自動車業界では、自動車メーカーとファッションブランドがタッグを組んでコラボカーを販売することが珍しくありません。これまでに、どのようなコラボカーが誕生し、どのような特徴があったのでしょうか。

ファッションブランドとのコラボカー

 オシャレにこだわる人は、洋服だけでなく、カバンや靴、スカーフなどの小物まで、お気に入りのブランドを取り入れることもあるようです。ということは、もしお気に入りのファッションブランドの自動車があったら、うれしいのではないでしょうか。

 じつは自動車メーカーとファッションブランドによるコラボは珍しいものではなく、軽自動車から高級車までさまざまな車種で実績があります。これらのコラボカーは、外装にはブランドカラーやロゴをあしらう程度ですが、内装にはそのブランドのファッションデザイナーが厳選したカラーや素材を取り入れ、ブランドの価値観に沿ったコーディネートを採用することがほとんどです。その多くが少量生産の限定車となることからコレクターズアイテムとしての価値が生まれ、カタログモデルに対して優越感に浸れることも魅力のひとつになっています。

 今回はそのような有名ファッションブランドとのジョイントで生まれたコラボカーの中から話題になった5車種を紹介します。

スバル「レガシィアウトバック」×「L.LBean」

 スバルが「レガシィアウトバック」や「フォレスター」でコラボしたのが、アメリカのアウトドアブランドの「L.L.Bean」です。「L.L.Bean」はもともと、狩猟を行うハンター向けに製品をつくっていましたが、現在ではアウトドア用品やバック、アパレルなどを中心に展開しています。

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2003年に登場したスバル「レガシィアウトバック L.L.Bean EDITION」(画像:スバル)。

 スバルはそんな同社のアウトドアイメージを自社のSUVに取り入れるべく、2003年に「フォレスター」の「L.L.Bean EDITION」を設定。翌2004年には「レガシィアウトバック」にも追加されました。その特徴は内装にあり、ブランドロゴ入りの本革をとり入れたシートを備え、ステアリングホイールやシフトノブにも本革が使用されていました。

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 イタリアの名門どうしによるコラボモデルも過去存在しました。

スズキ「ジムニー 」×「KANSAI」

 スズキが軽オフローダーの「ジムニー」でコラボしたのが、日本を代表するファッションデザイナーの山本寛斎氏でした。1999年6月に発売された特別仕様車の「ジムニー KANSAI」は、XCグレードをベースに内外装を山本氏が監修。専用色としてウィローグリーン(サンドベージュ)とサターンブラックメタリックの2種類を設定し、マッドフラップ、スキッドプレート、本革巻きステアリングホイール、ホワイトメーター、カーボン調インパネガーニッシュなどを装備しました。硬派な「ジムニー」に山本氏の感性がプラスされたファッション性の高い1台です。

ランボルギーニ「ムルシエラゴLP640」×「ヴェルサーチ」

 フェラーリと並ぶイタリアのスーパーカーメーカーのランボルギーニ。同社が2001年から2010年にかけて生産したフラッグシップが「ムルシエラゴ」です。その後期モデルである「LP640」をベースに、イタリアのラグジュアリーブランドの「ヴェルサーチ」とのコラボで生まれたのが「LP640 Versace」でした。

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2006年のパリサロンで発表されたランボルギーニ「ムルシエラゴLP640 Versace」(画像:ランボルギーニ)。

 2006年のパリサロンで発表されたこのモデルには、専用色として「アイシス(白)」と「アルデバラン(黒)」の2色が設定され、リアには「Versace」のエンブレムを装着。「ヴェルサーチ」のアイデンティティであるグリークキーがシザーズドアに描かれるほか、本革シートにはエンボス加工で施されています。生産台数は白・黒それぞれ20台。

中古車市場で見かける機会の少ない希少なモデルとなっています。

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 コラボモデルで内装を特別仕様にするのは世界共通のようです。

リンカーン 「マークIV」×「カルティエ」

 フォードの最高級車「リンカーン」は、ファッションブランドとのコラボカーの草分け的な存在です。1970年台後半に「デザイナー・シリーズ」と銘打ち、2ドアクーペの「マークシリーズ」をベースに、「Bill Blass」や「GIVENCHY」、「Emilio Pucci」などとのコラボモデルをリリースしていました。

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1979年型リンカーン「マークIV Cartier Edition」(画像:フォード)。

 その中でも人気が高かったのがフランスの「カルティエ」とのコラボで、1976年に「マークIV」の「Cartier Edition」が登場して以降、1977~1979年の「マークV」、1983~1989年と1995~2003年の「タウンカー」(1983年から「Cartier Designer Edition」、1997年以降は単に「Cartier」に名称を変更)に設定されました。「デザイナー・シリーズ」は標準車よりも高級な外装と内装が採用され、コラボ相手に応じた特別な配色が施されていました。

フィアット「500」×「ディーゼル」

 コンパクトカーきってのオシャレ番長ともいえるフィアット「500」は、さまざまな限定車を販売してきました。その中にはファッションブランドとのコラボカーも存在します。中でも人気となったのが、イタリアで若者から支持される「DIESEL」とのコラボによるフィアット「500 by Diesel」です。

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専用色の「DIESELグリーン」でペイントされたフィアット「500 by Diesel」(画像:フィアット)。

 2009年に登場したこの特別仕様車は、1.4Lモデルをベースに、ボディカラーは専用の「DIESELグリーン」ほか2色が用意され、外装にはオリジナルデザインの16インチホイールや黄色のブレーキキャリパーを装備し、内装はデニム生地を模した黄色いステッチのファブリックシートや黄色いメーターパネルなどが採用されていました。

日本向けに用意されたのは150台で、好評を得たことから2010年にはオープンモデルの「500C by Diesel」が100台限定で販売されました。

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