米国のイランとの戦争は本格的な中国包囲網の始まりである。日本もひとごとではいられない。


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イラン革命防衛隊:「1バレル当たり200ドルに備えよ!」

 中東の戦闘が続くことで原油価格が急騰している。ホルムズ海峡の船舶運航がほぼ停止し、エネルギー市場では深刻な供給リスクが現実化している。トランプ米大統領が「イランとの戦争がまもなく終わるだろう」と述べる中、IEA加盟国が4億バレルの石油放出に合意した。


 しかし、原油市場はその動きに逆行するかのように、再び上昇を開始している。イランが米国に、「石油とエネルギーの価格を人為的に引き下げることができない」と伝えたからだ。


NY原油CFD(日足)
原油相場:イランの狙いは戦争長期化による米国経済の破壊か!? 
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 アリ・ラズミュー大佐は、イランの全武装部隊を統括する統合司令部Khatam al-Anbiyaの報道官として声明を発表した。


「米国、イスラエル、またはその同盟国に利益をもたらす石油は、1リットルたりともホルムズ海峡を通らせない。1バレル当たり200ドルに備えよ」


 イランの狙いは戦争に勝つといった単純なものではなく米国経済の破壊である。


 イランは「モザイク防衛(Mosaic Defense)戦略」をとっており、戦争の長期化が予想される。


 イランの「モザイク防衛」とは、軍事・安全保障・政治の権限を全国の半自律的な細胞(各州や部隊)に分散させる分散型防衛戦略のことだ。2026年3月の最新情勢では、最高指導者ハメネイ師や軍幹部が攻撃を受けるという事態に際し、この戦略が機能したことで政権中枢が打撃を受けても即座に反撃が行われたと報じられている。


「モザイク防衛」の主な特徴と目的は以下の通りだ。


 権限の分散:首都や司令部が攻撃されトップからの指示が途絶えても、各地の部隊が独立して判断し、戦闘を継続できるよう設計されている。


 体制の生存性:2005年ごろ、米国のイラク・アフガニスタン戦争を受けて策定されました。指導部への「斬首作戦」を受けても組織が崩壊しない、レジリエンス(回復力)の向上を目的としている。


 非対称戦:強大な軍事力を持つ相手に対し、小規模な部隊がゲリラ的に抵抗を続けることで、戦争を長期化・泥沼化させ、相手の戦意をそぐ狙いがある。


 リスク:指揮系統が分散されているため、現場の独断による暴走や偶発的な衝突が拡大しやすく、制御が困難になる危うさも指摘されている。


 この戦略により、イランのアラグチ外相は「首都への爆撃は戦闘能力に影響しない」と述べ、分 散化された体制の強固さを強調している。


 紛争の長期化懸念から原油価格は上昇しており、供給不安主導の相場はボラティリティの高い相場となる見通しだ。貴金属は金融的要因で高値圏を維持しているが、原油は需給が中心で昨年後半から上昇傾向に転じ、イラン攻撃後に急激な動きが見られる。


 経済学者のロビン・ブルックスは、「ホルムズ海峡はほぼ閉鎖状態が続いている。現在ブレント原油に織り込まれているリスクプレミアム(青)はウクライナ情勢後の水準(黒)と同等だ。同海峡はロシアよりも世界の石油供給において3倍重要であるため、ブレント原油のリスクは現在上昇方向にある」と述べている。


ブレント原油価格のアナログモデル
原油相場:イランの狙いは戦争長期化による米国経済の破壊か!? 
(2022年2月23日および2026年2月27日を100として指数化されたもの) 出所:@robin_j_brooks

 ホルムズ海峡の封鎖で、日本のエネルギー供給が滞り、物価も上昇している。日本は原油の約9割と液化天然ガス(LNG)の約2割をホルムズ海峡経由で輸入しているため、経済への影響が甚大だ。

そうした中、介入警戒で一時期止まっていた円安が再び進行している。


ドル円(日足)
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(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:楽天MT4・石原順インディケーター

スイスフラン円(日足)
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(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:楽天MT4・石原順インディケーター

豪ドル円(日足)
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(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:楽天MT4・石原順インディケーター

日経平均CFD(日足)
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(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 円安トレンドを終了させるには、「日本が金利を大幅に上げる」「米国が金利を大幅下げる」「株が暴落する」という条件が必要となるだろうが、現状ではそのどれひとつ実現していない。


 ロビン・ブルックスは、「日本が本当に円安を止めたいなら、必要なことはシンプルだ。日本銀行は現在、毎月3兆円の日本国債を購入している。それが利回りを人為的に低く抑え、円に減価圧力をかけている。それを止めなければならない」と述べたが、日本の当局にその気はない。


 日本の金融当局は、プリンティングマネー(紙幣増刷)によって資産インフレ(バブル)を起こして好景気を演出し、通貨の下落によって債務(借金)の価値を下げるというインフレ(ステルス増税)政策を続けているのだ。


 円安は輸入品(エネルギー、食料品など)の価格を押し上げる。これは円の価値が下がること(通貨インフレ)と同義であり、国民の購買力が奪われる「インフレ税」である。日銀が金利を上げないというインフレ構造(金融抑圧)は、年金生活者や給与が上がらないサラリーマン(中産階級)から富を奪う詐欺的な増税政策である。


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原油相場:イランの狙いは戦争長期化による米国経済の破壊か!? 
出所: YouTube

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  ラジオNIKKEIの番組ホームページ から出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。


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(石原 順)

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