国際オリンピック委員会(IOC)は7日、フランス・アルプス地域で行われる2030年冬季五輪の実施種別、種目を決定し、1924年の第1回シャモニー大会から行われてきたノルディックスキー複合を除外した。人気が低迷し、国際的な普及が進んでいないことが理由。

7個のメダルを獲得している日本の“お家芸”の除外に、五輪3大会連続メダルの渡部暁斗氏(38)は「行き場のない怒り」と無念さをにじませた。新種目にはフィギュアスケートの「シンクロ9」などが入った。スイス・ジュネーブで開いた理事会で決めた。

【記者の目】

 日本のお家芸といえる伝統競技が、五輪から消滅する。持久力と瞬発力が求められる複合はスキー競技の原点とも位置付けられ、王者は「キング・オブ・スキー」と呼ばれた。中心は欧州勢だったが、日本がくさびを打ち込み、荻原健司らを擁した92、94年大会の団体金メダル。昨季現役引退した渡部氏が14年ソチ五輪から3大会連続で表彰台に立つなど、7個(金2、銀3、銅2)のメダルを獲得するなど得意種目としてきた。

 五輪競技からの除外は、日本にとって大きな痛手だ。Xゲームズなど世界的な大会が開催されるスノーボードなどと違い、マイナー競技ゆえ、W杯、世界選手権はあるが、五輪が最も権威があり、選手にとって唯一の夢舞台。渡部暁斗さんも以前、「五輪で金メダルを取らないと競技を見てもらえない」と話していた。

 五輪の活躍が、スポーツ省やJOCなどから受ける強化費などにつながり、競技の発展、強化、底辺拡大に生かしてきた。34年以降の五輪で採用される道は残るが、競技の魅力をアピールする場は失われた。

8日の全日本スキー連盟の会見で河野孝典競技本部長は「助成金が減ったり、なくなった場合、果たして私たち独自の財源で続けさせることができるのかというと、私は難しいと思う」と、今後への危機感を口にした。今回のIOCの決定によって、選手の競技離れが始まる恐れもある。(スキー担当・松末 守司)

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