横須賀と北九州を結ぶ「東京九州フェリー」がいよいよ就航。そのターミナルや船内が公開されました。
横須賀と北九州を結ぶ「東京九州フェリー」が2021年7月1日(木)に就航します。これに先立ち6月30日(水)に横須賀で船内が報道陣へ公開されました。
東京九州フェリーには新造船「はまゆう」「それいゆ」が投入され、北九州の新門司港までが約21時間で結ばれます。横須賀側の発着地となる横須賀新港には、就航日から稼働するターミナルビルが竣工していました。
東京九州フェリー「はまゆう」。垂直な船首も高速運航を可能にする工夫のひとつ(中島洋平撮影)。
公開された「はまゆう」は全長222.5m、総トン数は約1万5400トン、2層の車両甲板にトラック約154台、乗用車約30台を積載できます。旅客定員は268名です。
客室は、最安クラスであるベッドのみのツーリストAもプライベート空間が確保されるほか、トラック運転手向けのドライバーズルームも含め「全て個室」といって差支えないとのこと。会見した東京九州フェリーの入谷泰生会長は、「ゆったりとした船旅にお応えできる」と自信を見せました。
首都圏では久々の誕生となる長距離フェリーですが、東京~北九州間にはすでに、徳島を経由するオーシャン東九フェリーが就航しています。
入谷泰生会長によると、これに対し東京九州フェリーのウリはスピードにあるといいます。およそ1000kmの距離を約21時間、最大27ノット強(50km/h強)で結ぶのは、国内でもかなり速いそう。
「昨今のCO2(二酸化炭素)削減問題や少子高齢化によるドライバー不足を考えれば、今後、陸路で長距離を走るのはますます難しくなります。長距離フェリーはいわば、トラックなどがそのまま乗ることができる『海の高速道路』です」(入谷会長)

横須賀新港フェリーターミナル(中島洋平撮影)。
航路として競合関係にはなるものの、オーシャン東九フェリーも東京九州フェリーと同じSHKライングループに属します。オーシャン東九は時間がかかるぶん、運賃は東京九州フェリーより安く設定されているため、急ぐ貨物は東京九州フェリー、そうでなければオーシャン東九といったすみ分けができる見込みだそうです。
また、旅客の需要に関しても「マーケットはそれなりに掴んでいるつもり」(入谷会長)といいます。というのも、SHKライングループで新潟から北海道(小樽)へ発着している新日本海フェリーが現に、その旅客の大部分が関東の人だそうで、首都圏のフェリー需要に手ごたえがあるのだとか。そうは言っても、「新航路なので(東京九州フェリーの)認知度は上げていきます」ということでした。