日本国内でも増えつつある「有料トイレ」、この概念をいち早く取り入れたのが、ヨーロッパです。フランスの駅で有料トイレを実際に使ってみました。
ここ数年、都内の駅周辺施設などで徐々に一般化しつつあるのが、「有料の公衆トイレ」です。国内では、1回使用するごとに100円というのが相場のようです。
設置目的もさまざまで、たとえば秋葉原駅の「オアシス@akiba」の場合、「ハイグレードな仕様と係員常駐により、だれもが快適に利用できる質の高いサービスを目標とする」(千代田区)。ほかには「本来は施設の利用者のためのものだが、トイレだけ使いたい人もいることから、有料での提供とした」(東京駅構内キッチンストリート。現在はリニューアル工事中で閉館)といったものも。どこの有料トイレも「無料よりはきれいな環境を……」というコンセプトは一貫しているようです。
シャルル・ド・ゴール空港の鉄道駅にあるフランスの有料トイレ(2021年10月、乗りものニュース編集部撮影)。
一方、ヨーロッパなどでは、こうした施設の公衆トイレは”有料が当たり前”のところも少なくありません。たとえばフランスの空の玄関口、シャルル・ド・ゴール空港の第2ターミナルは駅と直結していますが、空港内のトイレは無料であるのに対し、駅構内のトイレは有料トイレとなっています。無料の空港トイレとどう違うのでしょうか。
このトイレは、利用するたびに1ユーロ(約130円前後)を支払う必要があります。
トイレへの入り口は、遊園地の入場口のようにバーが回転する方式で、1ユーロコインを入れ、バーを押すと動きます。ちなみに記者が2ユーロのコインで試したときには、バーが動かず入れませんでした。なので「1ユーロのコイン」をもって入ることが、”スピーディーに花を摘む”コツでしょう。なお、男子トイレは大便器が4つ、小便器が5つ。マップによると女性用トイレは7つあるようです。
無料トイレ&日本と比べてどうなのか?トイレ内には、1名スタッフが常駐しているようで、時間を見つけては清掃をしている様子。何度か1ユーロを払って入りましたが、いつも清潔に保たれていました。とくに洗面所などはピカピカです。大便器も見てきたところ、トイレットペーパーも常にストックされていました。

シャルル・ド・ゴール空港(2021年10月、乗りものニュース編集部撮影)。
一方シャルル・ド・ゴール空港内の無料トイレと比べると、エリアによっては(同空港は第2ターミナルがA~Gの7エリアに分かれる)、空港内の方がキレイなところもあるようです。
一方で”トイレ王国日本”の有料トイレと比べると、フランスの有料トイレは、設備や環境の面で大きく下回ります。たとえるとシャルル・ド・ゴール空港の有料トイレは、日本でたとえると”少し古めのショッピングセンターのトイレ”が近いかもしれません。
ただ一方で、こういった公衆トイレは、さまざまなメンテナンス費用などがかかっている――というのも、日本だとなかなか気づきづらいポイントです。日本の空港や駅であれば、それぞれの施設管理者がかなりの費用をかけているでしょう。
フランスなどヨーロッパ諸国では、この維持費を利用者に負担してもらうという考え方が有料トイレにはあるそう。このほか、トイレに人を常駐させることで、治安を維持する効果もあるとのことです。シャルル・ド・ゴール空港の駅の有料トイレには、現地の人がコイン片手に列を作ることも。同国において「お金を払って用を足す」考えは、全く違和感のないものといえそうです。