個人投資家とお金の専門家が選ぶ「2025年金融・経済10大ニュース」。6~10位には、熱気に包まれた大阪・関西万博や大谷翔平選手の活躍など、明るい話題がランクイン。

日銀の利上げやビットコインの最高値更新など、時代の転換を示すニュースも並びました。


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個人投資家と専門家が選ぶ「2025年金融・経済10大ニュース」

 トウシルはこのほど、個人投資家とお金の専門家が選ぶ「2025年金融・経済10大ニュース」を決定しました。2025年をにぎわせたニュースを振り返り、2026年の幕開けに備えましょう。


大阪・関西万博、日銀利上げ、大谷翔平4度目MVP…2025年金融・経済10大ニュース6~10位


アンケート実施方法:トウシルが選んだ32の金融・経済ニュースの中から、1~3位の回答を得た。1位に3点、2位に2点、3位に1点と配点し、アンケート結果を集計した。アンケート期間は12月4~11日。回答者は、個人投資家やお金の専門家など計30人。


10位:ビットコイン価格、最高値更新。10月に12万6,000ドル超え/一転急落、リスク回避の売りが加速

大阪・関西万博、日銀利上げ、大谷翔平4度目MVP…2025年金融・経済10大ニュース6~10位
ビットコイン


 10月6日、仮想通貨のビットコインの価格が1ビットコイン12万6,000ドル(約1,860万円)を超え、過去最高値を更新しました。


 ビットコインの価格高騰の背景には、世界的なインフレ懸念や基軸通貨・米国ドルに対する不安があります。楽天ウォレットシニアアナリストの松田康生は「今年最大のトピックは、株も金もビットコインも不動産も全て史上最高値を更新したこと。理由は、相対的に法定通貨が減価しているから」とコメント。


 ビットコインは、伝統的な資産と値動きが連動しないことから、金(ゴールド)のように代替投資先の候補として資金が流入しました。

その性質から、「デジタルゴールド」とも呼ばれています。


 しかし、ビットコイン相場に影響を与えるAI株の急落やビットコイン上場投資信託(ETF)への資金流入の先細り、大口投資家の利益確定売りなどもあって、最高値到達後は一時8万ドル近くまで急落しています。


 トランプ米大統領の一族がビットコインのマイニング(採掘)企業の経営に携わっていることから、トランプ氏の支持率低下が相場に影響を及ぼしているともいわれています。


9位:エヌビディア時価総額、世界初5兆ドル突破/4兆ドル超えからわずか3カ月、増加ペース加速

大阪・関西万博、日銀利上げ、大谷翔平4度目MVP…2025年金融・経済10大ニュース6~10位
エヌビディア


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 10月29日、米半導体大手 エヌビディア(NVDA) の時価総額が、世界で初めて5兆ドルを突破しました。


 同社の時価総額は、7月10日に4兆ドルに達し、米国の マイクロソフト(MSFT) や アップル(AAPL) を上回りました。その後わずか3カ月強で、時価総額5兆ドルを記録しました。


 トランプ大統領が米国のAIインフラに総額5,000億ドル(約78兆円)を投資する「スターゲート」計画を発表したことで、IT企業が積極的な設備投資に動いています。


 これを受け、AIデータセンター構築に必要な高速半導体、高性能メモリ、光ファイバー、電子部品の素材となる銅製品、電力供給などに関わるAI関連企業の株価が急騰する「AIトレード」が沸き起こりました。


「生成AIの性能向上に今年一番の変化を感じた。株式投資でも積極的に活用しています」(個人投資家・すぽさん)と、技術進化を強く実感する声もありました。


 ただ、「一強」を取り巻く環境にはじわり変化も見られます。アルファベット傘下、グーグルが高性能な生成AIを発表し攻勢をかけているほか、中国DeepSeekのように低コスト開発で台頭する新興企業も。エヌビディアが巨額な設備投資に見合う収益を上げられるか、不安視する声も一部でくすぶっています。

11月以降、足元のエヌビディア株は軟調に推移しています。


8位:日銀、1月に政策金利0.5%へ引き上げ/年内追加利上げの判断に注目集まる

大阪・関西万博、日銀利上げ、大谷翔平4度目MVP…2025年金融・経済10大ニュース6~10位
日本銀行


 日本銀行が、2025年1月24日に開催された金融政策決定会合で、政策金利をこれまでの0.25%から0.5%に引き上げました。利上げは2024年7月以来、政策金利は2008年10月以来17年ぶりの高水準となりました。


 さらに、日銀は12月19日の金融政策決定会合でも利上げすることが確実視されています。市場予想通りに政策金利が0.75%へ引き上げられれば、約30年ぶりの水準に。


 長年デフレに苦しみ、マイナス金利や量的緩和策など異次元の金融緩和を続けてきた日銀がインフレ時代到来を見据えて利上げを行ったことは、日本経済の大きな転換点です。


 今後も続きそうな物価高や円安、賃上げが物価上昇に追いつかない現状を見据え、日銀が今後どのようなペースで利上げを進めるのかに注目が集まっています。


 暮らしに直結する影響としては、「預貯金や住宅ローン、資産運用など各種運用利回り・借入コストの見極め、資産形成の見直しが非常に重要」(ウェルスペント代表・横田健一さん)。家計を見直すきっかけになりそうです。


7位:大谷翔平、4度目のMVP/二刀流復活、ドジャース初のワールドシリーズ連覇へ貢献

大阪・関西万博、日銀利上げ、大谷翔平4度目MVP…2025年金融・経済10大ニュース6~10位
大谷翔平選手


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 米国メジャーリーグで3年連続4度目のMVPを獲得した大谷翔平選手。投打の二刀流として完全復活を果たし、歴史的な活躍を見せました。


 所属するロサンゼルス・ドジャースは、大谷選手だけでなく、日本人投手の山本由伸選手、今年新たに加入した佐々木朗希選手の活躍もあり、初のワールドシリーズ連覇を達成しました。


 大谷選手による株式市場への直接的なインパクトは限定的であるものの、国内の消費やスポーツ市場などを押し上げたソフトパワー効果は無視できません。


 大谷選手を広告起用した企業の中でも、時計メーカーの セイコーグループ(8050) は2025年12月17日現在で前年末比47%高。

大谷選手を「KONAMI野球ゲームアンバサダー」に起用している コナミグループ(9766) は45%高となりました。


「暗い世相、混沌(こんとん)とする国際情勢など内憂外患の中で、大谷選手の頑張っている姿、結果を残す姿に勇気をもらった」(楽天証券経済研究所所長兼チーフエコノミスト・愛宕伸康)との声も。


 2026年も米国で活躍する日本人メジャーリーガーが増えるほど、世界からの関心を集め、日本経済を明るく照らしてくれそうです。


6位:大阪・関西万博、20年ぶり国内開催/一般来場者2,557万人

大阪・関西万博、日銀利上げ、大谷翔平4度目MVP…2025年金融・経済10大ニュース6~10位
大阪・関西万博


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 2025年4月13日~10月13日の半年間にわたり、大阪・関西万博が開催されました。日本での国際博覧会(万博・EXPO)開催は、2005年の愛・地球博以来20年ぶり。


 当初は失敗を危ぶむ声もありましたが、期間中の一般来場者数は2,557万8,986人と、愛・地球博の記録を上回りました。運営収支は230億~280億円の黒字を確保。公式キャラクター「ミャクミャク」のブレークも話題を集めました。


 今回の万博テーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。日本の万博史上最多の世界158カ国・地域が参加し、人工知能(AI)や空飛ぶクルマなど次世代の技術を紹介しました。会場のパビリオンには、未来の社会や各国の文化に触れられる展示が集結。多くの来場者を魅了しました。


 万博に訪れた人の飲食や購買、宿泊などの経済波及効果は3兆円を超えるとの試算もあります。旺盛なインバウンド(訪日外国人)需要も取り込みました。


 アンケートでは、熱気溢れるコメントが多数。「初めて口にしたアフリカ料理の味、初めて会話したアラブの人の笑顔。これからも忘れることはない」(楽天証券経済研究所コモディティアナリスト・吉田哲)、「2025年は万博の年だと歴史に残るはず」(個人投資家・DAIBOUCHOUさん)と、今年を象徴する出来事として振り返りました。


アンケート回答者※敬称略

個人投資家:
えま、エル、カブ主優待ライダー、すぽ、DAIBOUCHOU、たぱぞう、DUKE。、弐億貯男、バンクアカデミー、はるあき、ぽんちよ、まる子、虫とり小僧、ようこりん、Rょーへー


お金の専門家:
岡村友哉(株式コメンテーター)、香川睦(マリン・ストラテジーズ/シニアマーケットアナリスト)、倉持靖彦(パラソル総研副社長兼フェロー)、田代昌之(金融文筆家)、藤根靖晃(ティー・アイ・ダヴリュ代表)、山崎俊輔(フィナンシャル・ウィズダム代表/ファイナンシャルプランナー)、横田健一(ウェルスペント代表/ファイナンシャルプランナー)


楽天証券経済研究所:
愛宕伸康(所長兼チーフエコノミスト)、今中能夫(チーフアナリスト)、窪田真之(チーフストラテジスト)、篠田尚子(客員研究員ファンドアナリスト)、西勇太郎(グローバルアナリスト)、松田康生(※楽天ウォレット・シニアアナリスト)、吉井崇裕(客員研究員ファンドアナリスト)、吉田哲(コモディティアナリスト)


(トウシル編集チーム)

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