先週の日本株は高市自民党圧勝で急騰。一方、米国株はAI脅威論がさまざまな産業に波及して低調でした。

今週は18日に第2次高市政権が発足する予定ですが、円高の進行もあり、材料難で日本株も調整局面を迎えるかもしれません。ただ小幅調整後にはAIとは無縁な重厚長大企業株を中心に押し目買いが入る可能性も高いでしょう。


今週のマーケット:第2次高市政権スタート。米国株「AI脅威論...の画像はこちら >>

今週のトピック:第2次高市政権の発足見通し。米国1月FOMC議事録公開

日付 イベント 2月16日(月) ・2025年10-12月期実質GDP発表
・ ブリヂストン(5108) 、 メタプラネット(3350) などが
2025年10-12月期決算発表
・中国市場が春節で23日(月)まで休場。米国市場も祝日で休場 2月17日(火) ・米国の2月ニューヨーク連銀製造業景気指数 2月18日(水) ・衆参両院で特別国会が召集され第2次高市政権が発足する見通し
・米国の1月FOMCの議事録公開 2月19日(木) ・米国で ウォルマート(WMT) が決算発表 2月20日(金) ・日本の1月CPI
・米国の2025年10-12月期実質GDP速報値、12月個人消費支出の価格指数

・18日(水)に特別国会が召集され、第2次高市政権スタート。材料出尽くしで下落後に旺盛な押し目買いが入る展開に!?


・人工知能(AI)の普及がソフトウエア産業の死など、さまざまな業界の構造変革につながるAI脅威論が収まり、そろそろリバウンド上昇!?


・中国市場が春節で1週間休場、日米企業の決算通過で閑散相場へ? 来週25日(水)の米国AI半導体メーカー・ エヌビディア(NVDA) 決算に対する期待と警戒が交錯してAI株の乱高下続く!?


・18日(水)、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録公開で利下げ期待が遠のき、米国株は不調に!?


2月16日(月)の日経平均

 前週末は終値5万6,941円と下落で終えましたが、前営業日比271円高の5万7,212円で反発スタート。その後前場では一時5万6,748円まで続落しましたが、後場になり5万7,000円台まで持ち直して浮上、推移しています。(2月16日14時現在)


今週のマーケット:米国株はAI脅威論の収束でリバウンド上昇!?AIが脅威にならないHALO株とは?

 先週は衆議院選での高市自民党の歴史的大勝で、日経平均株価(225種)は前週末比2,688円(4.96%)高の5万6,941円で終わりました。


 今週は日本企業の2025年10-12月期決算発表がほぼ終了したこともあり、さすがに材料出尽くしでいったん調整する可能性が高そうです。


 高市政権下での財政赤字拡大懸念にもかかわらず、米国ドルに対する信認低下や13日(金)発表の米国の1月消費者物価指数(CPI)が予想より下振れたことで利下げ期待が高まり、先週の為替市場では1ドル=152円60銭台まで円高が進行。


 今週も円高が続きそうなことも日本株の足を引っ張りそうです。


 しかし日本株が絶好調なのも事実。小幅調整後は押し目買いが入る可能性も高いでしょう。


 一方、先週の米国株はS&P500種指数が1.39%も下落するなど、AI脅威論の台頭が多くの業界に波及しました。


 AI脅威論は、米国新興AI企業のアンソロピック(非上場)が「Excel」などパソコン上のソフトウエアを使って資料作成、データ分析を自動で行ってくれる新AIツール「Claude Cowork」をリリースしたのがきっかけです。


 先週は、もともと家庭用カラオケ機器の販売業者だった米国AI企業・ アルゴリズムホールディングス(RIME) が、AIを使うことで運営人員を増やすことなく貨物取扱量を飛躍的に拡大させたと発表し、AI脅威論が物流業界にも波及。


 米国の物流ソリューション株が急落し、日本でも佐川急便グループの SGホールディングス(9143) が前週末比4.1%下落しました。


 米国ではAI脅威論でソフトウエア株だけでなく、製薬支援、不動産情報分析、旅行サイト運営、ゲーム関連株など幅広い業種の株が下落しました。


 しかし、当初AI脅威論の打撃を受けたソフトウエア企業大手の オラクル(ORCL) は先々週の13.0%安から先週は12.1%高とリバウンド上昇。


 AI脅威論が短期のから騒ぎに終わる兆しもあり、今週は反転上昇する可能性もあります。


 米国では、価値の高い資産を持ち、AIによる事業の陳腐化リスクが少ない企業が「HALO(Heavy Asset Low Obsolescence:固定資産が多く、陳腐化しにくい)株」と呼ばれ、持てはやされる動きも出ています。


 AI脅威論の流れでいうなら、AIデータセンター建設で潤う半導体メモリや電子部品メーカー、先週も6.6%高と続伸した キャタピラー(CAT) など発電機メーカー、さらに上流の半導体製造装置メーカー、電力会社、銅鉱山会社などがHALO株の典型例でしょう。


 来週の日本時間26日(木)早朝には米国エヌビディア(NVDA)が決算発表を予定。


 エヌビディアはAIデータセンター向け巨額投資の恩恵を最も受けて自社のAI半導体が飛ぶように売れている「AI二極化相場の究極勝ち組」企業です。


 それだけに来週のエヌビディアの決算発表をにらんで、今週は期待と警戒が交錯する神経質な展開になりそうです。


 18日(水)深夜には1月28日に4会合ぶりの金利据え置きを決めたFOMCの議事録も公開。


 米国株が2月に入って不調なのは、中央銀行の保有資産の圧縮に積極的だといわれるケビン・ウォーシュ氏が次期米連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名されたことや、雇用市場の改善で当面、FRBが利下げを見送る観測が高まっていることも背景にあります。


 実際、先週11日(水)発表の米国1月雇用統計は非農業部門雇用者数が予想を大幅に上回る前月比13万人増となり、失業率が4.3%に低下しています。


 18日発表のFOMC議事録で、3月18日(水)終了の次回FOMCでの利下げ見送り意見が大勢を占めているようだと、米国株が一段安になる可能性もあります。


日本株は材料難で下落?調整後は重厚長大産業の株に押し目買いが入る!?

 一方、日本では18日(水)に第2次高市政権がスタートする予定ですが、全閣僚を再任する方針でポジティブサプライズはなさそうです。


 日経平均株価は2026年に入って前年末比13.1%高と急ピッチな上昇が続いてきただけに、今週は材料難で上昇が停滞する可能性もあるでしょう。


 ただ、日本株は自動車、重電、機械、非鉄金属など重厚長大な製造業がメイン産業。AIが脅威になりにくい、製造現場の高い技術力に定評がある優良企業の宝庫です。


 2月に入って「強い日本株、弱い米国株」と好対照な流れが続いていますが、今週も重厚長大産業の組み入れ比率が高い東証株価指数(TOPIX)先導で底堅く推移しそうです。


 特に高市政権の防衛力強化の恩恵を受けることから先週、4.4%高の 三菱重工業(7011) 、20.9%も急騰した 川崎重工業(7012) 、5.6%高の IHI(7013) の防衛関連大手3社や6.5%高の 三井E&S(7003) といった造船株などは株価の続伸に期待できるかもしれません。


 高市早苗首相は2026年度の予算案の「年度内成立を諦めない」と発言。


 高市首相が積極財政に強い意欲を示せば、上下水道など老朽インフラ対策、防災や国土強じん化、半導体工場建設などインフラ関連株が買われる可能性もあります。


 一方、先週は高市自民党圧勝でも為替は円高に振れ、長期金利も低下するなど、財政赤字拡大懸念による日本売りの加速は見られませんでした。


 今週も逆に米ドル資産離れによる1ドル=150円割れの円高進行のほうが逆に心配といえる状況が続きそうです。


 20日(金)には日本の1月全国消費者物価指数(CPI)も発表されます。電気・ガス代に対する補助金の影響で、生鮮食料品を除くコアCPIは前年同月比2.0%の伸びまで鈍化する見通しです。


 2月後半からは物価高以上の賃上げを求める春闘が本格化することもあり、物価高沈静化、賃金上昇の流れが続けば、個人消費の盛り上がりに対する期待感で日本の内需株が見直し買いされる流れにも期待できそうです。


 一方、米国でも20日(金)夜に12月の個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)が発表。


 FRBが最重要視する、変動の激しい食品・エネルギーを除くコアPCEデフレーターは前年同月比2.9%と前月より伸びが加速する予想で、予想通りなら米国株の下げ要因になるかもしれません。


先週のマーケット:AIデータセンター株が急騰、サービス株急落!日本株もAI二極化相場が席巻!

 先週の日本株の週間業種別上昇率1位は、AIデータセンター向け光ファイバー販売が絶好調の 古河電気工業(5801) が驚きの前週末比48.2%も急騰した非鉄金属セクターでした。


 古河電気工業は9日(月)に2026年3月期の通期営業利益を上方修正。年度後半にかけて光関連製品の利益貢献が急拡大していることが1週間で50%近い急騰の原動力になりました。


 AIサーバー向け電解銅箔の需要が絶好調で今期最終益が過去最高益を更新する見通しを発表した 三井金属(5706) も27.7%高。


 同じく先週の決算発表で2026年1-3月期の売上高の見通しが非常にポジティブだった半導体メモリの キオクシアホールディングス(285A) も19.6%高。


 ともにAIデータセンター向けの「実需」に裏打ちされた好業績が急騰の理由なので、今週以降もさらに続伸する可能性が高いでしょう。


 また、高市自民党圧勝でも長期金利が上昇しなかったことから金利負担軽減の恩恵を受ける不動産業セクターも業種別上昇率2位に浮上。


 今期業績を上方修正した 三菱地所(8802) が14.8%高と急騰しました。


 その他、週間の業種別上昇率上位にはAIが脅威になりにくい商社など卸売業、機械、電気・ガス業などが入り、逆にAIが脅威となるサービス業が下落率ワーストになるなど、日本株でもAI二極化相場が鮮明でした。


 個別株では、電子材料など高収益事業への事業転換に成功して今期黒字化予想の繊維メーカー・ ユニチカ(3103) が93.3%も続伸。好調な相場にありがちなマネーゲーム銘柄として人気化しています。


 一方、レアアース関連株の 東洋エンジニアリング(6330) は2026年3月期の通期営業利益の赤字転落を発表して39.4%安。


 また、好決算発表にもかかわらず、 リクルートホールディングス(6098) が12.8%安、 GMOインターネットグループ(9449) が11.0%安となるなど、AIの脅威にさらされやすいサービス業の成長株が売られました。


 日本市場にも急速に拡大中のAI脅威論ですが、過剰反応し過ぎの面もあり、今週ソフトウエア株やインターネット関連株が反転上昇に転じるかどうかが注目されます。


(トウシル編集チーム)

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