国内、国際で16年ANAで活躍してきた「胴体の短い737」ことボーイング737-700型機。現在ラスト1機が残るのみで、この機も27日にラストフライトを迎えます。

機内の様子はいつもと差はあるのでしょうか。その前々日のフライトに搭乗しました。

岡山空港も「ありがとう737-700」ムード

 2021年6月27日(日)をもって全機退役予定のANA(全日空)のボーイング737-700型機。現在ANAに残るのは、ラストフライトを実施する1機(機番:JA06AN)のみです。退役の前々日となる6月25日(金)、このJA06AN(NH654便:岡山発羽田行き)に実際に乗ることができました。

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NH654便として出発する前のANAのボーイング737-700「JA06AN」(2021年6月25日、乗りものニュース編集部撮影)。

 ANAの737-700は2005(平成17)年から運用が始まりました。現在の同社主力機のひとつ「737-800」は、737-700から胴体を6m伸ばした姉妹機です。ちなみに、ボディのザイズこそ小さいものの、ANAへの導入は737-700のほうが先で、いわば“先輩”にあたります。

 なおこの737-700、ANAによると「北は稚内や利尻、南は宮古や石垣まで、ほぼ国内全ての空港を飛び回ってきた」とのこと。このほか、2006(平成18)年の中部~台北線への就航を皮切りに、国際線へも進出。中部を中心に成田、関西発着のアジア路線へ投入されています。

 ANAの737-700の退役が近づいていることは、空港の様子からも見て取れます。

 この日の出発地となった岡山空港の1階には、ホワイトボードに同機の写真が貼られ、「ありがとう」のメッセージが書かれていました。保安検査場を通過し、搭乗口から機内に乗り込むまでは通常通りではありますが、東京へ行く人はもちろんのこと、別れを惜しむべく「乗りに来た」ファンらしき人たちの姿が見られるのは、この機ならではでしょう。

 また、岡山空港出発時にも、スタッフが駐機場から横断幕を掲げ、あと数日でお別れとなる同機の出発を見届けています。

ラスト迫るJA06AN 機内の様子もいつもと違った

 ラスト1機となったANAの737-700「JA06AN」の席数は120席。上位クラスのプレミアムクラスが8席と、普通席が112席です。この席数はANAグループが現在保有しているジェット旅客機のなかでは最少です。

 ANA機の普通席シートといえば、青色ベースのものが採用されていることが、いまやスタンダードになりつつありますが、この機のシートは紺色がベースカラーとなっています。ただシート周りや蛍光灯の照明こそ年季を感じられるものの、共用モニターは現行のものに近い画質となっており、まだまだ飛ぶことのできる機体であることがうかがえます。

 岡山から羽田までのフライトは1時間程度。機内では「この機が27日をもって退役すること」がアナウンスされます。パイロットからの機内アナウンスでは、次のようなことが語られています。

「16年間ほどANAで飛行したこの機は、飛行時間約3万3000時間、地球約460周分の距離を飛んだことになります。なお、到着の記念撮影などをされるお客様がいらっしゃいましたら、お客様同士の距離を保っていただきますようお願い致します。737-700でのフライトをどうぞお楽しみください」(25日のNH654便のパイロット)

明日全機退役のANA「胴体短い737」 最後の1機に乗った 機内の様子はいつもと違う?

羽田空港で横断幕を掲げるANAのパイロット(2021年6月25日、乗りものニュース編集部撮影)。

 羽田空港到着後、この機では新型コロナウイルス感染拡大防止の一環として、前方、中央、後方の3グループに分かれて降機となります。ただこの日は、記念撮影のため最後まで残る乗客も。CA(客室乗務員)も時間の許す限り、それに対応する様子が見られました。

 到着ゲートでは、横断幕をもったANAのパイロットたちが出迎えます。ANAによると「出迎えたメンバーはボーイング737の担当パイロットを中心に構成されている」とのこと。乗客には搭乗証明書やステッカーもプレゼントされています。

 小さいながら、国内、国際で多くの実績を残したANAの737-700。ラストフライトは27日の岡山発羽田行き、NH654便の予定です。

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