「乗りものニュース」では、2025年9月5日(金)から9月12日(金)にかけて、ロマンスカーに関する読者アンケートを実施。「好きなロマンスカー」やその理由、また「新しいロマンスカーに期待すること」などについて意見を募集しました。
現在運行中のロマンスカーは、30000形「EXE」「EXEα」、60000形「MSE」、70000形「GSE」です。これらの現行ロマンスカーについて、利用者はどのように感じているのでしょうか。
アンケートの結果、現行車両の中で最も人気があったのは70000形「GSE」(6位・16票・5.7%)でした。
「通勤と観光のバランスが取れている。近未来的なカッコいいデザインでありながらロマンスカーの伝統デザインを踏襲している」(10代・男性・首都圏在住)
「EXE以降の新規性とHiSE以前のブランド性がバランスよく融合されているから」(10代・男性・首都圏在住)
「現代の小田急のイメージリーダーに相応しい」(50代・男性・中部在住)
最新型である「GSE」は、新しさと伝統の双方を感じさせるデザインが好意的に評価されました。
「前面展望席や色など、ロマンスカーの特徴を生かしつつ、運用のしやすさも考慮された車両であること」(50代・男性・首都圏在住)
「綺麗なフロントデザインと赤色の車体との組み合わせが堪りません」(20代・男性・首都圏在住)
「側面窓が大きく全ての席からの眺めが良い」(30代・男性・近畿在住)
特に高さ約1mの大きな側窓と広い視野を誇る展望席は、景色を楽しめる車両として好評です。
また、「ブルーリボン賞」受賞時に鉄道友の会は、「展望台やスタイリッシュな車体デザインは小田急ロマンスカーとしての伝統の継承」としています。さらに内装についても「最新の設備・技術を惜しみなく導入してユニバーサルデザインの積極推進や環境負荷の軽減」も高く評価し、「現代の鉄道車両のトレンドリーダーにふさわしい極めて高い完成度」としています。
一方で、小田急独自の技術である「連接車ではなかったこと」(50代・男性・近畿在住)を惜しむ声もありました。これは、設置が進むホームドアとの両立が難しいことが背景にあるようです。
さらに、「惜しいポイントは無し、ただ、上にVSEがいてしまっただけ…」(40代・女性・北関東在住)との声もあり、“白いロマンスカー”こと「VSE」(2023年引退)と比較されることで、「GSE」の存在感が薄れてしまったと感じる利用者もいるようです。
“らしさ”に欠ける?現行ロマンスカーの中で最も歴史の長い30000形「EXE」「EXEα」は、アンケートでは苦戦し、歴代車両の中で最下位(10票・3.5%)という結果となりましたが、評価ポイントはどこにあるのでしょうか。
30000形「EXEα」(画像:写真AC)
「乗りごごちが他に比べて段違いに良いから」(40代・男性・首都圏在住)
「シートがフカフカしている。リニューアルしてタバコ臭いのが無くなった。電車の建付けも良くて一番快適」(50代・男性・首都圏在住)
「ホームウェイ、モーニングウェイにおけるシートのゆったり感や静粛性などから生まれる快適性や側面窓の大きさによる展望」(20代・男性・首都圏在住)
「他の特急でも味わえないぐらいの肉厚な座席」(10代・男性・首都圏在住)
特に座席の快適性を評価する声が多く、「歴代で最も座り心地が良い」とする意見もありました。「EXEα」では、床下機器や外装・内装のリニューアルにより快適性が向上しています。
一方で、デザインや構造に関しては次のような意見も寄せられました。
「形が他のロマンスカーと比較してシュッ!としていない!」(10代・男性・首都圏在住)
「連接構造も展望席もない」(40代・男性・首都圏在住)
従来のロマンスカーとは異なる車体デザインについて、「外部デザイナーを入れるきっかけ(ではないか)」(50代・男性・首都圏在住)とする声も挙がりました。しかし、ロマンスカーの中で唯一ブルーリボン賞を受賞していないことや、展望席の廃止などから「観光特急らしさに欠ける」との指摘も少なくありません。
実際に通勤需要などの実用性が重視され「通勤から分割運用と幅広く活躍出来る」(10代・男性・首都圏在住)との評価される一方で、「ワクワク感に欠ける」(10代・男性・首都圏在住)と非日常感の不足を残念に思う声もありました。
千代田線と直結!ただし地下鉄ならではの難しさも60000形「MSE」もまた、通勤など日常のニーズに応える車両です。

60000形「MSE」(画像:写真AC)
「地下鉄に直通」(10代・男性・首都圏在住)
「薄青色のカラーが好きー」(70代以上・男性・中部在住)
「デザインは全般的に美しい」(10代・男性・近畿在住)
「MSE」は東京メトロ千代田線に乗り入れる初めてのロマンスカーであり、同時に地下鉄内を走る日本初の座席指定特急でもあります。平日は大手町方面~本厚木間を結ぶビジネス特急、休日は北千住~箱根湯本間を走る観光特急として、二つの側面を併せ持っています。
光沢のあるフェルメール・ブルーの車体に、バーミリオン・オレンジの帯を配したカラーリングは、暗い地下鉄線内でも映えるように設計されたものです。
「ガラスのスモークが暗すぎて最前列でも前が見にくい」(20代・男性・首都圏在住)
「人間工学に基づいた椅子とは言え、椅子が硬いのは少し惜しい」(10代・男性・近畿在住)
「地下鉄と小田急線の本線をつなぐ通勤特急といった性質がより強い」(10代・男性・首都圏在住)
地下鉄線内では展望を確保しにくく、他のロマンスカーのような眺望には及びません。また、地下鉄直通に伴う非常口設置のため前面展望席は実現できず、「モニター取り付けなど、前面展望にもう少し工夫(がほしい)」(40代・男性・首都圏在住)という要望も聞かれました。
ロマンスカーといえば観光特急のイメージが強いものの、「EXE」「EXEα」「MSE」は通勤特急としての役割を果たすことで利用者を広げた功績があります。その一方で、展望席や景観を楽しむためのサービスがやや少なく、「移動そのものを楽しむ特急」としての魅力が薄れてしまった点が、“惜しい”と感じさせる理由の一つになっているようです。