北海道の札幌に一番近い空港でありながら、就航路線数が少なく道外の人には馴染みが薄いともいえる「丘珠空港」。その様子を実際に見てきました。

実はさまざまな面でユニークな空港ですが、それは空港ビル内も同じでした。

6都市に就航する丘珠空港

 北海道の空の玄関口として最もよく知られているのは新千歳空港ですが、道庁所在地の札幌に最も近い空港は、札幌市東区にある丘珠空港(札幌飛行場)です。

 陸上自衛隊の丘珠駐屯地との共用空港で、滑走路の長さは1500m。その規模から現在JAL(日本航空)グループのHAC(北海道エアシステム)がプロペラ機を運航し、函館や釧路といった道内都市をおもに結ぶほか、2016(平成28)年からは静岡を拠点とするFDA(フジドリームエアラインズ)が初のジェット旅客機による定期便を就航。松本空港(長野県)や静岡空港に飛ばしています。

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丘珠空港の展望デッキから見たHACのサーブ340B型機(2020年9月、乗りものニュース編集部撮影)。

 とはいえ丘珠空港からの就航都市は2020年現在6つ。東京や大阪などの就航もないことから、道外の人からすると馴染み深い空港とはいえず、ターミナルの大きさも広くありません。しかしこのビルには、ほかの空港では見られないものもあります。

 ターミナルビルは3階建てで、1階が航空会社のカウンター、2階がみやげなどを売る売店や出発フロア、3階が展望デッキとなっています。展望デッキからよく見られる飛行機はHACのサーブ340B型機です。この機材は現在、旅客用としてはHACのみが保有しています。

客席は36席でJALグループでは最小です。2020年現在、道外のHAC路線は青森の三沢空港のみであるため、そういった意味では「ほぼ北海道でしか、しかも新千歳空港では見られない」飛行機といえるでしょう。

 なお、HACのサーブ340B型機は近年中に退役する見通しで、後継機はヨーロッパのメーカー、ATR製の機体が選定され、すでに導入も開始されています。

出発フロアにいた「超ユニーク」アイテムとは

 そして2階部分の出発フロアにも、丘珠空港ならではのコーナーが設けられています。

 出発フロア横の売店横のスペースに並ぶのは、精巧な飛行機の模型です。サーブ340B型機やATR42-600型機だけでなく、かつて同空港に就航していた国産旅客機YS-11型機や、総2階建てのA380型機や「ジャンボジェット」ボーイング747型機など、丘珠空港ではまず見られない大型の飛行機も並んでいます。

 横に張られた北海道新聞の記事によると、これらの模型を作った人はHACの現役の機長だそうです。

道民以外は知る人ぞ知る!? 札幌に一番近い「丘珠空港」を探訪 実は館内も結構ユニーク

丘珠空港の入り口(2020年9月、乗りものニュース編集部撮影)。

 そしてその横には、空港の歴史を写真や年表などで振り返るコーナーも。おもにその文面から子どもたちに向けたものとはなりますが、旧型のサーブ340B型機の座席が置かれていて自由に座ることもでき、飛行機に乗らずとも「丘珠からレア機に乗って……」といった気分を味わうことも可能です。

 なお、新千歳空港は札幌駅から直線距離で40kmほどなのに対し、丘珠空港は5kmほど。公共交通機関では、札幌駅からは市営地下鉄東豊線で栄町駅まで行きバスに乗り換えるか、札幌駅から直行のバスに乗る、といった方法でアクセスできます。

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