「投資で億り人になれるのは、高学歴のエリートや大企業勤めだけだ」そんな思い込みを覆してくれる、なごちょう(名古屋の長期投資家)さん。ご実家の文具店を継いだ兼業投資家の投資法はバリュー株投資。
▼なごちょう(名古屋の長期投資家)さんプロフィール
「一生懸命働くより株だ!」中学生が億万長者を夢見た原体験
トウシル:「年収300万円台でもできた!2億稼げる なごちょう式 低リスク超分散株投資」を拝読しました。年収が比較的低い方に、絶大な勇気を与える名タイトルですね!
なごちょうさん:ありがとうございます。投資本やYouTubeを見ると「平凡なサラリーマンが~」とか「失敗した自分が~」とか書いていても、プロフィールを見ると東大卒だったり、元証券会社勤めだったり、大手優良企業出身だったり、結局はエリートで経歴がピカピカの人が多いじゃないですか(笑)。
そういう人たちを見て「自分とは住む世界が違う」「自分には無理だ」と思ってしまう人に向けて、自分みたいな「実家の文房具屋を継いだ地方の一般人」でも戦えるぞ、と伝えたくてこのタイトルをつけました。インパクトがあってよかったです(笑)。
トウシル:まさに「普通の人の希望」となる一冊だと思います。そんな一般人であるなごちょうさんは、どういったきっかけで株式投資に目覚めたのでしょうか?
なごちょうさん:最初のきっかけは中学生の頃ですね。父の仕事の関係先に、 任天堂(7974) の株を現物でずっと持っていた方がいたんです。
当時はまだ任天堂の業績も今ほど良くなかった時代だったのですが、1983年のファミリーコンピューター発売を機に株価が高騰し、「その方の持株が一気に数億円になった」という話を聞いたんです。
その話を聞いたとき、中学生ながらも、すごい衝撃を受けまして。「大人になったらいい大学を出て働くよりも、株を持っていた方が生涯賃金以上稼げるんじゃないだろうか? 僕は将来、絶対に株式投資をやる!」と心に決めました。
その決意から6年後、成人を迎えたタイミングですぐに証券口座を作り、50万円を元手に株式投資を始めました。
トウシル:なごちょう少年は大人になって目標をかなえたんですね! 最初はどんな銘柄から?
なごちょうさん:最初は東芝(2023年上場廃止)、 富士通(6702) 、 パラマウントベッドホールディングス(7817) 、 モスフードサービス(8153) をミニ株で購入しました。夢は大きかったんですが、バイトのボーナスが元手だったので、いきなり単元株に手を出す勇気はなくて(笑)。
その後はビギナーズラックでもうけたり、逆にITバブル崩壊などの大暴落に巻き込まれて含み損を抱えたりと、浮き沈みが大きい投資を続けていました。
トウシル:現在は堅実なバリュー株投資で成果を上げられていますが、何がきっかけでそのスタイルに?
なごちょうさん:2002年、村上ファンドによる東京スタイル(2019年3月1日に事業をサンエー・インターナショナルに移管して休眠会社)への投資を目の当たりにしたのが大きな転機です。村上ファンドの村上世彰氏が9.3%の株を保有して株主総会に乗り込み、大幅な増配を勝ち取ったというニュースを見たんです。
当時、東京スタイルは本業のアパレルよりも、保有している現金や不動産の価値の方が高いような状態でした。「決算書を読み込み、実力よりも極端に安く評価されている企業を見つけられれば、自分も大もうけできるかもしれない」と衝撃を受けたんです。
そこから約20年、リーマンショックやコロナショックといった下落こそ経験しましたが、コツコツと割安な株を拾い集めることで資産を増やしてきました。
安い理由を疑え!バリュー株投資で失敗しないための鉄則
トウシル:211銘柄を選ぶ際、具体的にどのような基準でスクリーニングをしているのか教えてください。
なごちょうさん:定量的な条件としては、まず株価純資産倍率(PBR)が1倍割れであること。できれば0.5~0.6倍付近が理想ですね。次に株価収益率(PER)は1桁台であること。
トウシル:安いには安いなりの理由がある場合も多いと思います。その中からどうやって「当たり」を見分けるのでしょう?
なごちょうさん:おっしゃる通りです。だからこそ、数字が安いからといってすぐに飛びつくわけではありません。「なぜこれほど安く放置されているのか?」その理由を必ず調べます。
直近の決算が悪かったからなのか、単に不人気業種だからなのか。あるいは、過去に土地を売却した特別利益の影響で、見かけ上のPERが低くなっているだけなのか。
トウシル:数字の裏側まで見るわけですね!
なごちょうさん:安さの理由を突き止めて、それでもなお「この企業の実力や資産価値に対して、今の株価は低すぎる」と自分が納得できた時だけ買うのがコツですね。
例えば、工場の定期修繕や為替の影響など、一時的な要因で減益になって株価が下がっているなら、それは買いのチャンスかもしれません。逆に、構造的に稼ぐ力が落ちているなら、いくらPBRが低くても手を出してはいけません。
トウシル:「納得できるまで調べる」というのが重要なんですね。
なごちょうさん:そうです。SNSで「あの有名な投資家が買ったから」と話題になっていても、自分は買いません。誰が推奨していようと、自分で調べて納得できなければ買わない。この「自分軸」を持つことが、長く生き残った要因の一つだと思っています。周りに流されて買った株は、下がった時でも上がった時でも握り続ける握力を持てませんからね。
「もっと入金しなきゃ」の呪縛を解く。時間を味方につける複利の力
トウシル:2021年9月に資産1億円を突破されてから、わずか数年で2億円に到達されています。このスピード感はすごい! 急速な成長の要因は何なのでしょうか?
なごちょうさん:ここ数年は日本株全体、特にバリュー株への見直し買いが進んだという相場環境の良さもありました。ただ、私のスタイル自体は変わっていません。基本的には「現物取引」で長く持つことです。
トウシル:資金力は変わったのでしょうか?
なごちょうさん:実はここ数年、給料からの入金はほとんどしていません。税引前配当金だけで年間500万~600万円ほど入ってくるので、それと売却益を再投資に回しているだけですね。
トウシル:まさに「お金が働いてお金を生む」状態ですね! 年収300万円台からスタートして、そこまでたどり着けるというのは夢があります。
なごちょうさん:以前は「もっと入金しなきゃ」という強迫観念もあったんですよ。しかし、今は会社員としてのお給料は生活費や友人との食事、旅行などに使っています。そして、株の配当金だけを使って、また新しいバリュー株を買うという生活を送っています。
焦らず時間を味方につけることで、雪だるま式に資産が増えていく実感があります。特別な才能がなくても、時間をかけて「複利」の力を生かせば、誰でも資産を築ける可能性がある。それが株式投資のいいところだと思います。
幾多の失敗を経てバリュー株投資に目覚めたなごちょうさん。割安株を見極める視点の裏側には、なごちょうさんならではのユニークな企業分析術がありました。後編では、より具体的な「情報収集の方法」や「失敗談」について深掘りします。
▼後編はこちら
「問題アリ企業」の観察で、本物を見抜く力を養う:なごちょうさんインタビュー後編
(トウシル編集チーム)

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