中東危機で日経平均が急落しました。足元の景気・企業業績は良好ですが、米国、ロシア、中国などの大国が、武力行使を辞さない姿勢を強めていることに不安があります。
荒れる日経平均
日経平均株価が急落しました。私は、日本株は割安で、魅力的な投資対象と考えています。ニッセイ日経平均インデックスファンドに投資していけば、中長期で資産形成に貢献する可能性が高いと考えます。
ただし、日経平均の欠点は、値動きが荒いことです。中東危機や関税ショック、景気悪化不安などを嫌気して何回も急落を繰り返します。株は「上がる時は上げ過ぎ、下がる時は下げ過ぎる」傾向が強いので、割高な株がさらに上昇加速することも、割安な株がさらに下落加速することもあります。いいタイミングで買って、いいタイミングで売るのは至難の業です。
私は、日経平均は2030年までに7万円以上に上昇すると予想しています。10~20%の急落、そこからの急反発を繰り返しながら上昇していくと考えています。
アベノミクスがスタートした2012年末から13年2カ月で、日経平均は約5.3倍に上昇しました。ただし、一本調子で上昇が続いてきたわけではありません。
急落局面で、高値から安値までのドローダウン(下落率)は何パーセントくらいでしょうか。日経平均について、それが分かるようにグラフ中に書き込んでいます。
<日経平均の動き:2012年末~2026年3月5日>
過去13年のうちに、10~30%くらいのドローダウンが12回ありました。平均すると年に1回程度、こうした急落が起こっていることになります。
今、日経平均はまさに急落していますが、高値からの下落率はまだ7%です(3月5日時点)。もっと大きなショック安になるかどうか、慎重に見極める必要があります。
過去13年の急落局面を振り返ると、景気後退を伴う急落では、高値から安値までの下落率が30%程度に拡大します。2020年のコロナショックでは、日経平均の下落率は31%となりました。
2015年後半から2016年前半にかけての日経平均下落率も28%で、30%近い下げです。この時は景気後退ぎりぎりまで景気が悪化し、そこから持ち直した時です。定義次第では「短期景気後退」があったと言って良い局面でした。
景気後退を伴わないショック安も、たくさん起こっています。2013年5月は日本も世界も景気回復局面でしたが、日経平均は一時的に21%も急落しました。「バーナンキショック」といわれる世界的な株安に巻き込まれたためです。
当時、米連邦準備制度理事会(FRB)議長だったベン・バーナンキ氏が「将来、米国の金融緩和縮小が必要になる」と発言したことで、世界的な株安が起こったために、「バーナンキショック」と呼ばれました。
このように、後から振り返ると過剰反応と思われるような急落も多々あります。冷静になってから見ると「そんなに大きく下げる必要はなかったのに」と思われることが多いのですが、暴落の渦中にいる時は分かりません。「世界景気がこれから急激に悪化する前触れではないか」という見方が出てきて、不安が広がります。
教訓として、短期的な株価変動に惑わされて右往左往することなく、長期的に淡々と積み立て投資を続けていくことが、長期の資産形成に寄与すると思います。
S&P500も急落・急騰を繰り返しながら上昇
日本株も米国株も、急落・急騰を繰り返しながら上昇するという点では同じです。日経平均と、S&P500種指数(S&P500:米国株の動きを示す代表的な株価指数)の動きを比較した、グラフをご覧ください。
<日経平均と米国S&P500の動き比較:2012年末~2026年3月5日>
アベノミクスがスタートした2012年末と比較して、日経平均は約5.3倍に、S&P500は約4.7倍に上昇しました。日経平均は2013~2015年のアベノミクスラリーと、2025~2026年の高市ラリーの時の上昇率が高い分、S&P500より少しだけトータルリターンが高くなっています。
とはいえ、日経平均もS&P500も、一本調子で上昇が続いてきたわけではありません。
荒れれば荒れるほど、投資成果が高まる「積み立て」投資
これからも、「荒れ馬」日経平均は、急落・急騰を繰り返すと予想されます。このような資産をうまく乗りこなすには、どうしたら良いでしょうか? 私は、毎月一定額(例えば、1万円)、積み立てで投資していくのが、良いと思います。
なぜならば、乱高下が激しい資産ほど、「ドルコスト平均法」といわれる積み立て投資の威力が発揮されるからです。それを簡単な例で見てみましょう。
値動きのない投信Aと、激しく乱高下する投信Bに、3年間積み立て投資した場合の投資成果をシミュレーションしました。両方とも、投資開始時と3年後の基準価額が同じとして、比較しています。
<値動きのない投信Aと、激しく乱高下する投信Bの基準価額推移>
それでは、投信A・Bに
【1】スタート時
【2】1年後
【3】2年後
にそれぞれ1万円ずつ投資した場合、3年後に、投資価値がどう変化したか、計算してみましょう。
<投資開始時点・1年後・2年後に1万円ずつ投資した場合の取得できる投資単位>
「荒れ馬」投信Bは、ドルコスト平均法の効果で、含み益が発生
まず、投信Aの、投資成果を見てみましょう。スタート時・1年後・2年後に1万円を投じて1単位ずつ購入するので、合わせて3単位取得できます。3年後の基準価額も1万円なので、投資した3万円の価値は3万円のままで損も得もしません。
次に、投信Bの、投資成果を見ましょう。スタート時の基準価額が1万円の時に1単位購入するのは同じですが、1年後、基準価額が1万2,000円まで上がった時に、1万円を投じると、0.83単位しか購入できません。次に2年後、8,000円に下がったところで1万円を投じると、今度は1.25単位購入できます。
3年後に、投信Bの基準価額が、投資開始時点の1万円に戻った場合、投資した3.08単位の評価額は、3万800円となります。3万円の投資が3万800円になったわけですから、800円の含み益を得たことになります。
投資開始時と、3年後で、基準価額は変わらないのに、含み益が発生しているのは、なぜでしょう? それが「ドルコスト平均法」の効果です。
等金額(ここでは1万円ずつ)投資を行っていると、投資対象が値上がりした時には、少ない投資単位しか買えず、値下がりした時に、たくさんの投資単位を買うことになります。高い時に少なめに、安い時に多めに買う効果で、長期的な投資成果を大きくすることができるのです。
一方、投信Aは、最初から最後まで基準価額が1万円のままで、値動きがありません。従って、投資した3万円は、3万円のままです。ドルコスト平均法の効果は、値動きの乏しいアセットでは発揮されません。
このことから分かるように、積み立て投資には、荒れる資産ほど投資成果が大きくなる仕組みが、組み込まれているわけです。荒れる日経平均に投資して、短期的な値動きに翻弄(ほんろう)されずに、長期的な投資成果を獲得するには、積み立て投資が優れていると思います。
ファンドマネジャーにとってもうれしかった「積み立て投資」
私は、25年間、年金・投資信託などの日本株を運用するファンドマネジャーでした。
まず、残念なこと。私が運用していた公募投信(日本株のアクティブ運用ファンド)では、日経平均の高値圏で設定(買い付け)が増えるのに、日経平均の安値圏では、ほとんど設定がありませんでした。株は安い時に買って、高くなった時に売ると利益が得られるわけですが、公募投信では、残念ながら、その逆の動きが見られました。
次に、とてもうれしかったこと。私が運用していたファンドが、確定拠出年金(DC)の運用対象となったことです。多数の企業に採用していただけました。DCでは、毎月、一定額の設定が入り続けます。加入者の方に、定時定額で積み立てしていただいたことになります。そうすると、日経平均の高値でも、安値でも、淡々と設定が入ってきます。
日経平均が大暴落して世の中が総悲観になっている時、往々にして、絶好の投資チャンスとなっています。ファンドマネジャーとしては、そんな時こそ、しっかりと投資を増やしてほしいと思います。
私が運用していたDCファンドでは、定時定額の積み立て投資が入ってきますので、リーマンショックで日経平均が大暴落し、世の中が総悲観になっている時でも、淡々と積み立てが入ってきました。
誰でも、株は安い時に買って、高い時に売りたいと思うのでしょうが、言うのは簡単で、やるのはとても難しいことです。そうするためには、世の中総悲観になっている時に、株を買い、みんなが明るくなって強気になっている時に、株を売らなければなりません。
それは、少しひねくれた人にしかできないことです。普通の素直な人は、みんなが明るくなっている時に、株を買いたくなり、暗くなっている時に、株を売りたくなるでしょう。
普通の素直な人は、変に、いいタイミングで株を買い、いいタイミングで売ろうとしない方がいいと思います。それでは、どうするべきか? 私は、定時定額(例えば毎月1万円)の積み立て投資をしていくべきだと思います。
(窪田 真之)

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