緊急事態宣言が明け、新宿の高速バスターミナル「バスタ新宿」にも多くの人の姿が見られました。いまの需要や運行本数はどうなっているでしょうか。

高速バス事業者の団体は、より「安心」な乗車環境をつくるべく活動しています。

「あんしん高速バス強化ウイーク」

 緊急事態宣言が明け、新宿の高速バスターミナル「バスタ新宿」にも、客足が戻っているようです。こうしたなか高速バス事業者などからなる「高速バス安心推進コンソーシアム」が2021年10月15日(金)から、全国のバスターミナルやバス車内にてチラシとマスクを配布しています。

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手前が京王高速バス身延行き、奥が河口湖行き(2021年10月15日、中島洋平撮影)。

 高速バス安心推進コンソーシアムは、ウィラーと楽天グループが事務局となり2020年9月に発足した事業者団体です。今回は、高速バス利用者の感染症対策への協力に感謝するとともに、引き続き対策の徹底を呼び掛ける「強化ウイーク」として、10月21日(木)まで31のバス事業者が参加しています。

「宣言が明けてから、(座席販売サイトの)ページアクセスも増えています。高速バスが不安な方、これまで利用されたことがない方に、安心を伝えていきたい」(楽天グループ トラベル&モビリティ事業 バスグループマネージャー 佐藤 修さん)

 ウィラー広報の竹内美月さんも、帰省をあきらめていたり、移動できずにいた人を後押ししたいと話します。

 ただ、いまだ高速バスは減便が多く、ウィラーのバスの本数はコロナ前の4割ほどだそう。1便あたりの乗車率を確保するため、本数を絞り「耐え忍んでいる」(楽天グループ 佐藤さん)状態は続いているといいます。

いまも好調な路線、これから「本番」な路線

 そのなかでも、御殿場プレミアム・アウトレット行きや河口湖行きなどは特に、多くの人が乗車していく光景が見られました。

「テーマパークなどへの路線は需要がありますね」とウィラー竹内さん。

バスタ新宿でいえば草津温泉行きなどは冬が本番ということもあり、レジャー路線の伸びに期待がかかるといいます。

 バスタ新宿全体の客足としても、宣言中と比べれば大幅に増えた印象で、ウィラーの名古屋行きや、JAMJAMライナーの仙台行きといった中長距離路線、羽田空港行きリムジンバスなども、キャリーバッグを引いて乗車していく人が多く見られました。

宣言明け客足戻るバスタ新宿 「耐え忍んできた」高速バス事業者共同でキャンペーン

配布されたマスク(2021年10月15日、中島洋平撮影)。

 ただ、コロナ前は日本人と同じくらい多かったインバウンド(訪日旅行者)の姿はほとんどありません。この分の需要回復は相当先になることでしょう。

 ちなみに、高速バス安心コンソーシアムはコロナ対策の情報共有をすべく立ち上がりましたが、従来から都道府県バス協会などの業界団体はあるものの、より柔軟なレベルでの事業者の集まりはほとんどなかったそう。事業が厳しい環境に置かれるなか、こうした横の連携ができたことは、各事業者にとって意義深いといいます。

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