日経平均や為替の見通しなどを聞く個人投資家調査から、中東情勢緊迫化が投資心理に与える影響が明らかに。日経平均は短期的な警戒感が強まる。

一方、為替は「有事のドル買い」で円安予想が加速している。


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はじめに

 今回のアンケート調査は2026年3月30日(月)から4月1日(水)にかけて実施、2,200名を超える個人投資家からの回答を頂きました。


 2026年3月末の日経平均株価は5万1,063円となり、前月末の終値5万8,850円からは7,787円の大幅安で取引を終えました。月間ベースでも、1月と2月の上昇幅合計8,510円の約9割を失う下落となっています。


 あらためて3月の値動きを振り返ってみると、2月末に開始された米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃をきっかけに、月間を通じて中東情勢への不安が高まり、売りが優勢となる展開が続きました。


 トランプ米大統領の早期の停戦を匂わせる発言などによって、株価が反発する場面は何度か見られたものの、ホルムズ海峡封鎖の影響による経済や物価上昇への警戒感は払拭(ふっしょく)できず、相場の流れを大きく変えることができませんでした。


 日経平均のDIについては、1カ月先の見通しが大きく悪化したほか、為替の見通しについても、「有事のドル買い」が意識され、とりわけ米ドル円で円安見通しが強まる結果となり、中東情勢への警戒感が反映された印象となりました。


 次回もぜひ、本アンケートにご協力をお願いいたします。


日経平均の見通し「目先の波乱相場の意識強まり、DIが悪化」

 今回調査における日経平均の見通しDIは、1カ月先がマイナス42.31、3カ月先はプラス5.59となりました。


 前回調査の結果がそれぞれプラス28.62、プラス18.95でしたので、両者共にDIの値は悪化しました。3カ月先は悪化しながらもプラスを保った一方、1カ月先はかなりの弱気見通しとなっており、振れ幅の大きさが目立っています。 


投資家調査:日経平均は短期警戒、為替はドル高/円安予想が加速
出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成※四捨五入の関係で合計が100にならない場合がある

 実際に、回答の内訳グラフを見ると、弱気派の割合は54.83%で、強気派12.52%を大きく上回っていることが分かります。また、前回の弱気派の割合は13.60%でしたので、短期間のうちに弱気派が一気に増加した様子もうかがえます。


 ちなみに、弱気派の割合が50%を超えるのは2025年3月調査以来です。

当時は、「トランプ相互関税」への警戒感で相場が下げ足を強め始めていた時期でした。


 今回の結果については、当然ながらイランをめぐる中東情勢への警戒感が反映されたと思われます。


 しかし、トランプ米大統領による発言やSNSへの投稿は週末に行われることが多く、3月相場は週初の月曜日に急落する展開が目立っていたため、月曜日から水曜日にかけて行われるアンケート調査には、こうしたネガティブなムードの影響を受けやすかったという面もありそうです。


 その一方で、DIの値が悪化したとはいえ、比較的堅調だったのが3カ月先の見通しです。


投資家調査:日経平均は短期警戒、為替はドル高/円安予想が加速
出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成※四捨五入の関係で合計が100にならない場合がある

 3カ月先見通しの内訳グラフでも状況の変化を確認すると、強気派は前回36.66%から5.67%の減少、弱気派は前回17.71%から7.69%の増加となっていますが、グラフの見た目からは、相場が過度に弱気に傾いている印象はありません。


 つまり、今回のアンケート調査からは、「短期的には警戒感は強いかもしれないが、中長期的には落ち着いてくる」という、現時点の相場シナリオが浮かび上がってきます。


 米国とイスラエルがイランに攻撃を開始してから1カ月が経過しましたが、トランプ米大統領が発言していた「事態収束まで4週間程度」という当初の時間軸は延長されているほか、イランによるホルムズ海峡の封鎖や中東周辺国へのインフラ攻撃なども行われています。


 仮に、足元の市場が期待しているように、戦闘の早期終結の見込みが強まった場合には、「これ以上の状況悪化が回避される」として、ひとまず株式市場は反発していくでしょう。しかし、その後さらに上昇していけるかについては、「ホルムズ海峡の通行やインフラ復旧などの正常化までにどのくらいの時間が掛かるか」が焦点になる可能性があります。


 数カ月程度で正常化できるのであれば、一時的に景気や企業業績が落ち込んだとしても、株式市場は「その先」を見据えて上昇していけそうです。反対に、正常化までの時間が見通せない状況となれば、これまでの相場シナリオの前提(良好な景気や企業業績の継続)が揺らぐことになるため、株式市場はいったん悪影響を織り込みにいくことも考えられます。


 そのため、目先の株式市場は、値動きの荒い展開が続きそうな中で「どこまでの時間軸を見据えるか?」を探っていくことになるかもしれません。


外国為替DI:3月見通し「日銀の追加利上げ期待と政府の為替介入警戒が交錯/ドル高・円安基調継続」

楽天証券FX・CFDディーリング部


 楽天DIとは、ドル円、ユーロ円、豪ドル円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものである。DIがプラスの時は「円安」見通し、マイナスの時は「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示す。


投資家調査:日経平均は短期警戒、為替はドル高/円安予想が加速
出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

「1カ月後のドル円はどう動いているとお考えですか?」楽天証券が、個人投資家を対象にドル円相場の先行きについてアンケート調査を実施したところ、回答者の14.31%が「ドル安/円高」、29.87%が「変わらず」、55.81%が「ドル高/円安」に動くと予想していることが分かった。 


投資家調査:日経平均は短期警戒、為替はドル高/円安予想が加速
出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成※四捨五入の関係で合計が100にならない場合がある

 円安予想から円高予想の割合を引いて求めたDIは+41.50になった。


 先月DIのマイナス7.20から大幅に増加。円高予想から一転して大幅円安予想に転じた。


投資家調査:日経平均は短期警戒、為替はドル高/円安予想が加速
出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

 DIは、マイナス100から+100までの値をとり、DIのプラス値が大きくなるほど、円安見通しの個人投資家の人数が多いことを示し、逆にマイナス値になるほど、円高見通しの個人投資家の人数が多いことを示す。


日銀の追加利上げ期待と政府の為替介入への警戒感が交錯、
米国の堅調な経済指標を背景とした底堅いドル高・円安基調が続く

 2026年4月の外国為替市場は、日米の金融政策の決定的な分岐点と、緊迫化する地政学リスクが交錯する極めてボラティリティの高い局面を迎えている。


 4月3日に発表された3月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比17.8万人増と市場予想(6.5万人増)を大幅に上回り、失業率も4.3%へと低下した。この堅調な結果は、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利下げ観測をさらに後退させ、ドル円相場を159円台半ばから後半へと押し上げる強力なエンジンとなっている。 


 国内では、4月27、28日に予定されている日本銀行金融政策決定会合が最大の焦点である。市場では約70%の確率で0.25%の追加利上げが実施されるとの見方が強まっており、これが円の過度な下落を抑制する唯一の防波堤となっている。


 しかし、もし日銀が現状維持を選択すれば、積み上がった円買いポジションの解消(巻き戻し)により、1ドル=160円を突破する急激な円安が進行するリスクをもっている。


 また、外部環境として無視できないのが、イランを巡る中東情勢の緊迫化である。原油価格の高止まりはインフレ懸念をあおり、米国の金利据え置き期間がさらに長期化するとの見方を強めている。こうした局面では「有事のドル買い」が発生しやすく、ドルの独歩高を誘発する可能性が高い。


 一方で、円はかつての「安全資産」としての機能を弱めており、むしろエネルギー輸入コスト増大による貿易赤字拡大が円売り圧力を強める一因となっている。


 需給面では、1ドル=160.00円という心理的節目が、政府・日銀による為替介入の「レッドライン」として強く意識されている。4月3日現在、ドル円は159円後半で推移しており、介入への警戒感が上値を重くしているものの、米雇用統計後のドル買い意欲は旺盛である。


 総じて4月の相場は、日銀が明確な利上げ姿勢を示さない限り、米国の堅調な経済指標を背景とした「ドル高・円安」が底堅く推移する見通しである。


【ユーロ円・豪ドル円の見通し】


 ユーロ円は、欧州中央銀行(ECB)の利下げ議論が重しとなるものの、日欧の圧倒的な金利差から181.00~185.00円のレンジで底堅く推移する。豪ドル円は、資源価格の高騰とオーストラリア準備銀行(RBA)のタカ派姿勢が支えとなり、102.00~106.00円での堅調な展開が予想される。


【重要指標予測】


 次なる焦点は4月中旬の米消費者物価指数(CPI)だ。前年比3%台半ばでの高止まりが予想されており、これが米国の高金利環境を改めて裏付けることになれば、4月末の日銀会合に向けてドル円はさらなる高値を模索する展開が現実味を帯びてくる。


ユーロ円

 ユーロ円相場の先行きについては、回答者の10.55%が「ユーロ安/円高」、49.78%が「変わらず」、39.67%が「ユーロ高/円安」に動くと予想していることが分かった。


投資家調査:日経平均は短期警戒、為替はドル高/円安予想が加速
出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成※四捨五入の関係で合計が100にならない場合がある

 円安予想と円高予想の差であるDIは、前回の+4.90から今回は+29.12となり、一段と円安予想が増加した。


投資家調査:日経平均は短期警戒、為替はドル高/円安予想が加速
出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

豪ドル円

 豪ドル円相場の先行きについては、回答者の8.94%が「豪ドル安/円高」、54.47%が「変わらず」、36.58%が「豪ドル高/円安」に動くと予想していることが分かった。


投資家調査:日経平均は短期警戒、為替はドル高/円安予想が加速
出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成※四捨五入の関係で合計が100にならない場合がある

 円安予想と円高予想の差であるDIは、前回の+3.84から今回+27.64となり、一段と円安予想が増加した。


投資家調査:日経平均は短期警戒、為替はドル高/円安予想が加速
出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

今後、投資してみたい金融商品・国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲


 今回は、毎月実施している質問「今後、投資してみたい金融商品」「今後、投資してみたい国・地域」それぞれで、「特になし」を選択した人の割合に注目します。選択肢の数は、表のとおり13個ずつです。


図:今後、投資してみたい金融商品・国(地域)で「特になし」を選択した人の割合(複数選択可)


投資家調査:日経平均は短期警戒、為替はドル高/円安予想が加速
出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

 2026年3月の調査において、「今後、投資してみたい金融商品」で「特になし」を選択した人の割合は8.68%、「今後、投資してみたい国・地域」で「特になし」を選択した人の割合は7.78%でした。ともに、直近のピークであった2025年4月ごろに接近する水準です。


「特になし」が選択される背景の一つに、選びたい選択肢がないことが挙げられます。これらの質問で選びたい投資先がないということは、回答者の間で投資活動への意欲が一時的に減退している可能性が浮上します。


 2025年4月ごろのピークに至ったきっかけは、同年1月のトランプ氏の米大統領就任、足元の高水準に至ったきっかけは、2026年2月の米国とイスラエルによるイランへの攻撃開始(中東情勢の悪化)だったと、考えられます。


 世界規模の不安が拡大すると、期待感の増幅をかてに上昇する傾向がある株価指数やそれに関連する金融商品のパフォーマンスが低下する懸念が生じます。こうしたことは、投資活動への意欲が一時的に減退するきっかけになり、「特になし」を選択するきっかけになると、考えられます。


 4月8日の朝(日本時間)、米国とイランが「一時停戦」で合意したと報じられました。このことがきっかけとなり、株価指数が急騰したり、原油価格が急落したりしています(4月8日午後時点)。


 来月の調査日まで、中東情勢が激化しない状態が続けば、同質問の「特になし」を選択した人の割合は低下する可能性があります。引き続き、中東情勢および、当該質問で「特になし」を選択した人の割合の推移に、注目していきたいと思います。


表:今後、投資してみたい金融商品 2026年3月調査 (複数選択可)
投資家調査:日経平均は短期警戒、為替はドル高/円安予想が加速
出所:楽天DIのデータより筆者作成

表:今後、投資してみたい国(地域) 2026年3月調査 (複数選択可)
投資家調査:日経平均は短期警戒、為替はドル高/円安予想が加速
出所:楽天DIのデータより筆者作成

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