新型コロナの影響で、国際線では減便はもちろん、平時より飛行機をサイズダウンすることが一般的です。そのようななか中国南方航空が総2階建ての「A380」を飛ばし始めました。
新型コロナウイルスの感染拡大に端を発し、国際線航空便の大幅な需要減退が続いています。また、この影響でキャパシティの大きい飛行機を小型化する潮流もあります。
カンタス航空(オーストラリア)やブリティッシュエアウェイズ(イギリス)では、「ジャンボジェット」の愛称をもつボーイング747型機の退役が当初の計画より早められているほか、総2階建ての巨大な胴体をもつエアバスA380型機も、導入している多くの航空会社で定期便への投入が見合わされています。
中国南方航空のエアバスA380型機(画像:Gerard van der Schaaf[CC BY 2.0〈https://bit.ly/3l3fotx〉])。
そのようななか2020年9月2日(水)、成田空港に中国南方航空のエアバスA380型機が姿を現しました。同航空会社のA380型機が日本に投入されるのは今回が初めてで、投入路線は成田~広州線です。
この路線は、9月1日まで、エアバスA330型機が投入されていました。先述のとおり、新型コロナの影響でいわゆる「超大型機」の使用機会が減るなか、異例ともいえる使用機材の大型化となるわけですが、この背景にはどういったものがあるのでしょうか。
まさかの「A380」投入 どのような背景が考えられる?新型コロナの影響をうけ、中国の民用航空局では3月26日から旅客便の制限を設けています。在中国日本国大使館によると、日本~中国の国際旅客便の場合、各社で各国1路線を週1往復までと定められています。また、1便あたりの搭乗率が75%以下になるようにも、当局側から条件づけられています。
その後、6月からこの規制が緩和。一定条件を満たした航空会社は、1国につきもう1路線の増設を認めることなどが盛り込まれています。

中国南方航空の搭乗手続きを行う成田空港の第1ターミナル北ウイング(2020年9月、乗りものニュース編集部撮影)。
中国南方航空では、8月11日まで成田~瀋陽線の1路線を週1便運航していました。これについで、8月12日から追加で運航再開となったのが、今回A380型機が投入されている成田~広州線です。なお、広州は同社の拠点空港でもあります。
とある航空会社の関係者によると、広州にはホンダの中国最大、日産の世界最大の拠点があるなど、自動車関係を中心にビジネス需要が高い路線のひとつとのこと。こういった需要もあり、国内航空会社でも9月24日(水)、JAL(日本航空)、ANA(全日空)も週1便で広州線の運航を再開すると発表しています。中国当局側の便数規制にくわえ、こういった事情も今回のA380型機投入に関係している、という見方もできるでしょう。
なお、中国南方航空の日本支店は「担当不在」を理由に、取材に応じていませんが、10月以降もA380型機での運航を継続する方針と報じられています。