2,338名の個人投資家を対象に実施した8月の投資家調査では、日経平均株価の先行きに対し「短期の不透明感」を抱きつつも「中長期の強気」姿勢が鮮明となりました。為替見通しでは円高予想が強まる一方、投資意向では日本株への関心が高まり続けています。
はじめに
今回のアンケート調査は2026年8月24日(月)から26日(水)にかけて実施、2,300名を超える個人投資家からの回答を頂きました。
2026年8月末の日経平均は6万6,311円で取引を終えました。7月末の終値6万4,362円からは1,949円高となり、前月の月間下落幅(5,700円)からやや持ち直す格好となりました。
改めて、8月相場を振り返ると、AI・半導体関連銘柄に対する期待と警戒をはじめ、日米金利(債券利回り)の高止まり、そして米国とイランを巡る地政学的情勢の不安定さなど、リスク要因が意識されやすい相場地合いでした。しかし、値動きは堅調で、日経平均は月の半ばに節目の7万円台に迫る場面を見せました。
もっとも、不安が払拭されたわけではなく、月末にかけては売りに押される場面が増えていったものの、主力のバリュー株や中小型株への物色が相場を支え、株式市場の底堅さも垣間見せていました。
日経平均のDIについては、こうした相場の下値の堅さが反映され、1カ月先・3カ月先ともに改善が見られました。一方、為替の見通し(米ドル円)については、日米金融政策の引き締め(利上げ)への思惑が絡んだと思われ、前回調査を含めたこれまでの円安見通しから、円高見通しが強まる結果となりました。
次回もぜひ、本アンケートにご協力をお願いいたします。
日経平均の見通し「短期の不透明感と中長期の強気」
今回調査における日経平均の見通しDIは、1カ月先がプラス1.11、3カ月先はプラス26.90となりました。
前回調査の結果がそれぞれマイナス12.49、プラス16.47でしたので、両者ともにDIの値が大きく改善したわけですが、回答の内訳グラフからは、単純な投資家心理の改善だけでない一面も透けて見える印象です。
まずは、1カ月先の回答の内訳グラフを見ると、強気派と弱気派が20%前後でほぼ拮抗(きっこう)している中、中立派が60%を超え、かなりの割合を占めています。
1カ月先の見通しで中立派が60%を超えたのは2024年5月調査以来で、かなり久々なのですが、それだけ目先の相場の方向感がつかみにくい状況であると考えられます。
実際に、8月の相場環境を見渡すと、目先の不透明感が強い状況が続きました。
また、日米の金利(債券利回り)についても、8月に公表された米経済指標の結果ではインフレ警戒を後退させるものが多かったものの、米国の財政面(トランプ政権のバラマキ政策など)や需給面(AIハイパースケーラーの巨額の社債発行など)では、金利の上昇圧力がかかっており、結果的に金利が高止まりしました。加えて中東情勢についても目立った進展がないまま、楽観と警戒が繰り返されています。
その一方で、3カ月先の内訳グラフからは、中長期的な強気見通しが加速している様子がうかがえます。
3カ月先の内訳グラフでは強気派の割合が41.53%となっています。40%を超えたのは直近では4月調査と割と最近ですが、その前は2018年9月調査までさかのぼることになり、今回の調査からは、「目先は不透明感が漂っているが、中長期的な強気姿勢は変わらない」という見通しであることが読み取れます。
また、3カ月後は11月下旬ということもあり、11月3日の米中間選挙を通過したアク抜け感や、アノマリー(相場の経験則)的にも年末相場への期待で株価が上昇しやすいタイミングであることも今回の強気見通しにつながったと思われます。
そんな中で迎えた9月相場は、月初1日(火)時点での日経平均は6万5,000円より上の株価水準を維持しつつも、8月下旬あたりから25日と75日移動平均線に挟まれた範囲内での推移が続いており、「上値も重たいが下値も堅い」状況で、方向感が定まらない展開となっています。
9月11日の特別清算指数(メジャーSQ)、9月15・16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、9月17・18日の日本銀行金融政策決定会合を控え、相場の「次の展開」を見極めようとしている格好となっていますが、動向次第では8月相場の上値を抑える材料となっていた金利上昇が、今度は積極的な売り材料になる可能性も残っています。
そのため、今回調査が示した中長期の強気姿勢の前に、目先の相場がもう一段階の下落を見せる展開も想定しておく必要があるかもしれません。
外国為替DI:9月見通し「ウォーシュ氏によるタカ派見解受け、ドル円は再び介入水準へ」
楽天証券FX・CFDディーリング部
楽天DIとは、ドル円、ユーロ円、豪ドル円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものである。DIがプラスのときは「円安」見通し、マイナスのときは「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示す。
「1カ月後のドル円はどう動いているとお考えですか?」楽天証券が、個人投資家を対象にドル円相場の先行きについてアンケート調査を実施したところ、回答者の14.50%が「ドル安円高」、43.54%が「変わらず」、41.96%が「ドル高円安」に動くと予想していることが分かった。
円安予想から円高予想の割合を引いて求めたDIは+27.46になった。
先月DIの+50.56から大幅に下落し、円安予想が減った。
DIは、マイナス100から+100までの値をとり、DIのプラス値が大きくなるほど、円安見通しの個人投資家の人数が多いことを示し、逆にマイナス値になるほど、円高見通しの個人投資家の人数が多いことを示す。
ドル円は再び介入水準での攻防
8月のドル円相場は、円高方向への調整から再び円安・ドル高へと転じる展開となった。7月30日から8月4日にかけて日米の協調介入を背景に一時155円台前半まで急落したが、その後は日米金利差を意識したドル買い・円売りが徐々に優勢となった。
前半は弱い米雇用統計を受けて156円台への円高も観測されたが、その後は米インフレ指標や長期金利の底堅さを背景にドルが持ち直した。
中旬以降は158~159円を中心とする狭いレンジで推移。国内では日銀の追加利上げ観測が円高要因となる一方、日銀の氷見野副総裁が利上げの時期やペースについて明確な方向性を示さなかったことで、円買いは限定的だった。
米国ではベッセント財務長官が米国債の買い入れ消却規模を40億ドルへ引き上げたことで米10年債利回りが下落し、ドル円が売り込まれる局面もあったが短期的な動きにとどまった。
月末にはジャクソンホール会議でのウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言が相場を大きく動かした。インフレが2%目標に向かわなければ「やるべき仕事がある」との姿勢を示し、追加利上げの可能性を意識させたことで米金利が上昇。ドル円は約1カ月ぶりに160円台を回復した。
9月の焦点は、まず米国の雇用統計や物価指標だ。これらが強ければFRBの利下げ観測が後退し、ドル円は160円台を固め、再び161~163円を試す可能性がある。一方、米景気の減速が確認されれば米金利低下を通じてドル売りが強まり、158円割れから156~157円台まで下落する展開も想定される。
ただし、9月は160円台から上が最大の難所となる。7月末の介入を市場が強く意識しているため、円安が進むほど政府・日銀による追加対応への警戒が高まるからだ。従って9月のドル円は、単純なドル高トレンドというより、「米金利上昇によるドル高」と「介入警戒による円高」の綱引きになりそうだ。
基本レンジは157~163円程度を想定し、米雇用・インフレの結果次第で上下に大きく振れる相場展開に注意したい。(8月31日執筆)
ユーロ円
ユーロ円相場の先行きについては、回答者の10.48%が「ユーロ安円高」、58.13%が「変わらず」、31.39%が「ユーロ高円安」に動くと予想していることが分かった。
円安予想と円高予想の差であるDIは+20.92と、前回の+37.63から下落した。
豪ドル円
豪ドル円相場の先行きについては、回答者の9.28%が「豪ドル安円高」、62.70%が「変わらず」、28.02%が「豪ドル高円安」に動くと予想していることが分かった。
円安予想と円高予想の差であるDIは前回の+33.20から今回+18.73と、円安予想が後退した。
今後、投資してみたい金融商品・国(地域)
楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲
今回は、毎月実施している質問「今後、投資してみたい国(地域)」で、「日本」「米国」を選択した人の割合に注目します。
図:今後、投資してみたい国(地域)で「日本」「米国」を選択した人の割合(複数選択可)
2026年8月の調査において、質問「今後、投資してみたい国(地域)」で「日本」を選択した人の割合は84.35%、「米国」を選択した人の割合は58.98%でした。日本はこの数カ月間の上昇傾向を、米国は同下落傾向を維持しました。
もともと、米国は2025年1月のトランプ政権二期目開始以降、伸び悩んでいました。関税の税率引き上げなどに代表される米国第一主義が目立ち始めたことが主な要因だと考えられます。
AIブームが到来して期待が増幅したことで、今年の前半は反発しましたが、この数カ月間においては中東情勢の悪化、AIブームへの懸念、利上げ観測などが重なり、再び下落に転じました。
一方、日本は、2025年1月より、おおむね上昇傾向を維持しています。中東情勢の悪化を受けて年初に下落しましたが、ほどなくして反発し、この数カ月間は上昇傾向を維持しています。
日本でも利上げ観測が浮上していますが、ある程度の期間、継続して議論がなされてきたため、足元では大きなマイナス要因として受け止められていないと考えられます。同じ利上げ観測でも、米国では、年初まで利下げの議論がなされ、それが短期間で方向転換したため、マイナスの影響が大きくなっているでしょう。
また、日本上昇・米国下落の背景に、日本が複数の不安要素が認識されている米国の代替先となっていることも挙げられるかもしれません。
引き続き、日米双方の利上げ観測、中東情勢、AIブームなどの動向、そしてそれらの影響を受け得る「日本」「米国」を選択した人の割合の推移に、注目していきたいと思います。
表:今後、投資してみたい金融商品 2026年8月調査 (複数選択可)
表:今後、投資してみたい国(地域) 2026年8月調査 (複数選択可)
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