幕張メッセで開催された展示会に、バッテリー駆動のタイヤローラーが展示されていました。ただ、これを作ったのはメーカーではなく、建機レンタル大手。

手がけた理由を会場で聞いたら納得の答えでした。

[t舗装工事に革命!? ついに「ロードローラー」もEV化 「市場にないから作った」建機レンタル企業がなぜ?

「市場にないから作った」建機レンタル会社が動いた

 千葉県の幕張メッセで2024年5月22日から24日まで行われた建設・測量業界向けの展示会「CSPI-EXPO2024」に、建機・重機レンタル大手の西尾レントオールが、リチウムイオンバッテリーで動くタイヤローラーを出展しました。

 タイヤローラーとは空気入りのゴムタイヤを履いたロードローラーのことで、舗装工事で地面の砂利などを踏み固めるために使われます。西尾レントオールが出展したのは酒井重工業製のタイヤローラー「TZ701-1」を電動化したもので、自社のグループ会社で電気車両の製造を行っている新トモエ電機工業と協力して開発したそうです。

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「CSPI-EXPO2024」に展示された電動タイヤローラーの後輪部分。一般的なロードローラーと違って空気の入ったゴムタイヤを履いている(布留川 司撮影)。

 元の車両は運転質量13t、車体サイズは全長約4.9m、全幅約2.2m、全高約2.2mで、ディーゼルエンジンの主機をバッテリーとモーターに変えて電動化しています。

 地面を踏み固める能力そのものは電動化しても変わっておらず、車体サイズも一緒なため、十分なパフォーマンスを実現しているとのことでした。

 バッテリー容量は111kWhで、充電に必要な時間は8時間から9時間ほど。運転時間については約5時間を想定しているそうですが、これは工事時間が限られる夜間の道路工事などでは十分な数字だといいます。

 展示された車両は初の試作機で、現在は細部のブラッシュアップを進めている段階。年末ごろには一般へのレンタルを開始する予定だそうです。

建機EV化には「作業員の安全性」向上も

 電動化の流れは自動車だけでなく、建機業界でも進んでおり、今回の「CSPI-EXPO2024」には多くの電動建機が展示されていました。企業活動で環境問題を気にすることは、時代の流れともいえますが、それでもレンタル業が主体である会社が、わざわざ電動タイヤローラーを開発した意図はどこにあるのでしょうか。

 ブース担当者は次のように説明してくれました。
 
「弊社の主業務は建機のレンタル業であり、本来は開発メーカーではありません。しかし、レンタル業態というのは顧客との距離感が比較的近く、ゆえにカーボンニュートラルや工事現場の騒音抑制という観点で電動建機のニーズはしっかりあると日頃から感じていました。電動建機については各メーカーで開発されていましたが、なかなか市場には出て来ませんでした。

そこで、『総合レンタル業のパイオニア』をうたっている弊社として、お客樣のニーズをキャッチアップするために、あえてタイヤローラーを自社で電動化してみました」

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電動タイヤローラーの車体後方。運転席部分には新しく追加した電装品のケーブルや機材が見える(布留川 司撮影)。

 タイヤローラーが使われる道路工事は、日中だけでなく深夜に行われることが間々あります。当然ながら住宅地で実施されることも多く、静穏性の高い電動建機は騒音を減らしてくれる大きなメリットを持っています。また、排気ガスを出さないのは、トンネル工事といった閉鎖空間での作業において、一酸化炭素中毒などの危険性をなくすことにもつながります。

 EV(電動)といえばクリーンで環境負荷が少ないというイメージから、エコロジーやカーボンニュートラルといった企業としてのメリットばかりが注目される傾向にあります。

しかし、電動建機は工事現場の作業環境や工事内容を改善することにもつながる側面を含んでおり、状況によってはEV建機の方が重宝されるケースもあるでしょう。そう考えると、今後は活躍の場を広げていくかもしれません。