入口の幅わずか50cm、2人で満員という駅そば店があります。スペースに制約がある駅構内とはいえ、なぜそのような店舗が生まれたのでしょうか。
長野県中部に位置する、中央本線・篠ノ井線の塩尻駅(長野県塩尻市)。その1・2番のりばから、改札口への階段を上がると見えてくる駅そば店が、変わっています。「信州そば」という、旅人の心を刺激する掲示があるのですが、非常に、その入口が狭いのです。
入口が非常に狭い、塩尻駅改札内の駅そば店「桔梗」(2016年10月、恵 知仁撮影)。
入口の横幅は、わずか約50cm。外見も、およそ飲食店らしくありません。「信州そば」や「そば処」といった文字がなければ、倉庫など業務用のスペースとしか思わなそうです。だからこそ合計4つも、「駅そば店」の掲示が行われているのでしょう。
さてこの、日本で最も入口が狭い可能性が高い、塩尻駅改札内にある駅そば店「桔梗」。驚きは、入口だけではありません。
塩尻駅改札内の駅そば店「桔梗」の立ち食いスペース。
肩をすぼめながら、およそ50cmしかない入口を通った先の立ち食いスペース、そこも大変に狭いのです。そのサイズは縦が約65cm、横が約135cmしかなく、「お客さま2名で満員です」(JR東日本長野支社)とのこと。入口のみならず立ち食いスペースも、日本一狭いかもしれない駅そば店なのです。
「2人で満員」でもやっていける裏側入口が狭いのはともかく、2人で満員の駅そば店。それで営業が成り立つのか大変不思議ですが、これには“ウラ”があります。
塩尻駅の概略図。おおよそのもので、寸法などは実際どおりではない(乗りものニュース編集部作成)。
この駅そば店は、改札内にある“定員2人”の立ち食いスペースほか、調理場を挟んで、改札外の待合室側にも立ち食いスペースが存在。つまり「裏側」があるのです。もっとも待合室側から見た店舗は、のれんが出された見るからの駅そば店。狭い改札内側のほうが「裏側」かもしれませんが。
改札外の待合室側にも立ち食いスペースがある「桔梗」。ベンチでも食べられる(2016年10月、恵 知仁撮影)。
改札外の待合室側では、立ち食いのほか、ベンチに座って食べることも可能。この塩尻駅の駅そば店「桔梗」、改札内側は“駅そば店としても非常に狭い”のに対し、待合室側は“駅そば店としてゆとりがある”という、非常に対照的な構造をしています。
ちなみにJR東日本長野支社によると、“定員2人”の改札内側がいっぱいのときは、待合室側に案内しているそうです。
定員2人、なぜ生まれた?JR東日本長野支社によると、“定員2人”という極小の立ち食いスペースが誕生したのは2002(平成14)年10月。駅のバリアフリーを推進するため、ホームと改札階を結ぶエレベーターを設置したことから、狭くなったといいます。改札内側の約50cmしかない入口のすぐ隣に、立派なエレベーターがありますが、それが「極小駅そば店」誕生の理由だったのです。
「極小駅そば店」を生んだ塩尻駅のエレベーター(2016年10月、恵 知仁撮影)。
入口と立ち食いスペースが日本一狭いかもしれない塩尻駅改札内の駅そば店「桔梗」は、年中無休で、6時50分から18時30分までの営業です(広い待合室側は19時まで営業)。ちなみに、人気メニューは「かき揚げそば」370円、「安曇野葉わさびそば」420円、「かき揚げ玉子そば」410円、「鴨そば」460円、「かけそば」290円だそうです(価格は2016年10月末時点)。
塩尻駅「桔梗」の「安曇野葉わさびそば」(2016年10月、恵 知仁撮影)。
全国に数ある駅そば店。長野では、しばしば名産の「葉わさび」を味わえるのが特徴です。一見、同じように見える駅そば店ですが、「つゆ」以外にも地域差ががあり、鉄道の旅を彩ってくれます。
なお現在、上信越エリアのJR駅にある39店舗を対象に、スタンプを集めてプレゼントが当たる「スキです。駅そばキャンペーン 2016」が実施されており、この塩尻駅にある駅そば店「桔梗」も対象になっています。
【写真】普通はまず無いものがホームにある塩尻駅
長野県塩尻市はワインが名産。塩尻駅ホームにもブドウ園がある(2016年10月、恵 知仁撮影)。

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