SUVなどのドレスアップ手法のひとつとして、近年人気が高まっている「ホワイトレター入りタイヤ」。タイヤサイドの白い文字を「見せる」カスタムですが、なぜか路線バスにも一部採用されています。
2021年現在、クルマのドレスアップ手法のひとつとして「ホワイトレター入りタイヤ」がジワジワ人気を集めています。
タイヤのサイドウォールにメーカー名などが白い文字で書かれたもので、もともと1960年代頃にアメリカで流行しました。近年、アウトドア人気の高まりとともにSUVなどのオフロード系車種を中心として再流行の兆しがあり、タイヤメーカーもラインアップを増やしています。
いわば「見せるタイヤ」であるホワイトレター入りタイヤがいま、オフロードなイメージとは無縁の車種にも見られます。なんと、路線バスです。
タイヤに白文字が入った東急バス(乗りものニュース編集部撮影)。
東急バスの大型路線バスの一部に、「TOKYU BUS」「TOYO TIRE」の白文字が書かれたタイヤが採用されています。これは汎用品ではなく、トーヨータイヤが東急バス専用に作ったもの。東急バスに話を聞きました。
――いつから、なぜホワイトレター入りタイヤを路線バスに履かせているのでしょうか?
2021年7月から、弦巻営業所(東京都世田谷区)所属の路線バス6台に採用しています。トーヨータイヤさんとしては、オリンピック・パラリンピックの期間に向けて都内主要部を走るバスに採用し(弦巻営業所のバスの多くは渋谷駅へ乗り入れる)、社名をPRされたい意図もありますが、ホワイトレターの耐久性を実証することも兼ねています。
――耐久性の実証とはどういうことでしょうか?
バスは縁石にタイヤを極力近づけて停車しますので、タイヤを縁石に擦るような走行を想定したホワイトレターの耐久性ということになります。なお、ホワイトレターはペイントではなく、白い色のゴムをサイドに貼り付けて製造しているため、文字が簡単に消えることはありません。
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つまり、バス向けタイヤの新製品のテストを兼ねている取り組みのようです。
なんで路線バスに? トーヨータイヤの意図は東急バスとトーヨータイヤは歴史的な縁もあり、東急バスの多くがトーヨータイヤを使用しているほか、トーヨータイヤの広告がラッピングされたバスもしばしば走っています。そうした関係から今回のコラボに至ったそう。
トーヨータイヤは、「ランドクルーザー」でラリーに参戦するトヨタ車体のチームにも供給している「OPEN COUNTRY」シリーズなど、オフロード向けタイヤでホワイトレター入り商品のラインアップを強化しているメーカーのひとつです。

トーヨータイヤのOPEN COUNTRYシリーズ(画像:トーヨータイヤ)。
SUVなどとは全くジャンル違いともいえる路線バスですが、トーヨータイヤによると、今回のバス向けホワイトレター入りタイヤは、ドレスアップと社名PRの双方を兼ねるようなものだといいます。
ただし、トラックやバスのタイヤは一般的に、トレッド(接地面)にゴムを貼り付けて再利用することが多々ありますが、このときに社名のホワイトレターが残ることなど、検討を要する事項も多いとのこと。「すぐに商品化はなさそう」ということでした。