地方空港の建設が相次いだ時代を経て、そのあり方が問われた頃に供用開始されたのが静岡空港です。オープン後の同空港は、運営も決して順調と言えませんでした。
静岡県牧之原市にある静岡空港(富士山静岡空港)は2024年に開港15年を迎えます。1987年12月に建設予定地が決まり、2009年6月4日に1番機が飛び立つまでの間は、地方空港の建設ラッシュを経て、そのあり方が問われた頃にあたります。空港運営も決して順調と言えませんでした。
静岡空港(乗りものニュース編集部撮影)。
静岡県は新幹線と高速道路が古くから開通しており、東京と名古屋、そして大阪へ地上のアクセスは充実しています。ただ、遠隔地や海外へ行くには、羽田空港や中部空港を経なければならず、空の便は充実していませんでした。そのため、次々に地方空港が全国にできる時勢の中、静岡県内では建設の機運が高まったのです。
開港して数か月後に筆者は、静岡空港へ見学に行ったことがあります。地方空港でよく見る、さほど大きくない旅客ターミナルビルにぎっしりと見物客が訪れ、FDA(フジドリームエアラインズ)やANA(全日空)、そしてJAL(日本航空)の小型旅客機が出入りする姿を珍しそうに眺めていました。
しかし、開港後の空港運営は決して順風でありませんでした。
開港後の静岡空港の現状 課題は?開港当時、静岡県がJALへ搭乗率保証制度を導入することに対し、ANAが不公平感を表明したり、そのJALは2010年、開港からわずか10か月で札幌・福岡の2路線から撤退したりしました。
さらに2020年には新型コロナウイルスの世界的感染拡大が始まり、3月に国際線が全便欠航となりました。
開港当初の静岡空港(加賀幸雄撮影)。
地上のアクセスも、県庁所在地の静岡市や商業都市の浜松市から自家用車で40~50分かかり、鉄道も、最寄りの新幹線駅は静岡駅と掛川駅となっており、空港駅は実現していません。空港直下に新幹線の線路が走っているにも関わらずです。
新幹線の空港駅は、両駅間の距離を考えた場合、実現のハードルは高いと考えられます。ただ、静岡県は粘り強く取り組んでいくと思われます。
そして、空港の活性化は、訪日客の増加と韓国などアジア地域への日本からの観光やビジネス需要の醸成が一層必要になるでしょう。2023年2月25日、ソウル(仁川)からのチェジュ航空のチャーター便が到着し、コロナ禍後2年11か月ぶりに国際線が再開され、9月24日には、中国東方航空の上海線が週2往復で再開しました。10月29日からの冬ダイヤでソウル便は毎日運航されます。
静岡空港は、これまで地方空港の課題が取り上げられる度に注目を浴びてきました。

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