新型コロナで苦境が続く航空業界。ANAでは今春の機内食レストランを契機に、駐機中の旅客機を活かす取り組みを進めています。
新型コロナウイルス感染拡大で国際線航空便の大幅な運休・減便が続く航空業界。そのようななか、航空会社それぞれが新たなサービスを展開しています。
ANAではコロナ禍の期間、総2階建ての超大型機エアバスA380「フライングホヌ」を用いた遊覧チャーター便をはじめ、機内食やCA(客室乗務員)がドリンクサービスを実施する際に使用する新品カートをネットで販売するといった新たな取り組みを次々に展開。なかでも同社で2021年の春頃から活発化しているのは、駐機中の旅客機を使った企画です。
報道公開された「THE WEDDING with ANA ~機内ウェディング~」の様子(2021年5月23日、乗りものニュース編集部撮影)。
その皮切りとなったのが、3月末から実施されている「翼のレストランHANEDA」です。これはANA国際線用の旅客機を、羽田空港に駐機中のまま機内食を提供するレストランとして“営業”するといったもの。これは4月以降も継続実施されることになったほか、成田空港に駐機する「フライングホヌ」でも、同じ趣旨のイベントが実施されるようになりました。
そしてもうひとつ、駐機中のANA国際線用旅客機を用いた新たな取り組みが、2021年5月からスタートしました。「THE WEDDING with ANA ~機内ウェディング~」と銘打たれ、ハセガワエスティと共同で実施されたこの企画は、駐機状態の機内で結婚式を実施するといったものです。
機内ではモデルプレーンの両翼からそれぞれの指輪を取り出すといった、機内ならでは指輪交換が実施されたほか、立会人代表としANAのボーイング777型機の機長が証明書を渡し、スピーチを実施。式の後半には、ANAのCA(客室乗務員)による「寿アナウンス」が行われています。
羽田では異例「機内で結婚式」どんな苦労があったのかこの「寿アナウンス」は、機内放送を模したスタイルで、CAが新郎新婦にお祝いのメッセージを送るといったもの。一部を抜粋すると「離陸後の飛行時間は、笑顔あふれる結婚生活、ANAでいくさまざまな旅行、時には夫婦のすれ違い、様々な人間模様や思い出を描きながら飛行を続けていくことでしょう。行き先のハッピーアイランド地方の天候は雲ひとつない快晴、気温アツアツ、湿度がマックスで測定不可能と報告されています」といった内容でした。

「THE WEDDING with ANA ~機内ウェディング~」5月23日実施回の機内の様子(画像:ANA)。
このたびの「機内で挙式」企画の中心となったANAのCX企画推進室の芳賀一樹さんによると、発案のきっかけは「コロナ禍で結婚式ができない人が多くいると聞いた」ことからといいます。ただし羽田空港では異例の取り組みゆえ、「保安面をクリアするため、そこの調整に苦労した」とも。企画自体は2020年12月ごろから練られていたものの、「6月まで機体を使用できると確約が取れたため」この時期の実施となったそうです。
一方、ハセガワエスティの担当者は「普段の結婚式では何回もリハーサルができるが、機内はそうはいきません。
この「THE WEDDING with ANA ~機内ウェディング~」は2021年5月、6月に計7回実施予定で、6月13日(日)実施分を最後に「その後は決まっていない」(ANA)としています。ただ、先出のANAの芳賀さんは「やってみるとワクワクするし、お客様からの反応もよかったです。こういったイベントの派生系は、今後も考えていきたい」とも。ANAの駐機中の旅客機を利用した斬新なイベントは、今後も形を変えながら展開し続けるのかもしれません。
【完全版動画】聞いててニヤけが止まらない? ANAのCAによる「寿アナウンス」