日経平均は先週、米イラン停戦合意を好感して3,800円超と急騰しました。ところが週末には米イラン協議決裂の報道が出ており、市場にはトランプ大統領のいつものやり口から最悪の危機は回避されるとの楽観もありますが、行方は分かりません。
ショック安が完全に終わったとは言えませんが、日本株に少しずつ投資していって良いと考えています。
米イラン停戦合意で日経平均急騰
先週(営業日4月6~10日)の日経平均株価は、1週間で3,800円(7.2%)上昇して、5万6,924円となりました。米国とイスラエルが2週間の停戦で合意したとの発表を受けて、一時懸念された最悪のエネルギー危機は回避できるとの思惑が広がり、原油先物が急落し、日経平均は急騰しました。10日には一時、5万7,000円台をつけました。
ただし、週末に、米イランの和平協議が決裂したと報道がありました。日経平均は今後、さらに乱高下が続く見込みです。
<日経平均週足:2025年1月6日~2026年4月10日>
<WTI原油先物(期近)推移:2025年末~2026年4月10日>
株の繰り返す急落と急騰に、デジャヴュ(既視感)
2週間の停戦合意がされたとはいっても、薄氷の停戦です。すでに、米イランの和平協議は決裂して、交渉役のバンス米副大統領は、帰国したと報道がありました。米国イスラエルが要求している和平のための条件と、イランが示している条件が、あまりにも大きくかけ離れているので、当然の帰結といえます。
停戦の実効性について、不安があります。停戦合意後にイスラエルがレバノンの親イラン勢力ヒズボラへの攻撃を続けたからです。イランは米国との停戦合意に、ヒズボラへの攻撃停止も含まれているとして、停戦合意違反と非難しています。
米国は、イスラエルに「レバノン攻撃を自重するよう」要請しているようですが、それでもイランに対しては「停戦合意にレバノンは含まれない」と主張しています。いつまたイラン戦争が再開されて、中東危機が高まるか、分からない情勢です。
それでも、世界の株式市場には、「最悪のエネルギー危機は回避される」との安堵(あんど)感があります。この状況に、デジャヴュ(既視感)、「これ見たことあるな」という感覚を覚えます。昨年4月に起こったトランプ関税ショックとよく似ているからです。
昨年4月、トランプ大統領が高率の関税を世界中に課すと発表すると、世界中の株が暴落しました。この関税が実行されれば世界不況は必至と思われたためです。
ところがその後、トランプ大統領は、関税の実行を延期したり緩和したりを繰り返しました。世界の株式市場は、延期や緩和の発表があるたび、急反発しました。2025年は、関税をめぐるトランプ大統領の発言で、世界中の株式市場が急落・急騰を繰り返しました。
2026年も、同じようなことが起こっています。トランプ大統領がイラン攻撃を激化すると発言すると、世界中の株が急落しました。ところが、さらなる攻撃を延期すると発表するごとに、世界の株価は急反発しています。
トランプ大統領は、今年11月に中間選挙を控えているので、原油急騰・株価急落をまねくような事態は避けようとするに違いない、という金融市場の読みがあります。
中国やインドが、イランと個別に交渉して、中国・インドの船舶がホルムズ海峡を通過するようになるだけでも、世界的なエネルギー需給を少し緩和する効果があります。
米国ナスダック総合指数が反発
中東危機によって日本株が乱高下していますが、今起こっている株安は、中東危機だけが要因ではありません。「巨額のAI投資に見合う収益が上がらない」というAI過剰投資不安から、米国ハイテク株の下げが続いていた問題も、複雑に絡んでいます。
米国ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も、図の通り急反発しています。一時下がっていたハイテク株に、押し目買いが入りました。株価収益率(PER)が高かった米国ハイテク株が値下がりによってPERが低下したことを受けて、「十分に調整した」と見た投資家からの買いが入りました。
<米国ナスダック総合指数の週足:2025年1月3日~2026年4月10日>
中東危機は長期化する懸念がありますが、原油価格の上昇自体は、世界最大の産油国である米国の景気にマイナスではありません。米イランの交渉先行きに暗雲が漂っているので、米国株は上値の重い展開が続きそうですが、それでも、下値にはある程度、底堅さも出ています。
日米の景況感は良好
4月に入って発表された日米の3月の景況指数は、図の通り良好でした。日本は、非製造業(不動産・建設・情報通信・サービスなど)が非常に強く、製造業もそこそこ良好です。イラン戦争の影響もあり先行き(6月)は低下しますが、それでもかなり良好な景況感といえます。
米国サプライマネジメント協会(ISM)景況指数は、2026年に入ってから改善しており、イラン戦争が起こっても、景況はあまり悪化していません。
<日銀短観、大企業DIの推移:2020年3月~2026年3月>
<米国ISM景況指数の推移:2021年1月~2026年3月>
日本株の投資方針
結論はいつも述べていることと変わりません。
とはいえ、最悪のエネルギー危機は回避できそうとの期待があり、また日米の景況感は良好であることを勘案すると、少しずつ時間分散しながら、割安な日本株に投資していって良いと思います。
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(窪田 真之)

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