日経平均は一時5万4,000円を超えました。この流れ、どこまで付いていって良いでしょうか?高市政権への期待の一方、日本株のPER上昇、地政学リスク、長期金利上昇には注意が必要です。

値上がり部分を少し利益確定売りして良いタイミングですが、中長期の上昇期待は続くので、日本株の保有が少なくなり過ぎないようにした方が良いと思います。


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解散総選挙を好感した外国人の買いで日経平均急騰

 先週(営業日1月13~16日)の日経平均株価は、1週間で1,996円(+3.8%)上昇して5万3,936円となりました。1月16日には一時5万4,487円をつけ、史上最高値を大幅に更新しました。


 高市早苗首相が、1月23日の通常国会冒頭で衆院解散総選挙を実施する意向を表明したことを好感して、外国人投資家とみられる買いが急増。日経平均を急騰させました。


 外国人投資家は、「衆院解散総選挙で自民党が勝利、財政拡張を伴う積極的な成長戦略がとられる」ことまで織り込んで、日本株を積極的に買ってきていると思われます。


<日経平均週足:2025年1月6日~2026年1月16日>
日本株:高市ラリーまだ続く?懸念は地政学リスクの高まりと長期金利上昇(窪田真之)
出所:楽天証券MS IIより作成

 高市ラリーは二段階で進んでいます。第一弾は、2025年10月4日の自民党総裁選で高市早苗氏が勝利したことを好感して、外国人投資家が日本株を大量に買い、日経平均が急騰しました。そして、第二弾が今回、高市首相が衆院解散総選挙を表明したことを好感して、外国人の買いで日経平均が急騰しました。


<日経平均と外国人投資家の売買動向(買越・売越、株式現物と株価指数先物の合計):2025年3月24日~2026年1月16日(外国人売買動向は1月9日まで)> 
日本株:高市ラリーまだ続く?懸念は地政学リスクの高まりと長期金利上昇(窪田真之)
出所:QUICKおよび東証データより作成

 日本の企業業績が堅調に推移する見込みであることも、株価上昇の背景にあります。トランプ関税の影響が一巡する中、高市政権の成長戦略が動き出すことにより、来期(2027年3月期)は東証プライムの連結純利益が二けた以上の増加になるとの期待が高まっています。


 これから本格化する2025年10-12月期決算も、12月の日本銀行短観大企業DIが良好であったことから、良好と思われます。


<日銀短観:大企業製造業および非製造業DIの推移:2020年3月―2025年12月>
日本株:高市ラリーまだ続く?懸念は地政学リスクの高まりと長期金利上昇(窪田真之)
出所:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」より作成

 2025年12月の日銀短観DIは、2025年11月11日~12月12日まで日本銀行が企業経営者に対して行った景況感アンケートの結果から作られています。

つまり、その時点での大企業景況を表していて2025年10-12月期決算の先行指標としての価値があります。


 非製造業DI(不動産、建設、情報通信、サービスなど)は+34で、非常に好調です。+20でも良好と言えるところ、+30超が続いています。今期(2026年3月期)の企業業績は、トランプ関税の影響で製造業(自動車など)が減益となる中、非製造業が極めて好調です。2025年10-12月決算でも、非製造業の好調は継続していると思われます。


 製造業DIも+15と良好です。トランプ関税のダメージは大きいものの、円安・米景気堅調に加え、日本の設備投資回復の恩恵を受けています。世界的なAI投資拡大の恩恵から、半導体製造装置などが特に好調です。


PERが高くなってきていることに注意が必要 

 高市ラリー・AIラリーに沸く日本株ですが、先行きの企業業績拡大を、先んじて織り込んで上昇してきたため、予想株価収益率(PER)の水準が高くなってきていることに注意が必要です。


<東証プライム市場の予想PER月次推移:2022年4月~2026年1月(16日)>
日本株:高市ラリーまだ続く?懸念は地政学リスクの高まりと長期金利上昇(窪田真之)
出所:QUICKより作成

 PER水準が高くなっているため、何か想定外のショックが起こると、日経平均急落につながる可能性があることには注意が必要です。


 足元、すぐに株式市場の崩落につながる材料はありません。ただし、年初から世界中で地政学リスクが高まっていること、日本の長期金利上昇に弾みがついていることには注意が必要です。


 新年早々から、世界中で地政学リスクの高まりが懸念される出来事が相次いでいます。


【1】べネズエラ事変
【2】中国による台湾周辺での軍事威圧行動
【3】ウクライナでのロシアによる攻撃激化
【4】イランでの反政府暴動
【5】米国によるグリーンランド領有を実現するためにトランプ大統領が強硬姿勢打ち出し


 トランプ大統領は17日、米国によるグリーンランド領有に反対する欧州の国々、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、オランダ、フィンランドに対し、2月1日から10%の関税を課し、6月1日には25%に引き上げることをSNS上で表明しました。欧州各国は一斉に強く反発しており、米国と欧州の対立が激化するリスクが生じています。


 また、高市政権の成長戦略への期待から日経平均が急騰する一方、財政悪化を懸念して、長期金利の上昇に弾みがついていることには、注意が必要です。


<日米の長期(10年)金利・超長期(30年)金利推移:2019年末~2026年1月16日>
日本株:高市ラリーまだ続く?懸念は地政学リスクの高まりと長期金利上昇(窪田真之)
出所:QUICKより作成

日本株の投資判断

 日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいとの判断は変わりません。ただし、短期的な株価上昇ピッチが速すぎで、PER水準が切りあがっていることに警戒が必要です。値上がり分を一部、利益確定売りするのも良いと思います。


 ただし、日本株に長期的な上昇期待があることを考えると、日本株の保有が少なくなり過ぎないようにコントロールすべきと思います。


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