「頑張っている企業を応援したい」__投資初心者が陥りがちな行動には、どのようなリスクがあるのか。金融経済のオンラインサロンを手掛ける河村真木子氏は、「個別銘柄アンチ」かつ「レバレッジアンチ」と自称する。

投資で避けるべき行動と、その考え方を聞いた。


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プロフィール

実業家 河村真木子(かわむら・まきこ)さん


【河村真木子氏】「企業の応援」は危険?投資でやってはいけない三つの行動
1976年奈良県生まれ。10~15歳をシンガポールで過ごす。大阪府の公立高校からロサンゼルスの高校に編入。卒業後、関西学院大学に入学するも退学し、再び渡米。コミュニティカレッジを経て1997年UCバークレー編入、2000年卒業。 2001年リーマン・ブラザーズ、2008年ゴールドマン・サックス入社。同社最高役職であるマネージングディレクターとして活躍後、2019年退社。2021年オンライン事業「Holland Village Private Community(現Holland Village Members’ Club)」設立。金融経済の情報発信やカフェ運営、美容関連の事業を手掛ける。

金融リテラシーを身に付けるための三つのこと

__金融リテラシーを身に付けるために、まず取り組むべきことを三つ教えてください。


金融リテラシーを身に付けるために取り組むべき三つのこと
【河村真木子氏】「企業の応援」は危険?投資でやってはいけない三つの行動
金融リテラシーを身に付けるためにやるべき三つのこと

 一つ目は勉強です。ブルームバーグ、 ウォール・ストリート・ジャーナル、日本経済新聞など金融メディアを日々読んで、分かるようになるまで勉強することが大切です。


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 二つ目に、自分の身を金融リテラシーが高くなるような場所に置くということ。金融に興味のある人と友達になったり、コミュニティに入ったり、自分の周りに金融リテラシーの高い人を置いて教えてもらうのもいいですね。


 三つ目は、傍観者にならずにちゃんと行動するということです。


 私も、常にその時の自分よりも少し背伸びしたコミュニティに身を置き、行動することで、もう一段成長できるという経験を重ねてきました。例えば、業界ナンバーワンのゴールドマン・サックスに転職した時は、優秀な人ばかりの環境に飛び込むことにちゅうちょしましたが、大きな成長につながりました。


 さらに、金融業界を卒業して活躍の場所をSNSに移した時も「行動」しました。美容やファッション関係など従来とは全く異なるコミュニティに入って、それまで知らなかったモノの考え方やサービスに触れ、学びました。新しい第一歩を踏み出すきっかけになったので、コミュニティを変えて進んでいくってすごく大事だと思います。


「この会社を応援したい」は危険!投資でやってはいけない三つのこと

__投資でやってはいけない三つのことも教えてください。


投資でやってはいけない三つのこと
【河村真木子氏】「企業の応援」は危険?投資でやってはいけない三つの行動
投資でやってはいけない三つのこと

 初めて株を買うとき、どのような銘柄を買うべきか分からないので、聞いたことのある企業や好きな企業、「この企業が頑張っているので応援したい」という理由で投資先を決めるケースがありますが、私はどれもお勧めしません。


 プロのトレーダーたちが毎日企業のリサーチをして、細かく分析して勝負をしている場で、「応援」とか「なんとなく好き」といったふわっとした気持ちで勝てるほど甘くない。勉強が必要です。


 でも、そこまで勉強できないという人もいますよね。私はどちらかというと「個別銘柄アンチ」です。個別企業の勉強はすごく難しいので、日経平均株価やS&P500種指数のような指数に連動した成績を目指すインデックスファンドに投資するのは一つの方法だと思います。


__やってはいけないこと二つ目、「一極集中の投資」はなぜ危険なのでしょうか。


 個別銘柄アンチと言いましたが、私が一番自分ではやらないなと思うのは、「トヨタ自動車だけ一本釣りで買う」といった投資方法です。


 投資は、分散が命です。教科書的にも、プロの投資家が何をやっているかというと、国際分散投資です。日本だけではなく、アメリカ、アジア、ヨーロッパなど国際的に分散させること。資産も、株だけではなく為替や債券、キャッシュ、ゴールドなどに分散させることが大切です。


 一つの銘柄にどんと投資するのは、リスクがとても高くなります。

表向き、その企業の本業の収益がよく見えても、本業ではないところで不動産投資を拡大していたりなど、見えにくいリスクがあります。


__投資信託は、複数の銘柄に分散投資されています。一本に集中投資しても大丈夫でしょうか。


 投資信託の場合でも、運用するファンドマネジャーや運用会社(に依存する)リスクがあるので、やはり何社かに分けた方が良いと思います。ただ、個別銘柄1本よりは、「オール・カントリーを1本」や、「S&P500を1本」のように、指数に連動する成績を目指すインデックスファンドを1本の方がまだ良いとは思います。


【河村真木子氏】「企業の応援」は危険?投資でやってはいけない三つの行動
「投資は分散が命。一極集中の投資には見えにくいリスクがある」と話す河村さん

__やってはいけないこと三つ目「無闇なレバレッジ」はなぜ危険なのでしょうか。


「日経平均の○倍」「為替の○倍」といったレバレッジ商品の、効率的に何倍ものリターンを狙えるという説明に惹かれてしまう人がいますが、私は「レバレッジアンチ」でもあります。思わぬ方向に進んでしまった時のリスクが高いためです。信用取引やFX(為替証拠金取引)などは、価格が予想と逆方向に大きく動くと追証(追加の証拠金)を準備する必要に迫られ、投資を強制終了することもあり得ます。


 リスクをよく分かった上で取り組むのであれば問題ありませんが、複雑な商品には一見分かりにくいリスクもあり、見落としがち。無闇なレバレッジをかけるのは危険です。


__今よりも金融リテラシーが低かった時の、お金の失敗談はありますか。


 今思うと甘かったなと思う投資は、ハワイでコンドミニアムを購入した時のことです。当時、為替が1ドル=80円台で、為替で勝てると思って買いました。その後、アメリカの不動産市況は右肩上がりに上昇し、為替も円高だったのに、私が買った物件だけは価格が上がらなかったんです。


 どうしてだろう?と思ったら、買っている人がみんな日本人だったため、為替が円安に動くとみんな一斉に売ろうとしていました。物件そのものの競争力ではなく、需給が一方向に偏ることで価格が伸びにくい構造にあったんです。


 不動産を買う時は、どんな人が購入しているか、どんなマーケットになっているかを知る必要があると、身をもって実感しました。


 最近は中国をはじめアジアの投資家が日本のマンションを買いに来ていますよね。彼らがどのような売買をするかで需給バランスは変わってくる、ということに注意が必要です。


学生向けアカデミーを開設、講師に安野貴博氏、茂木健一郎氏ら

__2025年6月に開設した学生向けのコミュニティ「金融経済アカデミー」の特徴は。


 中学から高校、大学・大学院生を対象に、金融リテラシーを身に付けることを目的にした学習の場です。チームみらいの安野貴博党首、脳科学者の茂木健一郎氏、お金の向こう研究所の田内学代表ら、業界の第一線で活躍する著名人を講師に招き、学習コンテンツを提供しています。金融経済をはじめ、国際政治、会計、法律、起業などさまざまな角度から学べるのが特徴です。


 特に人気を集めているのが、毎朝配信する金融経済ニュースラジオです。私のゴールドマン・サックス時代の同僚で、同アカデミーを共同運営する松井雅章氏が担当しています。


 現在の会員数は約7,000人。現在は開成高校や東大に在籍しているような優秀な子が多く、かなりハイレベルなコミュニティと言えます。会員同士で受験や就活の情報交換も活発に行われており、ここでしか手に入らない情報が集まるのが魅力です。


 2025年12月には、会員が勉強などで利用できるラウンジを広尾に開設し、オンラインだけでなくオフラインでの活動も積極展開しています。


「学力が高くない子が卑屈になってしまうのでは」という意見もありましたが、背伸びすることで自分のレベルは自然と引き上げられるものです。上に手を伸ばすと、新しい世界がつかめます。柔軟な学生の時こそ、背伸びして良い環境に入ってほしいと思います。


(佐々木 閑)

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