先週の日経平均は、衆議院選挙での与党大勝を受けて、5万8,000円台をうかがうほどの歴史的な爆騰を演じました。今週は18日(水)の特別国会と、第二次高市政権発足への期待感による上昇継続が焦点となる一方、米国市場の警戒感や、相場の過熱感も意識され、三つ巴の中で相場の方向感を探ることになります。


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先週の振り返り:衆院選後に爆騰する展開

 先週末2月13日(金)の日経平均株価は5万6,941円で取引を終えました。前週末終値5万4,253円からは2,688円高(4.95%高)と大幅に上昇したほか、東証株価指数(TOPIX)についても、前週末終値(3,699p)から119p高(3.22%高)となる3,818pで13日(金)の取引を終えました。両株価指数ともに、これまでの最高値を大きく更新する動きとなりました。


 こうした強い値動きは、先週1週間の日経平均の5分足チャートを見ても明らかです。


<図1>日経平均の5分足チャート(2026年2月6日~2026年2月13日)
日経平均、高市ラリーで上昇継続?過熱感から反落か?
出所:MARKETSPEEDII

 あらためて、図1を見ると、週初の9日(月)と翌10日(火)の2日間で株価水準が大きく切り上がっている様子が確認できます。


 衆議院選挙では与党が316議席を獲得し大勝、結果への期待感と、直近で「SaaSの死」とも呼ばれていた「アンソロピック・ショック」関連銘柄の株価下落も一服したことを受けて、日経平均は爆騰モードとなりました。株価水準は5万8,000円台を意識させるところまで急上昇しました。


 しかし、週末の13日(金)は急ピッチな株価上昇の反動や利益確定売り、ソフトウエア関連銘柄が再び軟調になったことで失速していきました。


 こうした週末の失速を、5分足チャートの形状だけで判断すると、「やや売られたに過ぎない」ようにも見えますが、株価の目盛りは1,000円刻みとなっているため、実際の値動きは思った以上に荒っぽいことに注意しておく必要があります。


今週のイベントスケジュール

 そんな中で迎える今週の株式市場は、先週の株価急騰を踏まえ、「さらに上を目指すのか」「引き上げられた株価水準を維持する値固めとなるのか」、もしくは「売りに押されて反落していくのか」を見極めていくことになります。


 そこで、今週のイベントスケジュールについて整理していきます。まず、企業決算については、日米ともに発表が一巡するタイミングで、全体的には材料不足です。19日(木)に予定されている米小売大手 ウォルマート(WMT) の決算が注目されそうです。


 ウォルマートは、巨大な実店舗網とAIの活用を組み合わせが奏功し、成長を実現している点が評価されて株価が大きく上昇し、先週も最高値を更新しています。

同社はダウ工業株30種平均構成銘柄でもあり、決算内容に対する米株市場の初期反応が相場のムードにも影響しそうです。


 続いて、経済指標面に目を向けると、日本では16日(月)に10-12月期の国内総生産(GDP)、18日(水)に1月貿易統計、週末の20日(金)に1月消費者物価指数(CPI)が予定されています。


 米国では、17日(火)に2月ニューヨーク連邦準備銀行製造業景気指数、18日(水)に1月鉱工業生産と12月耐久財受注、1月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、19日(木)に12月貿易収支、20日(金)に10-12月期GDP速報値の発表が予定されており、発表される指数の数は「そこそこ」多くなっています。


 一般的に、経済指標の結果は、金融政策への思惑に影響を及ぼしやすく、株式市場にも伝播していきます。先週の米国では、13日(金)に公表された1月CPIの結果を受けて、利下げ期待がやや盛り返しました。


 しかし、その前に公表された米雇用統計が改善していたほか、新米連邦準備制度理事会(FRB)議長に先日指名されたケビン・ウォーシュ氏がいわゆる「タカ派」と目されていることもあって、早期の利下げに対しては懐疑的な見方も多いです。そのため、今週の経済指標についても、余程のサプライズが無い限り、利下げを織り込んで相場の流れを変えるのは難しいと思われます。


 したがって、経済指標に対する市場の反応は、引き続き景気敏感株への物色が続くかどうかが注目されることになりそうです。


 そして、国内株市場で最注目かつ最重要のイベントとなるのが、18日(水)に召集される特別国会と、それに伴って発足する第二次高市政権への期待です。


「期待」と「警戒」と「過熱」による三つ巴

 先週の日本株の値動きが示していたように、衆議院選挙で与党の圧倒的な勝利を収めた中で発足する第二次高市政権への株式市場の期待は高いものがあります。


<図2>国内外主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年2月13日時点)
日経平均、高市ラリーで上昇継続?過熱感から反落か?
出所:MARKETSPEEDIIおよびBloombergデータを元に作成

 図2を見てもわかるように、先週の日経平均のパフォーマンスが突出していますが、こうした期待感が反映されているものと思われます。


 また、今後の新政権の組閣についても、派閥のしがらみや配慮に縛られる必要性もあまりないと思われ、サプライズ人事があるかどうかも注目されそうです。


 さらに、衆議院で単独過半数を占める議席獲得による政権運営の安定性は、グローバルの視点で考えると相対的に安心感の強い投資先になると判断されるでしょう。

また、今週は16日(月)の米国株市場が休場、中国株市場も来週23日(月)まで休場となるため、日本株に資金が向かいやすくなる可能性も考えられます。


 とはいえ、米国株のAI・半導体関連株、ソフトウエア関連株の先行き警戒感や、株式市場の過熱感もくすぶっているため、今週の日本株は国内政治の期待感と米国市場の警戒感、日本株の過熱感の「三つ巴」の中で展開していくことになります。


上値の目安と下落転換への不安

 最後に、これまで見てきたことを踏まえ、テクニカル分析の視点から日経平均の目先の動きや相場の過熱感について考えていきます。


<図3>日経平均(日足)と移動平均線乖離率(25日)の推移(2026年2月13日時点)
日経平均、高市ラリーで上昇継続?過熱感から反落か?
出所:MARKETSPEEDII

 図3は、日経平均の日足チャートと移動平均線乖離率(25日移動平均線)の推移を示したものです。


 先週の株価上昇によって、昨年10月31日と今年1月14日の高値どうしを結んだ「上値ライン」を上抜けてきましたが、仮に今週の株価が下落したとしても、この上値ラインがサポート(支持)として機能できれば、上昇基調が続くことになります。


 また、同時に株価が25日移動平均線から上放れる動きも目立っています。先週は10日(火)にプラス7.53%まで乖離する場面がありました。


 通常の場合、25日移動平均線乖離率がプラス5%を超えてくると過熱感が指摘されますが、チャートを過去に遡ると、昨年の10月31日と5月13日にそれぞれプラス8.94%とプラス9.04%まで乖離する場面がありました。


 昨年10月は、AI・半導体相場がピークを迎えていたのに加え、高市政権が誕生し、「高市トレード」の余韻が残っていた時期です。昨年5月についても、いわゆる「トランプ関税ショック」から立ち直り、戻り高値をつけていた時期でした。


 こうした具合に、グロースもバリューも同時に買われていたことを考慮すると、幅広い銘柄が買われている足元の株価もプラス9%まで乖離を進める可能性があります。


 先週末13日(金)の25日移動平均線の値が5万4,019円でしたので、プラス9%まで乖離が進んだ株価水準は5万8,880円となります。

もちろん、今後の値動きで25日移動平均線の値は変化しますが、5万8,000円台の後半あたりまでは上値を伸ばす余地はありそうです。


 とはいえ、週足チャートで中長期の流れを確認すると、かなりの過熱感があることは否めません。


<図4>日経平均(週足)とMACDの動き(2026年2月13日時点)
日経平均、高市ラリーで上昇継続?過熱感から反落か?
出所:MARKETSPEEDII

 図4は、週足の日経平均とMACDの推移を示したものです。足元の株価は、2020年3月19日週の安値と2022年12月30日週の安値を結んだ「下値ライン」から上方向へ平行にずらした「チャネルライン」から大きくはみ出し、約5年にわたって形成したレンジを突破した格好になっていて、株価上昇の勢いがかなり強いことが感じ取れます。


 さらに、下段のMACDを見ても2,000円を大幅に超え、先週末13日(金)時点で2,995円です。かつてのアベノミクス相場や、平成バブル期でもMACDが2,000円に届くことはありませんでした。


 また、昨年11月には3,037円まで上昇したタイミングで株価がしばらく調整したことを踏まえると、ここ数カ月間のMACDは過去の時期と比べても異常といっても過言ではないところに位置しています。


 MACDは短期と中期の移動平均線(厳密には指数平滑移動平均線)の価格差の推移を示した線で、MACDの値が急上昇しているということは、短期の線の上昇スピードがそれだけ速いことを意味します。


 もちろん、国内企業の利益見通しが2026年3月期で数%、2027年3月期で2ケタ%の伸びという市場の期待通りとなれば、日経平均の6万円台超えは無理筋ではないです。


 しかし、MACDのように、時間軸で捉えると、かなりのスピード違反と考えることができるため、目先の株価上昇の賞味期限が短くなりそうなこと、そして、いつ株価の調整局面に入ってもおかしくない状況であることは強く意識しておく必要がありそうです。


(土信田 雅之)

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