2016年、「単独では維持困難な線区」を公表する方針のJR北海道。もしそれら線区が廃止されると、JR北海道の路線は営業キロが現在の半分近くになる計算です。
JR北海道が2016年7月、「単独では維持が困難な線区」をのちに公表し、沿線の自治体などと今後のあり方を協議する方針であることを発表しました。
現在、JR北海道の路線延長は2500kmほどありますが、今年12月には留萌本線の留萌~増毛間16.7kmが廃止される予定。また石勝線の新夕張~夕張間16.1kmも、地元の夕張市が廃止に合意しています。
1964年当時の北海道における国鉄路線網(乗りものニュース編集部作成)。
このように徐々に縮みつつある北海道の鉄道網ですが、いまからおよそ50年前、東海道新幹線が東京~新大阪間で開通した1964(昭和39)年には、約4000kmの線路が北海道に張り巡らされていました。
赤字問題に揺れた国鉄 1987年のJR発足当時、北海道の鉄路は…しかし、北海道をはじめ全国の赤字国鉄路線が問題になり、1980(昭和55)年に「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)」が成立、翌1981(昭和56)年3月には同法施行令が公布されます。
施行令で定められた基準に則り、1977(昭和52)年度から1979(昭和54)年度の輸送密度(1kmあたりの1日平均輸送人員)が4000人未満の路線は「特定地方交通線」として「バスへの転換が適当」な路線、すなわち廃線の対象とされました。

1987年、国鉄が分割民営化されたときの北海道におけるJR路線網(乗りものニュース編集部作成)。
これにより、特定地方交通線に指定された白糠線や広尾線、湧網線、士幌線、羽幌線などが次々と廃線に。JR北海道が発足した1987(昭和62)年4月には、路線延長が3176.6kmに減少していました。
JR北海道、その現在しかし国鉄からJRになったのちも、特定地方交通線の廃止は続きます。

2016年10月現在の北海道におけるJR路線網。このほか津軽海峡の南、青森県内の在来線中小国駅、新幹線新青森駅までもJR北海道の路線(乗りものニュース編集部作成)。
標津線、天北線、名寄本線などが姿を消し、池北線は第三セクターの「北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線」に変わりました。しかしこの路線も2006(平成18)年、廃線に。特定地方交通線に選ばれなかった函館本線上砂川支線も1994(平成6)年に、深名線は1995(平成7)年に、江差線の木古内~江差間は2014年にそれぞれ廃止されました。
JR発足時からさらに500km以上の線路が消え、その営業キロが2568.7kmになったJR北海道、今年、「単独では維持が困難な線区」を公表するといいます。
「単独では維持困難な線区」すべて廃線だと、残るのは…JR北海道の「単独では維持が困難な線区」、一部報道によると、それは10路線13線区で、長さにすると計1237.2km。もしそれら線区が廃止されたら、JR北海道の路線は、営業キロの長さが現在の半分近くになってしまう計算です。北見・網走方面を走る石北本線や釧網本線、根室本線の滝川~新得間と釧路~根室間、宗谷本線の名寄以北、日高本線などが含まれます。

「単独で維持困難な線区」とされる13線区すべてが廃止された場合の、北海道におけるJR路線網。このほか青森県内の在来線中小国駅、新幹線新青森駅までもJR北海道の路線(乗りものニュース編集部作成)。
北海道では、この30年間で札幌圏を除くすべての地域で人口が減少。
このような状況のなか、JR北海道と自治体などのあいだで、今後について協議が始まる見込みです。
【写真】日本最北端の線路

日本で最も北にある宗谷本線の稚内駅。しかし宗谷本線の稚内駅を含む区間は、「単独では維持が困難な線区」と報道されている(2012年10月、恵 知仁撮影)。