高市首相が「進退をかける」と表明した衆院解散総選挙。背景には、少数与党の停滞を打破し、責任ある積極財政、成長戦略を前に進める狙いがあります。
高市首相が解散総選挙に「進退をかける」と明言した理由
高市早苗首相は19日の衆議院解散表明で「進退をかけます」と覚悟を表明しました。今回の選挙は、長引く経済停滞と不安定化する安全保障環境を打開するための「停滞突破解散」と位置づけられます。
石破政権から引き継いだ少数与党のままでは、責任ある積極財政や成長戦略を十分に実行できないとの判断で直接国民に信を問う決断をしました。言い換えれば、強いリーダーシップの下で政権基盤を安定させ、政策遂行力を強化したい狙いです。
昨年末に自民党の衆院議員1名の長期入院で与党議席数が233から232に減り与党勢力が弱まる懸念が伝えられました(図表1)。高市政権は成長投資と分配の両立、家計や中小企業支援を掲げていますが、少数与党では実現が難しいとの危機感を抱いた結果です。
自民党独自の情勢調査が「解散すると与党が過半数を回復する公算が高い」と示唆したことも決断を後押ししたとも報道されました。中国による対日圧力が強まる中、安全保障政策も強化する政権基盤を固めたい首相は、総選挙での勝利を手土産に3月に訪米しトランプ大統領と対中戦略を協議する見込みです。
2月8日の選挙は「高市路線」と公明党が政策を主導する「中道改革連合路線」のどちらを選ぶかを問う政権選択選挙ともいえるでしょう。
図表1:高市首相が「停滞突破」に向け国民に信を問う政権選択選挙
高い内閣支持率と与党の勝算、野党の勢いは?
高市首相が衆院解散に踏み切った要因は他にもありそうです。第一に、「内閣支持率と自民党支持率の合計が6割を超えると与党が勝ちやすい」とされる「青木の法則(比率)」です。故・青木幹雄自民党参議院幹事長が提唱した経験則で、「内閣支持率と与党(主に自民党)支持率の合計が6割を超えると与党は国政選挙で勝利しやすい」とされています。
1月の世論調査(例:日本経済新聞社・テレビ東京の共同/23~25日調査)では高市内閣の支持率は67%、自民党支持率が42%で、青木の法則による合計比率は100%を超えています。
第二に、昨年12月のガソリン暫定税率廃止や年収の壁引き上げなど、生活に直結する政策を迅速に決断した姿勢が、現役世代や女性から評価されています。第三に、国会や首脳外交で示してきた人柄やコミュニケーション力が若年層を含む高い支持につながっており、世論調査によっては若年層(29歳以下)の内閣支持率は9割に達しました。
こうした無党派層が多い現役世代や若年層が投票率を押し上げれば自民党の党勢を回復させる可能性があります。真冬の解散総選挙は前例が少なく、投票率の高低はカギを握りそうです。
一方、国民民主党や参政党など野党の台頭や中道改革連合の誕生が自民党に与えるリスクもあり、特に激戦が予想される小選挙区では選挙結果が流動化する可能性もあります。多党化が進む近年の政治状況にあっては青木の法則を満たしても選挙情勢が盤石ではない点には留意すべきでしょう。「選挙は水物」という格言にも注意が必要です。
なお、選挙結果次第では与党を中核に、国民民主党や参政党などとの閣外協力の拡大も注目されています。
選挙結果別のマーケット展望、まずはシナリオA?
図表2:選挙結果シナリオ別に6カ月以内の相場動向を占う
高市自民党を中心とする与党の勝敗度合いが、為替と株式市場に大きな影響を与えると予想しています(図表2)。議席を大きく伸ばす場合、責任ある積極財政や名目国内総生産(GDP)拡大(財源を増やす)を重視する成長戦略が継続されるとの見方が強まり、海外投資家の信頼感が高まると見込んでいます(通称「高市トレード」)。
新規国債発行を伴う積極財政や金融緩和継続観測は、足下の為替介入観測を消化した後は円安を促し株高要因として作用しそうです。官民主導の投資拡大が主導する企業収益期待も株式市場で評価されやすくなります。
円安・株高の度合いは、(1)与党が過半数(233議席以上)を確保し保守系野党と連携、(2)自民党単独過半数、(3)与党の安定多数確保の順に大きくなるとみられます。一方、与野党で先行する消費税減税論に警戒感が強まると、国債のリスクプレミアム拡大(財政懸念による、悪い長期金利上昇)を誘い、円安が進む中で株式市場が不安定化する場面も否定できません。
逆に、与党が過半数を失う結果(高市政権にとりワーストシナリオ)となれば円高・株安のリスク(「高市トレード」の巻き戻し)が強まるでしょう。
2026年日経平均の上値はどこまで?
高市首相が23日に衆院を解散した「7条解散」は、日本国憲法第7条に基づく首相主導の任意解散で、内閣不信任による「69条解散」と異なり、時の首相が「選挙に勝てる」と判断した時期に国民に信を問える手法です。戦後の主な7条解散の選挙結果では、9回中8勝0敗1引き分けで与党の勝率が極めて高いことが知られています。
上記したように高市内閣の支持率が相対的に高い状況を踏まえると、与党勝利確認後には日本株に相応の上値余地があると考えます。
米国市場では1月27日にS&P500種指数が今年4回目の過去最高値を更新しました。世界的な株価堅調基調に加え、日本企業の資本効率向上、ガバナンス改革や株主還元強化が進む中、マクロ面で高市政権の経済政策推進期待が重なれば、海外投資家による日本株に対する相対的評価が一段と高まる可能性があると見込んでいます。
図表3:日経平均株価の予想レンジと上値余地を試算する
選挙結果が「与党(自民党)勝利」に至る場合の日経平均株価の上値余地を図表3で試算しました。外部環境として、米国市場など世界的な株高基調(リスクオン)の流れが続くなら、日本株にも追い風が及ぶ(外国人投資家のリスク許容度改善を通じた日本株買いが続く)展開が前提となります。
図表3は、日経平均ベースの今年度(2026年3月期)の時価総額加重平均1株当たり利益(EPS)を起点に、翌年度(2027年3月期)の予想増益率に応じた予想EPSに想定株価収益率(PER)を乗じて試算した株価予想モデルです。
今年度の予想EPS(時価総額加重平均)は、米国の対日関税率着地、為替の円安傾向、デジタル・データセンター・半導体・電力関連の設備投資需要増加を主因に業績見通しが上方修正され、直近の予想EPSは1月26日時点で2,684円に増額修正されてきました(昨年10月初め時点では2,477円でした)。
翌年度(2027年3月期)の業績はおおむね前期比10%以上の増益(最高益更新)が見込まれており、予想PERが現行の約20倍を維持するなら、2026年末に向けた日経平均の上値余地としては6万円超も見込める計算となります。「デフレ時代の予想PER」と「インフレ時代の予想PER」の水準を同一視しない市場参加者も増えそうです。
実際、2013年のアベノミクス相場では「デフレ脱却期待」で4月25日に予想PERが23.4倍に達した記録があります。総選挙で高市政権が勝利する場合、日本の潜在成長期待(将来の名目GDPの拡大期待)が高まると予想しています。
なお、インフレ下の資本主義経済下で株価の名目水準が切り上がるのはデフレ脱却後(物価上昇の定着後)に明らかとなったトレンドです。解散総選挙での与党勝利が後押しする高市政権の経済政策の推進を受けた中長期の業績面(ミクロ)の押し上げ効果期待も考慮すると、予想EPSと予想PERの両面でポジティブな効果が見込めるでしょう。
アベノミクス相場を振り返ると、2012年末に1万円前後だった日経平均は約3年で2万円前後へ約2倍となった市場実績が知られています。当面の選挙動向(情勢報道)、2月8日の投開票結果、海外投資家による日本株に対する評価の変化は株式市場の動向を見極める上で重要な転換点となるでしょう。
(香川 睦)

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