世界初となる777シリーズの改造貨物機

 航空機メーカーのイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)は2025年9月1日、ボーイング777-300ERSF(ERスペシャル・フレイター)の貨物機への改造を完了し、アメリカ連邦航空局(FAA)およびイスラエル民間航空局(CAAI)から、世界初となる補足型式証明(STC)を取得したと発表しました。

【動画】すげえ広い! これが、777-300ERSFの格納庫です

 これまで、ボーイング777シリーズをベースとした貨物機にはB777F(フレイター)が存在しましたが、こちらはボーイングが貨物機専用として新造した機体です。

対して、元旅客機のB777-300ERを貨物機に改造したタイプは今回が世界初となります。

 また、B777-300ERは全長73.9m、全幅64.8mもある長胴型機であるため、これをベースとした777-300ERSFは、B777Fと比べて貨物容積が大幅に拡大されています。たとえば、貨物搭載用パレット数は、B777Fが最大27個に対し、777-300ERSFでは最大47個まで搭載可能とされています。

 この機体は、世界最大級の貨物機の一つとなり、最大で100トンの貨物積載能力を持つことで、グローバルな航空輸送の容量・速度・効率性の向上に大きく貢献します。

 IAIは「これは航空業界における重要な進歩であり、この規模の航空機を貨物機へと改造した世界初の企業である」と、自社の技術力を強調しています。

 なお、ベースとなったB777-300ERは、「ジャンボ」の愛称で親しまれたボーイング747-400の後継機として、世界中の航空会社で広く運用されている旅客機です。777-300ERSFの開発は、旅客機と同様に大型貨物機として活躍している747-400ベースの貨物機の代替を視野に入れて進められました。

 型式証明取得に際し、IAIのエグゼクティブVP兼ゼネラルマネージャーのヤアコブ・ベルコビッツ氏は「このマイルストーンは、高い積載能力、貨物スペース、運用効率を兼ね備えた新たな空輸のスタンダードを打ち立てるものです。ボーイング777は、変化し続ける貨物業界のニーズを満たすために開発されており、今後国際的なオペレーターにとっての最適な選択肢となるでしょう」と述べました。

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