JAL「羽田~千歳線」の就航70周年を記念して、千歳市・日本航空千歳空港支店・北海道エアシステム共催による新千歳空港発着の遊覧飛行を実施。この遊覧飛行では、駐機場と滑走路をかつての千歳飛行場である航空自衛隊の施設を使用しています。

千歳基地はかつて官民共用の「千歳飛行場」

 JAL(日本航空)の「羽田~千歳線」就航70周年を迎えた2021年10月26日(火)、午前中にJALの羽田~千歳線の2便を対象とした記念フライトを行ったあと、午後には千歳市・日本航空千歳空港支店・HAC(北海道エアシステム)の共催で、HACのATR42-600型機(機材番号:JA11HC)を使用した遊覧飛行を実施しました。

 この遊覧飛行の特徴は、離発着したのが新千歳空港の滑走路ではなく、隣接する航空自衛隊千歳基地の滑走路であったことです。

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航空自衛隊千歳基地の駐機場から出発するHACのATR42-600型機。JALのスタッフたちが横断幕を掲げて見送る(2021年10月26日、伊藤真悟撮影)。

 航空自衛隊千歳基地はかつて「千歳飛行場」であり、官民共用の施設でした。1926(昭和元)年に千歳村民の労力により着陸場を作り、小樽新聞社(現:北海道新聞社)保有の「北海第一号」が飛来したのがはじまりです。

 1945(昭和20)年の終戦からは米軍が駐留しましたが、1951(昭和26)年10月25日に民間空港として再開し、翌26日にJALの羽田~千歳線が就航しています。つまり、今年は就航70周年であるとともに民間航空再開70周年でもあるのです。

 今回の遊覧飛行は、2026年に「千歳市空港開港100周年」を迎えることもあり、カウントダウン企画とともにJALグループの地域活性化事業の一環として、千歳市民への恩返しの意味も込めて実施したとのこと。そのため遊覧飛行には千歳市民を無償で招待しています。

搭乗口ではJALの歴代制服を紹介

 遊覧飛行はJL4366便とJL4367便の2便を運航しましたが、1便目となったJL4366便では新千歳空港の202番搭乗口横で出発セレモニーを行いました。

 セレモニーでは山口幸太郎千歳市長が「これから5年かけて、空港開港100周年に相応しい行事を考えていきます」と挨拶。

日本航空千歳空港支店の林 浩一支店長は「『羽田~千歳線』就航70周年となりましたが、10年後、20年後、あるいは次の70年に向かって、楽しくそして安全で快適な空の旅を提供していきたいです」と話しました。

 また、JALスカイの社員が着用した客室乗務員初代(2号)制服、地上職員3代目制服、地上職員4代目制服、地上職員5代目制服も紹介。DC-8C型機就航時のポスターや、DC-8型機「松島号」の搭乗記念として配布された日付変更線通過記念証などの貴重な資料の展示も行っています。

自衛隊基地から旅客機が飛び立つ! JAL羽田~千歳線70周年で「鶴の恩返し」遊覧飛行

セレモニーではJALの歴代制服を着用したJALスカイ社員が登場(2021年10月26日、伊藤真悟撮影)。

 山口市長をはじめとするJL4366便の搭乗客は、202番搭乗口からバスで千歳基地の駐機場へと移動してATR42-600型機に搭乗。14時35分に駐機場から動き出しましたが、実際の離陸は悪天候の影響で15時23分となりました。支笏湖、登別、洞爺湖・有珠山、羊蹄山・ニセコを巡って16時01分に千歳基地に到着しています。ちなみに2便目のJL4367便は、千歳飛行場から登別・室蘭、藻岩山、札幌市内を周回するルートとなっていました。

 今回の遊覧飛行に使用されたHACのATR42-600型機は、北海道内の路線を中心に運航していますが、普段は新千歳空港には飛来しません。そのため、航空自衛隊の滑走路を使うだけでなく、千歳にやってくること自体も珍しい出来事となっています。

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