新型コロナで「非接触」が各業界のテーマとなるなか、ANAとジャムコが「手を触れずに出られる機内トイレのドア」を共同開発。その搭載1号機となる、ANA国内線用のボーイング787が披露されました。

2020年5月開発

 新型コロナウイルス感染拡大で、「非接触」をテーマにした新たな取り組みが多くの業種で行われているなか、ANA(全日空)と旅客機の内装品などを手掛けるジャムコ(東京都立川市)が「手を触れずに出られる機内トイレのドア」を共同開発しました。ANA国内線の旅客機で、そのドアが世界の航空会社で初めて搭載されます。

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ANA国内線機材に導入された「手を触れずに出られる機内トイレのドア」(2021年4月28日、乗りものニュース編集部撮影)。

 2021年4月28日(水)、羽田空港内のANA格納庫で搭載1号機(ボーイング787-8。機番:JA817A)のトイレが報道陣に公開されました。

 これまで化粧室のドアは、手でロックを解除し、ドアを開けるものが一般的でしたが、今回2社が導入したのは、肘などを引っ掛ける形でドアロックを解除し、ドアを開けることができるタイプのものです。

 外観はほとんどこれまでの化粧室ドアと同様に見えますが、その内側についているドアは、ロックのノブが大型のものに変更され、引き手部分にハンドルを追加。これらに肘や手首などを引っ掛け、ドアを開けることができます。内側部分をおもに改修点としたのは、「お客様が用を足し、手を洗ってからのことを考えた」(ANA)ものだそうです。

新たなトイレドアができるまで 導入機材は?

 ANAとジャムコはこの「手を使わず開けられる」トイレのドアを2020年5月に開発。試作品は、同年7月から9月までの約1ヶ月半、羽田空港のANAラウンジで設置し、利用者の反応や意見を集めました。ここで集まった500件超の意見などを踏まえ、使い方のガイドとなるシールを貼ったほか、ハンドルの形状を見直すといった改修を実施したのち、今回の実用化となっています。

ANAの担当者は「新装備ではあったものの、発案から導入までスピード感をもってできた」としています。

コロナで旅客機トイレに革命! ANAが世界初「肘だけで開けられるドア」実用化 国内線に

「手を触れずに出られる機内トイレのドア」を導入したJA817A(2021年4月28日、乗りものニュース編集部撮影)。

 新たなトイレドアを備えた初号機「JA817A」の就航は、2021年5月初頭を予定しています。今後、化粧室ドアが搭載される機体は、国内線仕様のボーイング787-9型機11機(JA817A含む)、787-9型機2機で、これらは2021年度内に順次新たなドアが導入される予定です。そのほか、777-200型機8機にも、このタイプのドアが導入されます。ANAによると「より多くのお客様にこのドアをご利用いただけるよう、まずは客席数の多い国内線機材から導入した」とのことです。

 このほかANAでは、空港で2021年4月より国内空港の自動チェックイン機のタッチパネルに抗菌フィルムを取り付けたほか、国内線の機内では毎日夜間のアルコール消毒に加え、2021年2月より持続性の高いウイルス除去剤を使用した定期的な消毒をはじめるなど、ニューノーマル内における同社の搭乗スタイル「ANA Care Promise」のアップデートを順次実施しているとのことです。

【10秒動画】ANAの「手要らずトイレ扉」を開けてみた
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