2026年は、AIエージェントとフィジカルAIが、株式市場の重要テーマになると予想しています。その中核銘柄として、ソフトバンクグループとソフトバンクを買い推奨します。
ソフトバンクグループを「買い」と判断する二つの理由
ソフトバンクグループ(9984) (以下ソフトバンクGと表記)は、投資会社です。世界中のAI関連株や半導体株にソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)などを通じて投資しています。また、子会社の移動体通信会社 ソフトバンク(9434) にも投資しています。
2025年には米国を中心にAI関連株が大きく上昇した効果で、ソフトバンクG株も大きく上昇しました。2025年は特に、米国のオープンAIに11%出資(投資予約分含む)していたことが、大きく寄与しました。オープンAIの収益急拡大によって、ソフトバンクGの投資収益も急拡大しました。
<ソフトバンクG株価指標:2025年12月22日>
なお、ソフトバンクGは2026年1月1日に1対4の株式分割を実施します。2026年以降は同社株価は約4分の1となります。
私は、以下二つの理由により、12月22日時点でソフトバンクGを「買い」と判断します。
【1】オープンAI評価額のさらなる拡大を予想
オープンAIが開発したChatGPT(チャットGPT)を使った「AIエージェント」が2026年に世界中でさらに拡大すると予想します。それに伴い、オープンAIの評価額(同社の社内評価で5,000億ドル=約75兆円:9月末時点)もさらなる拡大が予想されます。
オープンAI以外の投資先(半導体アームなど)も好調を維持すると予想しています。
【2】株価はNAV対比で割安と判断
ソフトバンクGの投資先を時価評価し計算した純資産額(NAV)は、2025年9月末時点で33.3兆円です。
【実質PBR】=【時価総額】÷【NAV】=25.4兆円÷33.3兆円=0.76倍
また、2026年3月期純利益の市場予想から計算される株価収益率(PER)は8.7倍で、PERから見ても割安と判断されます。
配当利回りは0.2%と物足りないですが、ソフトバンクGは株主還元で自社株買いを積極的にやってきたので特に問題ありません。
以下、ソフトバンクGについて、さらに詳しく説明します。
急騰後に急落したソフトバンクG
ソフトバンクG(9984)の9月中間決算(2025年4~9月期)連結純利益は前年同期比2.9倍の2兆9240億円と同期間として過去最高を更新しました。SVFを通じて投資してきた米国のオープンAIの投資収益拡大がこの好業績につながりました。オープンAIへの出資に伴う評価益が2兆1,567億円計上されました。
ソフトバンクG株は投資先であるオープンAIの収益拡大を好感して、10月29日に一時2万7,695円まで上昇しました。ところが、その後、株価上昇ピッチが速すぎることへの警戒感が高まり、さらにオープンAIに対する先行き不安説が広がったことを受け、11月25日には一時1万5,180円まで下がりました。
<ソフトバンクGの株価(1998年1月4日~2025年12月22日)と、連結純利益(1998年3月期~2026年3月期(市場予想)>
オープンAIは非上場株なので、業績や財務について開示が無く、強気・弱気さまざまな思惑が広がりやすくなっています。
私は、オープンAIの先行き不安説はやや過剰な悲観と考えています。オープンAIの評価額は、AIエージェントが世界中に拡大する来年以降、さらに拡大していくと予想しています。
オープンAIの評価
オープンAIは、米国・日本および欧州・インドなどで利用拡大が進むChatGPTを開発した企業として知られます。世界最先端のAI開発を進め、売上成長率が高いものの、これまで先行投資費用がかさんで利益が上がらず、先行きが不安視されていました。
オープンAIは2025年に、法人向けソリューションビジネスや、 マイクロソフト(MSFT) のアジュール向けAIで売上の伸びが加速していると推定されます。
非上場企業なので詳細情報は不明ですが、ソフトバンクGの開示資料によると、オープンAIの評価額は、2024年3月1,500億ドル(約22.5兆円)→2025年3月2,600億ドル(約39兆円)→2025年9月5,000億ドル(約75兆円)と急拡大しています。同社の収益拡大が加速していると推定されます。それに伴い、ソフトバンクGによる出資額(出資予定額を含む)の評価額も拡大しました。
ソフトバンクGは、オープンAIの先行きが不安視されているうちに巨額投資を実施した成果が、今回の決算に大きく出ました。出資予定額も含めて、オープンAIの持ち分11%を保有しています。
子会社のソフトバンク(9434)は、オープンAIと日本で合弁会社を設立して、日本国内で法人向けカスタマイズAIのビジネス展開を進めます。これから大きく成長する期待のあるビジネスに早くから重要パートナーとして入りこめた価値は大きいと思います。
ただし、オープンAIの未来に対する悲観論もあります。最近言われているのは以下2点です。
【悲観論1】ChatGPTの優位性低下
AIで世界トップの能力を持っていたChatGPTですが、今年グーグルが開発したGemini3(ジェミニ3)に、画像、音声、動画などデータ処理スピード・推論能力で抜かれたといわれます。
また、オープンAIから独立した技術者が作ったアンソロピックが開発したClaude(クロード)にも抜かれつつあるといわれます。こうした事態を受け、オープンAIは非常事態宣言を発して、再びChatGPTの性能向上に集中して取り組むことを発表しています。
最先端のAI開発競争が厳しく、ChatGPTもGemini3もClaudeもこれから抜きつ抜かれつの競争を続けていくことになると思われます。足元、Gemini3が性能面で優位に立つので、ChatGPTが苦戦する場面も想定されます。
それでもChatGPTがいちはやく世界中で使われ、すでにグローバルに8億人のユーザーを持つ強みは変わりません。私は日本でも世界でも、これからChatGPTを使った法人向けカスタムAI(AIエージェント)の利用が加速すると予想していますが、その見方は変わりません。
【悲観論2】オープンAIの巨額投資が十分な利益を生まないという不安
より大きな問題は、最近、株式市場で頻繁に言われる「データセンター過剰投資説」です。今、米国や中国および世界中で、急拡大しているデータセンターが十分な収益を生まず、過剰投資になるリスクが心配されています。
オープンAIとマイクロソフトは、AI技術のさらなる進化と普及を目指し、今後数年間で総額1,000億ドル(約15兆円)規模の巨額なAIインフラ投資を計画していると報じられています。この報道は、両社がAI分野における主導的地位を確固たるものにしようとする強い意思の表れとみられています。
この大規模投資の主な焦点は、オープンAIの次世代AIモデル開発を支えるためのデータセンターの建設と、専用のAIスーパーコンピューター「スターゲート」の開発にあります。
「スターゲート」計画は、数百万個のAIチップを搭載し、数ギガワットの電力を消費する、現在のデータセンターの規模をはるかに超える施設となる見込みで、総額5,000億ドルの投資が必要になる可能性があります。
投資は、主にマイクロソフトが資金を提供し、データセンターの土地取得、電力供給インフラの整備、そしてAIチップの調達に充てられる見込みです。オープンAIは、このインフラを活用して、より高度な推論能力と汎用性を持つ大規模言語モデル(LLM)の開発を加速させることを目指しています。
この巨額投資は、AIモデルの複雑化に伴う計算資源の需要増大に対応するものであり、AI開発競争が激化する中で、技術的優位性を維持するための不可欠な戦略と位置づけられます。
ただし、この巨額投資が十分な見返り(売上収益・利益)につながらないと、マイクロソフトにとっても、オープンAIにとっても、またスターゲート計画に参画して大規模投資の財務管理を担っていくと表明しているソフトバンクGにとっても、重大なダメージとなります。
私は、オープンAIの巨額投資計画は、これからのAI革命を先導する上で必要と考えています。また、これから世界中で法人向けカスタマイズAI(AIエージェント)が急拡大するのに伴い、それに見合う収益が得られるようになると考えています。
ただし、未来のことを正確に予測することはできません。今後とも、AIエージェントの成長と、スターゲート計画の進捗(しんちょく)を、慎重に見極めていく必要があります。
AIで稼ぐ企業、稼げない企業
AI利用が世界中で急拡大し、世界中のビジネスを革新することが確実となってきました。これに伴い、AI開発やデータセンターに巨額投資を発表する企業が増えています。
私は、巨額の投資に見合うリターンが上げられる企業群と上げられない企業群に、二極化すると考えています。
マイクロソフト、 アマゾン・ドット・コム(AMZN) 、グーグルの3社は、巨額の投資に見合う利益を得ていくと期待されます。この3社が、世界の三大クラウドサービス(マイクロソフトの「アジュール」、アマゾン・ドット・コムの「AWS」、グーグルの「グーグルクラウド」)を構築しているからです。
AIで稼ぐ最も確かなビジネスがクラウドサービスであって、この3社が日本も含めて世界のクラウドサービスの過半を支配していることが注目されます。この3社はすでにクラウドで巨額の利益を稼いでおり、投資回収はできていると考えられます。
一方、 メタ・プラットフォームズ(META) (旧フェイスブック)は、高度なAIを開発しているものの、利益回収の方策が見えていません。今後さらにAI投資を加速すると発表していることが、投資家から見てメタの不安材料となっています。
オープンAIは、ChatGPTで有名になったものの、当初は個人向けサービスが中心でした。個人は無料なら使うが有料ならば使わないことが多く、なかなか個人向けで収益を稼ぐことができませんでした。ところが今年に入ってから、ChatGPTの収益が急拡大しています。しっかり収益を稼げるようになりつつあるのには、以下2点が貢献していると思われます。
【1】クラウド:マイクロソフト「アジュール」向けAIサービス提供
オープンAIには、マイクロソフトが大規模出資しています。マイクロソフトは出資を通じてオープンAIの独占的プロバイダーの地位を得ています。世界三大クラウドの一つである「アジュール」でオープンAI活用を進めています。
【2】法人向け・カスタマイズ:エンタープライズソリューション
法人向けにカスタマイズされたAIを提供するサービスを米国で拡大しています。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) は、自社アプリとChatGPTの連携をスタートさせると発表しました。ChatGPTを活用して、自社サービスを個人にとって分かりやすく、使い勝手の良いサービスにレベルアップしていく狙いです。
富士通(6702) は自社のAI技術とオープンAIのGPTを組み合わせた「Fujitsu Kozuchi」などのプラットフォームを通じて、社内業務効率化だけでなく、顧客企業への生成AIソリューション提供を強化しています。
ソフトバンクGの子会社の携帯電話会社ソフトバンク(9434)は、カスタマイズしたChatGPTを業務全般で活用していく方針です。同社のCEO孫正義氏の説明によると、ソフトバンクG全体で、オープンAIに年間5,000億円もの支払いが発生するといいます。ソフトバンクGは、10億個のAIエージェントを作って活用することで、それを大きく上回るメリットを得るといいます。
ソフトバンクGの買い方
ソフトバンクGをいきなり100株買うのは、金額が大き過ぎると思います。12月22日時点で株価1万7,815円なので、100株買うのに約178万円もかかります。
楽天証券の「かぶミニ®」を使えば、日本株を1株単位で売買できるので、ソフトバンクGは「かぶミニ®」で1株単位で買い始めたら良いと思います。値動きの激しい株なので、一度でまとめて買わずに、5回程度に分けて1株単位で少しずつ買うのが良いと思います。
配当利回り4%のソフトバンクも「買い」
ソフトバンクGの子会社で、移動体通信会社ソフトバンク(9434)も買い推奨しています。
<ソフトバンク株価指標:2025年12月22日>
子会社ソフトバンクは、移動体通信を主軸に、ヤフー、LINEなどのメディア、Eコマース、PayPayなど決済サービスも展開します。さらに、オープンAIと提携して、法人向けに幅広くソリューションサービスを提供するほか、投資事業も手掛けます。
親会社のソフトバンクGは投資会社で、利益も株価も、変動が極めて大きくなります。値動きが大きい株を売買するのが苦手な方は、子会社ソフトバンクに投資した方が良いと思います。子会社ソフトバンクは、配当利回り4%で利益も株価も、親会社と比べると相対的に安定的です。
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