレポートでも紹介した「目標値計算」で想定したものと変わりはありません。
<図7>日経平均(週足)の目標値計算
上の図7は、その日経平均の「目標値計算」の状況を示したものです。この基準となるのは、直近の過去において以下の3点です。
- 移動平均線における上昇のパーフェクト・オーダーが出現する直前の安値
- そこから株価が天井とつけたところ
- 下落のパーフェクト・オーダーが出現し、株価が底打ちしたところ
この3点を上の図7で確認すると、2023年1月の安値(2万5,661円)、2024年7月の高値(4万2,426円)、2025年4月の安値(3万0,792円)が該当します。これらをベースに、VT計算値、V計算値、N計算値、E計算値を求めていきます。
現在の日経平均の水準から見ると、V計算値の5万4,060円が次の目標値になります。11月4日の高値(5万2,636円)からは1,500円ほどの距離感ですが、12月26日前場終値(5万0,916円)からは3,000円以上上昇していく必要があります。
また、V計算値を超えることができれば、E計算値の5万9,191円が次の目標値になります。しかし、ここまでの株価上昇を見込むには、先ほどのエリオット波動でも見てきたように、現在の上昇リズムが終わった後に、再び上昇リズムを形成する必要があります。
株価材料面にも注目
これまで、テクニカル分析の視点で、2026年の日経平均の値動きについて考えてきました。最後に、先ほど挙げた残りのポイントについても簡単に整理していきます。
まずは、「内容が変化し選別が進み始めたAI相場の行方」についてですが、2025年相場を大きく押し上げたAI相場は、期待先行の段階から変化しつつあります。
AI投資による収益性や財務リスク、競争激化とその勝者の選別、AI向けデータセンターからフィジカルAIといった、新たな相場の柱の登場などが相場の視点に加わり、これまでの上昇基調とは異なる展開を見せそうです。
特にフィジカルAIについては、過去のレポートでも紹介したように、日本企業にとっても追い風になる可能性があります。
▼過去のレポート
「フィジカルAI」はAI相場の新たな柱となるか?(土信田雅之 )
次に、「市場の前提と現実のギャップを意識しながら景況感や金融政策の動向を見極めていく動き」についてです。
例えば、以下の三点から市場間において、少なからずギャップが生じており、金融市場全体として中期的に同じ方向を向いていない面があります。
- 米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げしているにも関わらず、米金利(10年債利回りなど)があまり低下していないこと
- 日本銀行が利上げを決定しても円安が止まらないこと
- 株式市場がリスクオンの中でも金価格が上昇していること
そのため、2026年はそのギャップを埋める動きが出てくるかもしれません。
さらに、米中間選挙を控えた米トランプ政権の動きも注視する必要もあるなど、2026年相場は2025年相場の「答え合わせ」をしながら推移していくことになりそうです。
最後になりましたが、2025年も当連載レポート『テクニカル風林火山』をお読みいただきありがとうございました。引き続き2026年もよろしくお願いいたします。
(土信田 雅之)

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