同じホームの同じ線路上に、2本の列車が縦並びで停車する光景が、いくつかの駅で見られます。一般的に列車の連絡などは別の番線同士横並びになることが多いですが、なぜ縦並びが発生するのでしょうか。
同じホームの同じ線路上に、2本の列車が縦列停車する光景が、いくつかの駅で見られます。一般的に列車の連絡などは別の番線同士横並びになることが多いですが、縦並びという特異な列車の運用が発生するのには、事情があったります。
●池袋駅(西武池袋線)
西武池袋駅の特急専用ホームは、一般列車用ホームの7番線と同じ線路の、奥側に設けられています。特急が停車中に準急などの一般列車が進入し折り返していくことも多く、縦列停車の光景が見られます。
なぜこのような形になったのでしょうか。もともと7番線は国鉄と貨物を中継する連絡線を設けていたため、ホームの長さは300m以上ありました。1967(昭和42)年1月に国鉄との貨物の中継が廃止となり(国分寺駅に変更)、1969(昭和44)年10月14日の西武秩父線開業にあわせて特急の運転を開始することから、長いホームを活用して頭端側を特急専用ホームとしたのです。
なお、特急ホームは7両分の長さですが、新型特急車両の001系「Laview」は8両編成のため、7番線にほぼ1両がはみ出します。そのため一般列車の8両編成の停車位置は次駅側へずれているほか、「Laview」が特急専用ホームに停車している間、7番線に10両編成が停車しないようなダイヤを組んでいます。
西武鉄道の池袋駅で見られる、特急「Laview」と一般列車の縦列停車(伊藤真悟撮影)。
●淀屋橋駅(京阪本線)
京阪淀屋橋駅のホームは頭端側の幅広ホーム(3・4番線)と次駅側の幅狭ホーム(1・2番線)を縦につないだ形状で、そこに3本の線路が設置されています。1番線と4番線が同じ線路上にあり、平日のラッシュ時には、特急と各駅停車の列車が縦列停車で順番に折り返していきます。
大都市の中心部という、スペースに制約がある中で生まれた構造で、中之島線の中之島駅と阪急京都線の京都河原町駅も同じ構造になっていますが、どちらも縦列停車は行われていません。中之島駅は先端の幅狭ホームがカーブ状で危険なため片面を封鎖していること、京都河原町駅は10両編成の導入などにより縦列停車ができなくなったことが理由です。
乗り換えを便利に? 電化・非電化の縦並びも縦列停車を行う理由には、同じホーム上での乗り換えを可能にするという利点があります。
●名鉄一宮駅(名鉄名古屋本線、尾西線)
名鉄尾西線は名鉄一宮駅を境に、北側の玉ノ井方面と、南側の津島方面に運転系統が別れ、列車は同じ1番線から発着します。このため、縦列停車が見られるのです。安全のため、双方ののりばの間には信号機が設置されています。
名鉄一宮駅に停車する尾西線の2本の列車(乗りものニュース編集部撮影)。
●泊駅(あいの風とやま鉄道、えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン)
富山県と新潟県の県境に近い泊駅はあいの風とやま鉄道の駅ですが、えちごトキめき鉄道の列車もやってきます。一部をのぞき大半の列車は泊駅発着で、相互にスムーズな接続ができるダイヤになっています。
当駅で接続が行われる際は、2番線で互いの列車が縦列停車する形となります。並ぶ2社の車両は、どちらもJR西日本の223系電車の流れを汲むそっくりな見た目ですが、あいの風とやま鉄道は電車(521系)、えちごトキめき鉄道は気動車(ET122形)です。
●松山駅(JR予讃線)
松山駅はJR予讃線の一大ターミナル駅で、特急列車もすべてこの駅で発着します。
この場合も前述の泊駅のように、電車と気動車との縦列停車を見ることができます(特急「いしづち」「しおかぜ」が電車で、特急「宇和海」が気動車)。
●番外:金沢文庫駅(京急本線、逗子線)
かつて金沢文庫駅では、平日の夕ラッシュ時に「縦列待避」が行われていました。2面4線になっている当駅の1番線に、6両編成の浦賀行き、その後で6両編成の新逗子行きと2本の普通が入線し、縦列停車で後続の快特や「京急ウィング号」を待避するものです。
京急の奇抜な列車運用のひとつとして名物となっていたこの縦列待避ですが、2010(平成22)年5月に終了。理由は、同じく2面4線である隣の金沢八景駅に快特が停車するようになったため、浦賀行きは待避を金沢八景駅で行うよう変更されたためです。

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