「居住者用車両を除く」という補助標識がついた通行禁止標識のある道路は、文字通り、居住者以外が通ると違反になる可能性があります。しかし選挙演説のクルマは、このエリアを走れるのはなぜでしょうか。
2024年7月7日に、東京都都知事選が行われます。それに先立ち6月20日には立候補者の告示が行われ、今後都内では選挙カーを用いた選挙運動が、街の至るところで行われると見られます。
この選挙演説の車両は、「居住者用車両を除く」の補助標識がついた通行禁止標識のある道路も走行することもあります。文字通り“居住者”以外が通れば、通行禁止違反に問われる可能性もありそうですが、問題はないのでしょうか。
「居住者用車両を除く」通行禁止の標識。選挙カーは通れる(乗りものニュース編集部撮影)。
現代の法律では、これは問題ありません。さらにいえば「居住者用車両」以外の指定車両の通行禁止規制、たとえばスクールゾーンを通行することなどもOKとされています。
選挙カーは公職選挙法に基づき、選挙運動の期間中は道路交通法の一部が免除されるのです。ただし公選法第140条の2では、学校や病院、診療所など療養施設の周辺においては、静穏を保持するよう努めなければならない規定があります。
加えて、過去の東京都議会では、「居住者用車両を除く」標識の道路で、告知や街宣などの目的で政治活動用車両を走らせてよいのか、といった趣旨の質問がなされた際、規制エリアへ政治活動に関する街頭宣伝を行うために出入りする場合は、そのエリアへ「所用のため」出入りするものであることから、「『居住者用車両』に該当する」という答弁が交わされたこともあります。
もともと、「居住者用車両を除く」の通行規制は、エリアにまったく関係のない人が近道として利用するようなケースがNGであり、エリアの居住者が利用するタクシーがそこを通ったり、そのエリアに配達物を運んできた配送車などが通行したりする場合はOKとされています。
一方で、前出したスクールゾーンは、指定時間内に規制区域を走行するには、区域内の居住者であっても通行許可証が必要で、その時間帯は児童の安全を確保するため、居住者にもなるべく通行を自粛するよう呼びかけられるケースもあります。
そのように保護されたスクールゾーンに選挙カーが入ってくることに対しては、インターネット上で批判の声が多くみられ、総務省に、スクールゾーンへの進入禁止を求める要望書が提出されたこともあります。
なお、こうした一部からの批判をうけ、近年では、選挙カーを使わないで選挙活動を行うことで、指示を集めようとする立候補者も出現しています。

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