衆院選では自民党の圧勝が想定されており、株式市場では高市政権の政策期待が高まる見込みです。こうした中、現在は3月期決算企業の配当権利取りが活発化しやすい局面でもあります。

ここからの高配当利回り銘柄の物色に関しては、来年度の業績見通しが重要となってくるでしょう。


LIXIL、ホンダ…減配リスクが低い高配当株5選。銘柄物色に...の画像はこちら >>

高市首相の衆院解散表明で一段と政策期待が高まる展開に

 2026年1月(2025年12月30日終値~2026年1月30日終値)の日経平均株価(225種)は、5.9%の上昇でした。大発会から買い先行のスタート、その後も一段高となって、1月13日には2025年11月4日につけた史上最高値(5万2,636円)を更新。


 翌14日には高値を5万4,487.32円まで伸ばしました。ちなみに、この期間(2025年12月31日終値~2026年1月31日終値)のダウ工業株30種平均は1.7%の上昇でした。


 年明けから半導体関連株に買いが集まり、全体相場をけん引していく動きとなりました。その後、高市早苗首相が衆議院の解散を検討しているとの報道が伝わり、財政拡張政策に対する期待感が一段と高まっていく展開となりました。


 台湾 タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM) や蘭 ASMLホールディング(ASML) の好決算発表なども支援材料となりました。月前半には、米国のベネズエラに対する軍事行動、中国政府による軍民両用品目の対日輸出規制強化の発表などがありましたが、全体相場への影響は限られました。


 月後半にかけては、トランプ米大統領がグリーンランドの領有を巡り、米国の反対国に対して最大25%の関税を課すと発表したこと(のちに関税方針は撤回)、日米でのレートチェック観測による円高反転の動きが株価の上値を押さえました。


 なお、日本銀行金融政策決定会合、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されましたが、サプライズはありませんでした。


 この期間で上昇が目立った銘柄としては、 キオクシアホールディングス(285A) 、 ローツェ(6323) 、 日東紡(日東紡績:3110) 、 TOWA(6315) 、 ディスコ(6146) など、半導体関連株が挙げられます。また、中国のレアアース輸出規制を警戒して、 東洋エンジニアリング(6330) もレアアース関連株として急伸しました。

さらに、金相場の急騰が材料視されて 住友金属鉱山(5713) の上昇も目立ちました。


 一方、 SHIFT(3697) 、 ベイカレント(6532) 、 マネーフォワード(3994) 、 ラクス(3923) 、 Sansan(4443) など内需系グロース株の一角が下落しました。IT関連の一角には人工知能(AI)台頭による競争激化への懸念も強まっているようです。 野村総合研究所(4307) は決算発表後に売り優勢となっています。


衆院選後は政策期待銘柄への注目があらためて高まる方向に

 2月8日に衆議院議員選挙の投開票が行われますが、これまでの情勢調査では自民党の圧勝が想定されています。国内株式市場の支援材料につながる可能性が高いでしょう。あらためて、高市政権の重要政策に関連する銘柄群などに注目が集まっていく見通しです。


 長期金利の上昇がリスク要因となりますが、米長期金利の上昇が一服すれば、国内金利上昇の抑制要因として働く可能性もあります。ここまでの米長期金利上昇は、ドルの信認低下によってもたらされてきた面も強いとみられます。


 今回、トランプ米大統領が次期米連邦準備制度理事会(FRB)議長として指名したケビン・ウォーシュ氏は、タカ派とされる人物になります。FRBの独立性に対する懸念が後退すれば、ドルの見直しが進むことになるでしょう。この場合、過度にドル安円高が進むリスクが後退することになります。


 一方、ドルの見直しは、ここまで急騰が続いてきた金相場の下落要因となってきます。


 2月中旬までは、10-12月期の決算発表が物色の最大の手掛かり材料となります。 アドバンテスト(6857) が予想以上の好決算を発表したことで、半導体関連には買い安心感が強まりつつあります。


 今後は以下の3点が注目点となりそうです。


  • 自動車株を中心とした米国関税政策の影響
  • ゲーム企業などに対する半導体価格高騰の影響
  • 防衛関連企業における足元の受注動向

 その他、米国の大手IT企業における設備投資動向は、国内AI関連株に影響を与えやすく、引き続き注目度は高い状況とみられます。


 また、現在は来年度の業績動向に対する関心も高まりやすいタイミングであり、来年度の業績コンセンサスなどもチェックしておきたいところです。なお、2月相場に入っていることで、3月末配当権利取りの動きなども、今後活発化してくる見通しです。


3月末の配当権利取りに向けては、来年度業績懸念の少ない銘柄を探る必要性

 2月に入ると、3月期決算銘柄の権利取りの動きが意識されてくることになります。現在、第3四半期の決算発表が本格化しているため、決算内容を確認後、権利取りの動きは活発化していくでしょう。


 こうした中、順調な業績動向が見込まれる銘柄は、権利取りの動きの本格化を先取りする意味からも、現在は投資妙味の高い場面といえます。


 一方、今後は来年度(2027年3月期)の業績を織り込むタイミングでもあります。特に高配当利回り銘柄物色においては、新年度の減配が発表されると株価への大きなネガティブインパクトにつながります。新年度も順調な業績推移が期待でき、減配の可能性が低い銘柄を探ることが重要であるともいえます。


(表)来年度減配可能性の低い高配当利回りの大型株 コード 銘柄名 配当利回り
(%) 1月30日
終値(円) 時価総額
(億円) 今期増益率
(%) 来期増益率
(%) 5938 LIXIL 5.08 1,772.5 5,096 18.6 88.3 7267 ホンダ(本田技研工業) 4.50 1,555.0 82,104 ▲36.8 43.0 4613 関西ペイント 4.46 2,466.5 4,389 11.2 10.7 8252 丸井グループ 4.33 3,026.0 5,557 7.1 11.8 9076 セイノーHD 4.24 2,408.0 4,519 38.2 8.3 注:配当利回りはコンセンサス予想
注:今期増益率、来期増益率ともにコンセンサス経常利益 銘柄選定の要件
  • 配当利回りが4.0%以上(1月30日時点での会社予想、ならびにコンセンサス予想)
  • 時価総額が3,000億円以上
  • 3月期本決算
  • 今年度(2026年3月期)コンセンサス経常利益が2ケタ増、ないしは会社計画以上
  • 来年度(2027年3月期)コンセンサス経常利益が増益
  • 記念配などにより今年度の配当水準が押し上げられていない銘柄
  •  楽天証券のスーパースクリーナーにおいて、配当利回り4.0%以上、時価総額3,000億円以上、3月期本決算企業でスクリーニングをかけ、その中から、会社計画ベースでの配当利回りが4%以下のもの、業績面で懸念のあるものを除いた銘柄群が表になります。


     業績面で懸念のある銘柄とは具体的に、今期経常利益のコンセンサス予想が会社計画を下回っているもの(コンセンサス予想が2ケタ増のものは除く)、来期経常利益コンセンサスが減益見通しであるものと位置付けています。なお、コンセンサス予想もスーパースクリーナーにおいて確認できます。


    厳選・高配当銘柄(5銘柄)

    1 LIXIL(5938・東証プライム)

     2011年にトステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社が統合して誕生した国内最大手の住宅設備機器メーカーです。トイレ、洗面化粧台、浴室、キッチンなどのほか、窓や玄関ドア、エクステリア製品、インテリア建材などを手掛けています。ショールーム数は113拠点(2025年3月末現在)にのぼります。


     2026年3月期第3四半期(2025年4-12月期)事業利益は365億円で前年同期比17.5%増となっています。国内リフォーム商材が堅調に推移、省エネ基準厳格化や補助金に後押しされる形となっています。


     2026年3月期税引前利益は210億円、前期比4.2%増を計画していますが、コンセンサス予想では239億円、同18.6%増が見込まれています。同予想では2027年3月期税引前利益は450億円、同88.3%の大幅増益予想です。


     会社側では2026年3月期年間配当金は前期比横ばいの90円を計画。株主還元策として、中期的な利払い前・税引き前・減価償却前利益(EBITDA)の水準に基づき年間配当額を決定し、自己株式の取得は余剰資金の有無により機動的に検討としています。


     2027年3月期は大幅増益が想定されていることで、高い配当水準は維持される公算が大きいとみられます。


    2 ホンダ(本田技研工業:7267・東証プライム)

     北米を収益源とする国内自動車大手の一角で、二輪車では世界トップシェアを占めています。2026年3月期第2四半期(2025年4-9月期)営業利益は4,381億円で前年同期比41.0%減となっています。


     二輪事業は順調に推移しているものの、四輪事業は米国の関税影響に加えて、EV(電気自動車)に関連した一過性費用などを計上し、収益の重しとなっているようです。なお、第2四半期決算時には業績予想を下方修正、半導体供給不足の影響を織り込み、通期営業利益予想は従来の7,000億円から5,500億円に引き下げています。


     2026年3月期税引前利益は5,900億円、前期比55.2%減を計画していますが、コンセンサス予想では8,327億円、同36.8%減が見込まれています。同予想では2027年3月期税引前利益は1兆1,1,907億円、同43.0%の大幅増益予想です。同社に限らず、自動車業界は全般、米関税策の影響軽減によって、2027年3月期の業績回復が想定されているようです。


     会社側では2026年3月期年間配当金は前期比2円増の70円を計画。2026年3月期以降、還元指標として株主資本配当率(DOE)を導入しており、3.0%を目安にするとしています。収益水準の回復も想定されることで、目先は減配の可能性が低いと判断できます。


    3 関西ペイント(4613・東証プライム)

     国内塗料大手の一角で、自動車用ではトップシェアとなっています。インド市場の売上構成比が4分の1を占め、同市場では建築用で第2位、自動車用でトップとなっています。アフリカ市場にも強みを持っており、建築用塗料ではトップシェアのようです。


     2026年3月期第2四半期(2025年4-9月期)営業利益は243億円で前年同期比7.6%減となっています。インド建築用市場が軟調だったほか、北米もパワースポーツ需要の低迷が響いたようです。

    上半期決算時には通期予想を従来の540億円から510億円に下方修正しています。欧州や北米における需要回復の遅れなどを下振れ要因としています。


     2026年3月期経常利益は550億円、前期比12.0%増を計画していますが、コンセンサス予想では546億円、同11.2%増が見込まれています。同予想では2027年3月期経常利益は604億円、同10.7%の増益予想です。


     会社側では2026年3月期年間配当金は前期比60円増の110円を計画。フリーキャッシュフロー100%還元および累進配当を株主還元方針としたことで、2025年8月に配当計画を修正しています。配当性向は50%以上をめどとしています。


     インドの自動車普及率は10%未満と推定され、6~7割に達している日米市場との比較からみて、自動車用塗料の成長余地は極めて大きいと考えられます。


    4 丸井グループ(8252・東証プライム)

     首都圏を地盤に商業施設「マルイ」を展開する大手小売り企業。小売事業は、商品を仕入れて販売する百貨店型から、テナントから賃料収入を得るショッピングセンター型に転換しました。さらに、ここ数年はクレジットカード「エポスカード」の利用によるリボ・分割手数料、キャッシング利息などを中心としたフィンテック事業が好調で、小売り事業を上回る収益の柱となっています。カード会員数は、2025年9月末段階で811万人。


     2026年3月期第2四半期(2025年4-9月期)営業利益は263億円で前年同期比22.7%増となっています。

    カードクレジット取扱高が2ケタ伸長に回復し、ポイント費用なども抑制されています。小売事業もテナント・イベント収入が増加し増益となっています。


     2026年3月期経常利益は420億円、前期比5.2%増を計画していますが、コンセンサス予想では427億円、同7.1%増が見込まれています。同予想では2027年3月期経常利益は477億円、同11.8%の増益予想です。


     会社側では2026年3月期年間配当金は前期比25円増の131円を計画。配当政策は2024年3月期からDOE8%をめどとしていましたが、2026年3月期からDOE10%程度へと変更しています。ちなみに、2026年3月期は14期連続増配見通しです。また、2031年3月期までに自己株式500億円の取得も計画しています。


    5 セイノーHD(9076・東証プライム)

    「カンガルー宅配便」で知られる西濃運輸を中核とする物流会社で、路線トラック輸送では業界最大手の位置づけとなります。足元では、物流ドローンを活用した「新スマート物流」の長期事業化に向けた取り組みも進めています。


     2026年3月期第2四半期(4-9月期)営業利益は181億円で前年同期比38.4%増となっています。MDロジスの新規連結化効果に加えて、強みを持つ高重量帯がけん引する形で単価が上昇し、適正運賃の収受も進んでいるようです。また、運行便の効率化によるコスト削減効果も顕在化しています。


     2026年3月期経常利益は383億円、前期比36.2%増を計画していますが、コンセンサス予想では388億円、同38.2%増が見込まれています。同予想では2027年3月期経常利益は420億円、同8.3%の増益予想です。


     会社側では2026年3月期年間配当金は前期比横ばいの102円を計画。資本政策としては、DOE4.0%以上の配当と継続的な自己株式の取得を掲げています。業容拡大に向けた買収や合併(M&A)の実施、順調な業績への寄与などは評価ポイントとなります。ディフェンシブ性は高く、長期的観点での配当利回り投資にマッチする銘柄と捉えられるでしょう。


    (佐藤 勝己)

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