高市ラリーとAIラリーで年明けから日経平均は大きく上昇したものの、足元ではグリーンランドをめぐる米欧対立や長期金利上昇、円高など波乱材料が増えています。短期的な急落や急騰に一喜一憂することなく、時間分散しながら日本株を買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。
先週の日経平均は急落後に急反発
先週(営業日1月19~23日)の日経平均株価は、1週間で89円下がり5万3,846円となりました。先週一週間で見ると、ほぼ横ばいだったことになります。ただ、実態は大荒れの1週間でした。
先週前半(1月19、20、21日)、日経平均は1,742円下落して一時5万2,194円をつけました。
デンマーク自治領グリーンランドを巡り米欧対立が激化する不安から日経平均は売り込まれました。日本の超長期国債が売り込まれた(超長期金利が上昇)ことも、不安材料となりました。
先週後半(1月22・23日)、日経平均は急反発して、ほぼ前半の下げを取り戻した形となりました。トランプ大統領が欧州への関税発動を撤回、欧州諸国とグリーンランドについて何らかの合意ができたとしたことが好感されました。
<日経平均日足:2025年12月1日~2026年1月23日>
1月17日グリーンランド領有を目指すトランプ大統領は、「武力行使も辞さない」「領有に反対する欧州の国々(デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、オランダ、フィンランド)に対し2月1日から10%の関税を課し6月1日には25%に引き上げる」と表明したことに欧州諸国が反発、結束して報復関税の検討を始めたことから、先週前半は世界的に株価が急落しました。北大西洋条約機構(NATO)崩壊・関税戦争激化が懸念されました。
ところが、昨年何度も繰り返されたことが、また、繰り返されました。トランプ大統領は、欧州と協議ができたので関税を撤回すると表明して、欧州も報復策を撤回しました。
昨年、関税強硬策を発表してはすぐに撤回することを繰り返してきたトランプ大統領をやゆする「TACO」(トランプはいつもビビって引き下がる)が広まりましたが、「今回も超短期のTACO」と言われました。
ただし、今回については「ビビって引き下がった」のではなく、最初から計算づくと思われます。過剰な要求を出して脅かしてから要求レベルを引き下げつつ米国に有利な条件を引き出すというやり方です。報道によると、グリーンランドの一部を米国が領有する案が検討されているということです。
日本の超長期金利上昇に不安も
先週前半は、もう一つの不安が日経平均急落に影響しました。日本の超長期債の価格急落(利回り上昇)です。高市政権の財政拡張を伴う成長戦略の実施によって、日本の財政がさらに悪化する不安から、超長期国債が売られていることに不安が高まっていました。
<日米の長期(10年)金利・超長期(30年)金利推移:2019年末~2026年1月23日>
超長期国債は、先週前半に売り込まれた後、先週後半は利回り上昇を見た買いも入り値を戻しました。ただ、トレンドとしての長期金利・超長期金利の上昇が終わる気配はまだありません。
米当局のレートチェックで円高急伸
23日(金)東京市場が締まった後、ニューヨーク市場で円高が急伸、1ドル155円台をつけました。米当局によるレートチェック【注】が入ったため、日米協調で(円買い)為替介入が入るとの思惑を呼び、投機筋が円売りポジションをてじまい、円高急伸につながりました。
【注】レートチェック
米連邦準備制度理事会(FRB)や日本銀行が、銀行などの市場参加者に為替取引水準に関して問い合わせること。為替介入の準備段階として意識される。
23日に発表された日銀金融政策決定会合で、事前予想通り、日銀の利上げはありませんでしたが、利上げがないことを確認してから、円売りを試す動きが出て、一時1ドル159円台をつけました。
1ドル160円は政府日銀が円安進行を止める防衛ラインとして意識しているところなので、そこに接近すれば、当然円買いの為替介入を検討すると考えられます。
日本が「ドル売り・円買い」をするためには、保有する米国債を売る必要があります。それは、米国金利の上昇要因となります。米国にも、円安を止めたい意向があるが、そうは言っても米国債が売られることは望まないという複雑な立場にあります。そこで、レートチェックによって、介入を示唆する形をとったため、円高急伸となりました。
円高が進んだことを受けて、1月26日(月)の日経平均は、反落してスタートすると考えられます。
日本株の投資判断
日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいとの判断は変わりません。ただし、短期的な株価上昇ピッチが速すぎで、株価収益率(PER)水準が切り上がっていることに警戒が必要です。
日経平均はこれからも急落・急騰を繰り返しながら上昇していくと思います。時間分散しながら割安な日本株に投資していくことが、長期的な資産形成に寄与すると思います。
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(窪田 真之)

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