東海地方をぐるりと結ぶ「東海環状道」が2025年8月に延伸し、全線開通まで残すはあと1区間となります。従来では考えられなかったようなルート選択が可能になるため、未開通部を一般道で連絡する人も増えるかもしれません。
東海地方をぐるりと結ぶ「東海環状道」のうち、岐阜県内の本巣IC-大野神戸IC間が2025年8月30日に開通します。これにより、地図上で“左上”にあたる美濃関JCT-養老JCT間が全通し、東海北陸道と名神のあいだに、名神の一宮JCTに代わる新たなルートが形成されます。
東海環状道の養老JCT以北が8月にいよいよ全通する(乗りものニュース編集部撮影)
そして、未開通部は残すところあと1区間となります。“左下”にあたる、岐阜県側の「養老IC」(岐阜県養老町)と、今年3月に南の大安ICから延伸した「いなべIC」(三重県いなべ市)とのあいだ18.1kmの区間です。ただし、県境のトンネル工事が難航を極めており、2026年度としていた開通予定も撤回され、現在は「工程精査中」とされている状況です。
この区間がつながり、東海環状道の「左下」にあたる新四日市JCT-養老JCTが開通すると、伊勢湾岸道・新名神と名神高速が直結します。「伊勢湾岸道から北陸道へ」「三重から愛知を通らず東海北陸道へ」といった、従来考えられなかったルート選択が可能になるのです。ボトルネックを抱える名神では交通の分散が期待され、そのインパクトは計り知れないものがあります。しかし、しばらくはお預けです。
では現時点で、一般道を経由して「伊勢湾岸道ー名神」など、愛知県を通らずに三重県と岐阜県を行き来する際には、どのようなルートがあるのでしょうか。東海環状道の未開通部だけ一般道へ迂回すればよい、とは限りません。
三重県の東海環状道をなるべく使う形であれば、「関ヶ原ルート」が考えられます。
名神の関ヶ原ICから、国道365号を南下、旧上石津町(現大垣市)を通って、三重県いなべ市で東海環状道いなべICに出るルートです。牧田川沿いの谷筋をいく道で、2車線ですが曲線は比較的緩和されています。ただし、冬は関ヶ原で雪に見舞われることも考えなければいけません。
東海環状道の未開通部をたどるルート、すなわち「養老ICから養老山地を抜けて三重県に入り、いなべICに出る」ルートもありますが、これはかなり細くカーブが連続する山越えです。あまりお勧めはできません。
三重県の東海環状道を使わないのが吉?現時点でのメインルートは、東海環状道の三重県区間を使わず、岐阜の大垣IC(名神)または東海環状道の養老ICから、三重の桑名まで、揖斐川西岸の平野部を走る国道258号「大桑道路」でしょう。

いなべICから養老ICまでの建設中区間は、かなりの山越え。2024年10月(乗りものニュース編集部撮影)
このルートは東名阪道の桑名東ICおよび伊勢湾岸道の湾岸桑名ICに接続しています。大垣IC-桑名東IC間は28km、40分強といったところ。また、桑名東ICー湾岸桑名IC間の桑名市街地区間は、主要道路と立体交差のIC方式で接続しています。
このバイパス的なルートとして、揖斐川東岸のいわゆる「輪中」地区を縦貫する手もあります。
三重県と滋賀県の間には鈴鹿山脈がまたがるため、これまで北陸道方面や名神から三重県側の道路に出るという選択肢は、それほどメジャーではなかったかもしれませんが、名神と新名神のどちらかが通行止めとなった場合などには効果を発揮しそうです。
その利便性は、東海環状道の全通まであと少しという現時点でも、一般道による連絡で体験しておいて損はないのではないでしょうか。