クルマの屋根上に取り付けるルーフキャリア類が売れているようです。背景にあるのがキャンプブーム。
クルマの屋根上の荷台、いわゆるルーフキャリアを付けたクルマが増えているようです。カー用品店「オートバックス」を展開するオートバックスセブンの広報担当者によると、しばらく横ばいだった市場が、ここ数年で活性化され、新商品が増えているといいます。
ルーフラックを取り付けたフォルクスワーゲン タイプ3。日常の買い物にもルーフラックが役立っているという(読者提供)。
ルーフキャリアのブランド「INNO」を展開するカーメイトに売上の推移を見せてもらったところ、2017年頃からまさに右肩上がりの状況。年々、数十億円規模で市場が広がっているようです。
背景にあるのが昨今のキャンプやアウトドアのブームで、コロナ前から兆候があったといいます。どのような人がつけているのか、同社に聞きました。
――ルーフキャリアはどのような人に売れているのでしょうか?
コロナ禍でも楽しめるレジャーとして流行しているキャンプをする人が多いです。新たにキャンプを始めた層が、「増えるキャンプ用品に対応する」「愛車をアウトドア感ある見た目にカスタムする」といった目的でルーフラック、ルーフボックスを活用しています。
――どのような車種が多いのでしょうか?
ミニバンやSUVが多いです。
※ ※ ※
ルーフキャリアは、荷室の小ささを補うためというわけではないようです。フォルクスワーゲンの旧車にルーフキャリア(ラック)を取り付けている30代男性は、「大きいクルマでも、人も乗せて荷物も載せてという時はあると便利。長尺物や、荷室に無理やり詰め込めない硬いコンテナボックスなどを積むのにいい」と話します。
カーメイトによると、キャンプの場合、近年は“映え”目的もあり、荷物も大幅に増えているのだとか。こうした様々な用品を入れるコンテナボックスなども重要なギアのひとつ。それを屋根上のオープンタイプのルーフラックに並べて見せるようなスタイルも散見されるといいます。
RVブームには及ばない? それでもまだまだ伸びる?こうしてブームの波に乗るルーフキャリア市場ですが、オートバックスセブンとカーメイト、両方の担当者とも「数のうえでは(1990年代の)RVブームには及ばない」と口を揃えました。
逆にいうと、両社ともまだまだ伸びしろを感じているようです。
「RVブームのときよりも、商品の幅は増えています。自転車やサーフボードといった用途に応じたキャリアも伸びているほか、軽バンをカスタムした軽キャンパー(軽キャンピングカー)や、車中泊の人気なども、RVブームのころにはなかった傾向です」(オートバックスセブン 広報担当)
車種の広がりや、車中泊など車内スペースの使い方の変化、それに伴う荷物の増加、こういった要素がルーフキャリアの人気を押し上げているのかもしれません。

カーメイトが展開するINNOブランドのルーフボックス。
ちなみに、ルーフキャリアのデメリットとしては、車重の増加、それに伴う燃費の悪化などが挙げられますが、これについてもカーメイトによると素材にアルミを多用することで軽量化しつつ、断面形状を工夫して強度も高めるといったことなどが図られているといいます。
「キャンプやスキー、サーフィンなど、様々なギアを積む汎用的な使い方ならば、ルーフボックスがオススメです。クルマの全高を抑えたい、コンテナボックスなど高さのある荷物を積みたいのであれば、ラックタイプがいいでしょう。ハードなデザインのルーフラックは、クルマのドレスアップにもぴったりです」(カーメイト)。