自民党の衆院選圧勝を受け高市政権の政策基盤は安定化。政治リスクが後退した日本には、今後グローバル投資家の資金流入が強まるでしょう。

また、AI関連株への警戒感が強まる中、今後は3月決算期末に向けた権利取りの動きが強まる局面となり、目先は高配当利回り銘柄の好パフォーマンスに期待。


配当利回りTOP15:高市ラリーに乗れない割安株。3月権利に...の画像はこちら >>

アナリスト評価◎の割安高配当株TOP15 

コード 銘柄名 現在値 配当
利回り コンセンサス
レーティング 移動平均線
乖離率 月間
騰落率 6481 THK 4515.0 5.50 3.7 6.19 3.72 5938 LIXIL 1879.5 4.79 3.6 0.87 ▲ 2.52 2154 オープンアップグループ 1891.0 4.56 4.0 2.01 ▲ 1.66 6436 アマノ 4004.0 4.50 4.0 ▲ 3.48 ▲ 5.99 7944 ローランド 3860.0 4.49 3.7 4.10 ▲ 2.40 7267 ホンダ(本田技研工業) 1601.0 4.46 3.6 1.35 ▲ 2.11 7283 愛三工業 2216.0 4.40 4.0 ▲ 0.44 ▲ 4.73 9757 船井総研ホールディングス 1096.0 4.36 4.0 ▲ 4.95 ▲ 7.90 7226 極東開発工業 3380.0 4.29 4.0 8.76 0.15 6183 ベルシステム24
ホールディングス 1410.0 4.26 3.5 ▲ 0.54 ▲ 3.62 2914 JT(日本たばこ産業) 6087.0 4.21 3.7 5.15 4.95 2181 パーソルホールディングス 259.5 4.19 3.6 ▲ 7.71 ▲ 8.37 2127 日本M&Aセンター
ホールディングス 694.8 4.17 3.6 ▲ 4.17 ▲ 5.74 4189 KHネオケム 2989.0 4.17 4.0 17.33 17.22 7241 フタバ産業 1144.0 4.15 3.5 8.29 1.69 ※データは2026年2月13日時点。単位は配当利回りと月間騰落率、移動平均線乖離率は%、時価総額は億円。配当利回りは予想、移動平均線乖離率の基準は13週移動平均線。

※コンセンサスレーティング…アナリストによる5段階投資判断(5:強気、4:やや強気、3:中立、2:やや弱気、1:弱気)の平均スコア。数字が大きいほどアナリストの評価が高い。


※移動平均線乖離(かいり)率…株価が移動平均線(一定期間の終値の平均値を結んだグラフ)からどれだけ離れているかを表した指標。この数値がマイナスならば、移動平均線よりも現在の株価が安いということになる。


 上表は、長期投資に適した銘柄の高配当利回りランキングと位置付けられます。


 2月13日時点での高配当利回り銘柄において、一定の規模(時価総額1,000億円以上)、ファンダメンタルズ(コンセンサスレーティング3.5以上)、テクニカル(13週移動平均線からの乖離率20%以下)などを楽天証券の「スーパースクリーナー」を使ってスクリーニングしたものとなっています。配当利回りはアナリストコンセンサスを用いています。


 なお、上場市場は各社ともにプライム市場となっています。


自民党圧勝を受け日経平均は一段高も、高配当利回り銘柄は軟調な動き

 1月16日~2月13日終値までの日経平均株価(225種)は5.6%の上昇となりました。


 1月中は、国内長期金利の上昇、為替相場における円高反転の動きなどが一時マイナス視される場面はありましたが、総じて高値圏でのもみ合いと落ち着いた動きになりました。

この期間中、日本銀行金融政策決定会合、米連邦公開市場委員会(FOMC)などが開催されましたが、政策金利は市場予想通りに据え置かれ、大きな波乱はありませんでした。


 2月8日の衆議院議員選挙では、自民党が単独で定数の3分の2を上回る予想以上の圧勝となりました。これにより財政拡張政策に対する期待感が一段と高まり、株式市場は一段の上値追いを続け、2月12日には高値を5万8,015.08円まで伸ばしています。


 ただ、2月に入って、米国では人工知能(AI)の進化による脅威論が強まり、幅広い産業で事業機会が奪われるとの懸念も強まる状況ともなっています。


 こうした中、高配当利回りランキングTOP15は総じて軟調な動きとなり、上昇は5銘柄にとどまっています。AI・半導体関連や政策期待銘柄に関心が集まったことで、バリュー株物色の動きは乏しくなったようです。


 上昇率が大きかったのは KHネオケム(4189) でした。2026年12月期の増益・増配見通しが好感されたほか、アクティビストファンドのストラテジックキャピタルの大量保有が明らかになったことも買い材料となりました。


 一方、下落率が大きかったのは、 パーソルホールディングス(2181) 、 船井総研ホールディングス(9757) 、 アマノ(6436 )、 日本M&Aホールディングス(2127) となっています。全般的に内需系のグロース株に売り圧力が強まったことで、その影響を受けた銘柄が多かったように見受けられます。アマノは第3四半期の決算もマイナス材料とされたようです。


THKの減配見通しはネガティブサプライズに

 今回、新規にランクインしたのは、船井総研HD(9757)、 ベルシステム24ホールディングス(6183) 、 JT(日本たばこ産業:2914) 、パーソルHD(2181)、日本M&A(2127)、KHネオケム(4189)の6銘柄。


 除外となったのは、 FPG(7148) 、 関西ペイント(4613) 、 セイノーホールディングス(9076) 、 オカムラ(7994) 、 丸井グループ(8252) 、 ソフトバンク(9434) でした。


 船井総研HD、ベルシステム24HD、パーソルHD、日本M&Aは株価下落によって配当利回りが相対的に上昇し、ランクインしました。KHネオケムは株価の上昇によって時価総額がランキング基準に達しています。JTは配当コンセンサスの切り上がりが要因で、配当基準の決算期が変更された可能性もあるでしょう。


 一方、関西ペイントやセイノーHDは株価が大幅に上昇したことで利回りが低下し、ランキングから除外されました。丸井グループやソフトバンクなども相対的な株価上昇で利回りが低下しています。オカムラは株価上昇に加え、コンセンサスレーティングも基準未達となっています。


 FPGは6%を超える高い配当利回り水準ではありますが、国内証券の投資判断格下げによって、レーティング基準が未達となりました。税制改正の影響懸念が反映されているようです。


 アナリストコンセンサスと会社計画の配当予想で乖離が大きいのは、 THK(6481) 、 愛三工業(7283) 、 極東開発工業(7226) 、 JT(2914) 、KHネオケム(4189)、 フタバ産業(7241) です。


 会社計画ベースの配当利回りは、THKが4.08%、愛三工業が3.47%、極東開発工業が4.14%、JTが3.98%、KHネオケムが3.68%、フタバ産業が3.50%となっています。それぞれコンセンサス水準が会社計画を上回る状況です。


 フタバ産業、愛三工業はコンセンサス水準が高すぎる印象があります。

極東開発工業も配当性向の水準からみて、会社計画を上振れる公算は小さいとみられます。JTやKHネオケムも2026年12月期の配当計画を公表したばかりであり、現状では会社計画水準を妥当と捉えるべきでしょう。


 今回、ネガティブサプライズが強まったのは、THKの減配見通しです。2026年12月期の年間配当金は184円で前期比62円の減配見通しとしています。


 株主資本配当率(DOE)基準の配当政策であったため、大幅な減配はないとの見方でしたが、事業の売却に伴う一過性損失の計上で、その株主資本が毀損(きそん)することになったようです。なお、現在のコンセンサス配当利回りは今後低下していく可能性が高いでしょう。


政局の安定化で日本株への資金流入期待も高まる

 衆議院議員選挙で自民党が圧勝したことから、今後も財政拡張的な政策期待が高まっていくでしょう。とりわけ、高市政権の安定基盤が確立されたことで、他の主要国と比べて政治リスクは極めて低い状態です。このため、グローバル投資家にとって日本への買い安心感は高まり、日本株への資金流入が強まることが想定されます。


 一方で、AIへの過剰投資懸念や、さまざまな産業に対するAI脅威論も高まりつつあります。こうした背景を考慮すると、ハイテクやITセクターから、景気敏感株やバリュー株へと資金シフトするタイミングであると考えます。


 今後は3月決算期末に向けた配当権利取りの動きが強まる局面でもあり、目先は高配当利回り銘柄の好パフォーマンスが期待できそうです。


(佐藤 勝己)

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