オール2階建て新幹線E4系「Max」の定期運行がもうすぐ終わります。日本の新幹線から2階建て車両が姿を消す前に、その高い位置からの眺めを楽しむための座席選びを紹介します。
オール2階建て新幹線であるE4系「Max」の定期運行終了が近付いています。1985(昭和60)年10月に東海道・山陽新幹線で、日本初の一部2階建て新幹線100系電車が登場して以来日本の新幹線を走り続けてきた2階建て車両が姿を消そうとしています。
引退が近付くE4系。新潟駅は屋根がありやや暗いものの、天窓からの光によって波打つような先頭形状の観察はしやすい(栗原 景撮影)。
乗客サービスとして2階建て車両を組み込んだ100系に対して、E4系とその先代であるE1系は着席定員を増やすために造られた「オール2階建て」でした。防音壁が高い東北・上越新幹線では、2階席から車窓風景を存分に楽しめる車両でもありました。
現在、E4系が最後の活躍を続けているのは上越新幹線です。トンネルが多いものの、それでも2階席からは、広大な関東平野や秩父・妙義山系を見晴らせる大宮~高崎間、米どころ・新潟を実感できる田園風景が見事な長岡~新潟間など、車窓風景も十分に楽しめる路線です。
2階建て新幹線に乗って車窓風景を楽しめるのはあと1か月足らずとなりました。車窓は、座席を向かい合わせにできない今は基本的に1人で眺めるもので、会話もほとんど発生しません。密にならず、感染予防対策を徹底したうえで車窓を最大限楽しむためのE4系の座席の選び方を紹介します。
E4系おすすめの座席はズバリここE4系の座席は、もちろん2階がおすすめです。

下り列車は31列を除く奇数列の席がおすすめだが、指定券もそこから売れていくので注意しよう(栗原 景撮影)。
2階席にも、おすすめの席があります。それは、客席窓に対して後列になる席。
E4系の客席窓は、今では珍しくなった客席2列に対して一つの大型窓。しかし、2列ごとの窓に対して前列側の席は、目の前に窓の端が来てしまい、見晴らしが良くありません。後列の方が圧倒的に眺望を楽しめます。また、新潟方先頭車を除き、どの車両も新潟寄り車端部に1列だけの窓があります。これも避けた方が良いでしょう。
では、具体的に何番の座席が良いのでしょうか。
自由席を利用する場合も、考え方は同じです。下りは31列(1・9号車は27列)を除く奇数列、上りは偶数列が良いでしょう。
進行方向左側が基本だけれど次に、左右どちらの席に座るかです。E4系2階席の窓側席は、新潟に向かって右側(東側)が3列席のA席、左側(西側)が2列席(自由席は3列席)のE席(グリーン車はD席、自由席はF席)となります。なお1階席は、3列席と2列席が左右逆になり、アルファベットも新潟に向かって左がA席です。
それでは、進行方向の左右はどちらの席に座れば良いのでしょうか。基本は、進行方向左側です。進行方向右側は反対方向のレールがあり、防音壁までの間隔も大きいため、いかに2階建てのE4系といえど、高架近くの景色は見えず、見晴らしている感が薄れてしまうからです。しかし、上越新幹線の場合は、見どころがどちらかというと下り列車の進行方向右側(A席側、東側)に多いので、注意が必要です。
時間帯も大切です。ほぼ南北を結ぶルートになっている上越新幹線の場合、午前中はA席側から日差しが入り、午後はD・E・F席側から西日が入ります。ですから、「午前は下り列車で奇数列D・E・F席に乗車し西側の景色を眺め、午後は上り列車で偶数列A席に座って東側の車窓を楽しむ」というのが、最適解となります。
上越新幹線では、平屋のE2系やE7系では防音壁に遮られて、E4系ほどの眺望は望めません。上越新幹線を使う機会があれば2階建て新幹線からの車窓を目に焼き付けておきたいものですね。