もともとは、めっちゃ「荒ぶった」土地でした。

一次産業活性化で航空産業も拡大?

 愛媛・松山市に航空会社である「ANA(全日空)」の名が冠されたみかん農園が2022年4月に誕生し、植樹が実施されました。

航空会社と農園が、どういった経緯でつながったのでしょうか。

「ANAのみかん農園」愛媛に誕生…なぜ航空会社が? 新たな「...の画像はこちら >>

「ANA農園プロジェクト」で開墾された愛媛・松山のみかん農園(2022年4月、乗りものニュース編集部撮影)。

 実はこの「ANA農園」ともいえるこの農地、実は昨年秋頃まで”荒れ地”でした。愛媛県のみかん農家をはじめとする一次産業では、事業者の高齢化や後継者不足により「耕作放棄地」の増加という課題を抱えているとのこと。この立て直しのサポートに乗り出したのが、ANAグループで地方創生などを手掛けるANAあきんど松山支店です。農園の看板には、「ANA農園プロジェクト」の文字が掲げられています。

 同プロジェクトでは、新型コロナウイルス感染拡大で各航空会社が注力する「非航空事業」の拡大はもちろん、ANA航空便においても「一次産業が活性化すると、貨物需要が増え、交流人口も拡大。よって、最終的に旅客便の需要が増え、本業である航空収入も拡大する」というメリットも期待できるとのことです。

「ANA農園プロジェクト」中心には1人のCA

 なお、このプロジェクトではANAのCA(客室乗務員)の黒川さゆりさんが、ANAあきんど松山支店へ出向し、各種の企画を展開しています。これまで同氏を中心に、ふるさと納税の返礼品に「伊予柑の木1本まるごとオーナー制度」を用意する、ANA国内線プレミアムクラス機内食に「ANA農園」の管理を手掛ける石丸農園(松山市堀江)の伊予柑を使ったデザートを登場させるなどの取り組みを実施してきました。黒川さんによると、松山で働くANAのメンバーが自ら整備に携わった農地もあるとのことです。

 またANAでは、3700万人いるマイレージ会員を対象にこのプロジェクトのクラウドファンディングも行われ、農園整備費などの支援者を集めるなどの活動を実施。

今回の「ANA農園」の植樹式ではこの支援者も参加し、120本を超える伊予柑が植えられています。

「ANAのみかん農園」愛媛に誕生…なぜ航空会社が? 新たな「飛ばないビジネス」の経緯
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ANAあきんどの黒川さゆりさん(2022年4月、乗りものニュース編集部撮影)。

 なお、この「ANA農園」は約1000平米で、整備は石丸農園が実施したとのこと。以前の状態を知る黒川さんは「私達で別の土地を整地したときもかなり大変だったのに、この地はもともと、それ以上に荒れていました。『こんなに変わったんだ』という感動と『耕作放棄地を増やさないようにしなければ』という思いになりました」と話します。

 ANAあきんどの菅谷とも子社長は「石丸農園の『未来の子どもたちに美味しいみかんを食べてもらいたい』という思いは、私たちも一緒です。私たちの持っているツールでお役に立てるということがわかったので、成功事例を横展開し日本のなかで貢献していきたいです」とコメントしています。

 ちなみに、このたび植樹された木々にみかんが成るのは、3~4年を要するとのことです。

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