東京23区内には、1号線から8号線までの環状道路が形成されていますが、「環九以上」はあるのでしょうか。23区から西へ延びる地区にも、環八通りのように南北を貫く道路が形成されています。
東京23区内には、皇居の周りを囲む1号線から順に、8号線まで「環状道路」に位置付けられた都市計画道路が存在します。それらは一般的に「環状●号線」ではなく区間により様々な愛称で呼ばれ、「環七通り」「環八通り」以外は環状道路であることも、広くは知られていないでしょう。また、環状6号線(山手通り)や8号線(環八通り)のように、23区の西側を南北に結ぶだけの道路もあります。
では、「環状9号線」以上はあるのでしょうか。
結論から言えば、東京都の都市計画上の「環状●号線」は8号線(環八通り)までですが、環八通りの西側、多摩地区にも南北方向の都市計画道路が複数存在し、それらは実質的に環状9号線以上と言えなくもありません。
環八通りより西側の南北道路とは、「外環の2」ならびに「多摩南北道路」5路線です。それぞれ、どのような道路でしょうか。
外環の2建設中の外環道 大泉JCTの南側。地上道路として「外環の2」が整備される(画像:Google Earth)。
地下トンネル主体で建設中の外環道「関越~東名」区間の地上道路にあたります。ただし、具体的に話が進んでいるのは練馬区内、大泉JCTのある目白通りから、青梅街道までのあいだです。
大泉JCT周辺と上石神井駅(西武新宿線)周辺区間は事業中。
多摩地区では「多摩南北道路」5路線の整備が進んでいます。
多摩南北道路1号線「調布保谷線」調布市と西東京市の埼玉県境を結ぶ路線で、2015(平成27)年に全線開通しました。幅員はおおむね25~36m、一部を除き片側2車線の車道と自転車道、歩道が整備された大きな道路です。「新武蔵境通り」や「伏見通り」など、区間により異なる愛称がついています。
環八通りのバイパスとしての役割も担っているほか、調布市側では多摩川原橋を経て、南多摩地域を貫く「南多摩尾根幹線道路」に接続しています。

西武新宿線をくぐるトンネルの上から見た調布保谷線。トンネルの上には都立公園が整備された(乗りものニュース編集部撮影)。
多摩南北道路2号線「府中清瀬線」
多摩川に架かる府中市の是政橋の北から清瀬市を結ぶ路線で、「新小金井街道」の愛称があります。2013(平成25)年に全線開通。片側1車線ですが、鉄道は立体交差、丘陵にはトンネルが設けられ、既存の小金井街道より走りやすい路線です。
多摩川に架かる関戸橋を挟んで、北の府中所沢線と南の鎌倉街道を合わせた区間を指します。府中所沢線の府中市内は「新府中街道」と呼ばれますが、国分寺市以北ではいまだ多くの未開通区間があります。なお、最大幅員は36mという大きな道路になる見込みです。
4号線と5号線は?4号線は「モノレール下」の道路です。
多摩南北道路4号線(立川東大和線)立川市から多摩湖(村山貯水池)のふもとに位置する東大和市蔵敷に至る路線で、大部分は「芋窪街道」にあたります。多摩モノレール上北台(東大和市)~泉体育館(立川市)間の高架下を走る地上道路部分が該当しますが、泉体育館駅付近からJR中央線を越え都道145号までの約2.5kmが未開通。2021年現在、事業化に向け測量などが行われています。

多摩都市モノレールの北の終点、上北台駅。この地上道路が芋窪街道こと立川東大和線(画像:photolibrary)。
多摩南北道路5号線「八王子村山線」
八王子市の甲州街道から多摩川を多摩大橋で渡り、武蔵村山市の青梅街道までを結ぶ路線です。「多摩大橋通り」の愛称があり、多摩南北道路では最も早く2008(平成20)年に片側1車線で全通しました。
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これら多摩南北道路のさらに外側に位置するのが、1都3県をぐるりと囲む国道16号になります。
環八通りから国道16号までのあいだに位置する北多摩地域は、国道の空白地帯でもあり、たとえばGoogle mapなどでも縮尺によっては、今回紹介した都市計画道路も目立って表示されません。しかし実際には、こうした広い都市計画道路の整備が進んでいます。ただしこれら路線、主要道路との交差点はほとんど平面交差であることが、23区内の環七や環八とは大きく異なります。