旅客機には、1回のフライトごとに「便名」が付与されていますが、このルールは一見したところ「非常に規則性がつかみづらい」といえるかもしれません。ANAの国内線のダイヤ作成担当者に便名に関する法則性を聞きました。
旅客機には、1回のフライトごとに「便名」が付与されています。ところが航空会社の時刻表を見ると、路線ごとにまとまっている傾向こそあるものの、不規則な面があるのも事実です。どのような法則性があるのでしょうか。
羽田空港を離着陸するANAの飛行機(2019年5月、伊藤真悟撮影)。
ANA(全日空)によると、同社のなかでは便名のつけ方に、一定のルールを定めているといいます。ANAの場合、国際線であれば、日本から東行きであれば偶数が一般的です。たとえば成田発ロサンゼルス行きであればNH6便、パリ・シャルルドゴール発羽田行きであればNH216便などです。対し、西に向かうものであれば逆で、ロサンゼルス発成田行きや、羽田発パリ・シャルルドゴール行きであれば奇数を用います。
では、日本各地を結ぶ国内線ではどうしているのでしょう。ANAの国内線の運航ダイヤを決めるANA企画室ネットワーク部によると「上り、下りで奇数と偶数を使い分けている傾向にある」とのこと。
国内最大の空港である羽田空港であれば、羽田に向かう便、すなわち東京を目指す「上り」が偶数で、羽田空港を出発しさまざまな地方空港へと向かう「下り便」が奇数といった法則性があるそうです。
「上り」「下り」どう決める? 大空港なのに例外も……羽田空港を発着する便であれば「上り」「下り」の大別は容易につくものの、ほかの空港を結ぶ便ではどうなのでしょうか。
「たとえば新千歳空港は、路線数や利用者数も多いのですが、実は時刻表上では『下られる側』の傾向があります。小松、静岡~新千歳線などでも、小松空港や静岡空港が“拠点”として、新千歳発が下りとして見なされ、『偶数』が割り当てられるケースもあるのです」(ANA企画室ネットワーク部)

新千歳空港のANA機(2020年、乗りものニュース編集部撮影)。
また、羽田~伊丹線などでは、時刻×2が便数となっていることもあるようです。大阪午前8時発羽田行きは「16便」、9時発は「18便」といったように便名が付与されるケースも見られます。ANAは「地域ごとにある程度、使用する便名の範囲がある」としています。
ただまれに、時刻表には、法則性を無視した便名が出現することも。これについてANAは、「もともとはなかった便なのですが、発着枠が増えたなどの理由によって後から増便したといったような、歴史を物語っているものといえるでしょう」といいます。例としては羽田発伊丹行きの始発便、NH986便などが挙げられます。