これから必須になるだろう次世代の訓練

 海上自衛隊が公式Xで、これまでに見たことのない珍しいドローンを使った訓練の様相を投稿し、話題となっています。

【写真】襲来するドローン 自衛官が手持ちの小銃で撃ち墜とす様子

 それは2025年10月に実施された「令和7年度自衛隊統合演習」において、護衛艦「はぐろ」「ありあけ」などが参加した洋上でのドローン対処訓練の様子です。

当該写真には標的役となる無人機や、それを小銃等で射撃する海上自衛隊の隊員の姿が映っていました。

 その中で特に注目を集めたのが、訓練に投入されたドローンです。手投げ式で発進するその白い機体は、フチの部分がテープ止めされた簡易的なものとなっていました。

 機体側面には「AirKamuy」という文字も確認できます。ここから、名古屋市のスタートアップ企業「エアカムイ」製のドローンであることがわかります。

「エアカムイ」では、自衛隊や海上保安庁などの防衛・安全保障用途向けの無人機やそのソリューションを開発しており、特に日本初の段ボール製ドローン「AirKamuy 150」は、材料の安さから1機30万円という破格の安さで注目されています。

じつは自衛隊専用モデルの機体!?

 ドローン対処訓練に使われた機体は、同社の公式サイトには掲載されていないため、市販されていないモデルのようです。とはいえ、テープ止めされた翼や、手投げ式の発進方法を見ると、「AirKamuy 150」のような簡易素材で作られた、再使用を前提としたドローンのようです。実際、前述した海上自衛隊の当該Xでも、機体が破壊され残骸となったドローンの写真が公開されていました。

海自の射撃訓練に謎の「テープぐるぐる無人機」出現! じつは業...の画像はこちら >>

エアカムイの段ボール製ドローン「AirKamuy 150」(画像:エアカムイ)。

「エアカムイ」の公式ホームページには、既存のドローン販売以外にも、用途に応じた機体を受託開発する旨が明記されており、今回のドローン対処訓練で使われた機体も、洋上での運用や、訓練での使い捨てを想定した独自のモデルの可能性があります。

 段ボールのような簡易素材でドローンを作るのは、機体費用が安くなるだけでなく、加工のしやすさなどから開発費とその期間の削減にも繋がります。

このコストパフォーマンスの良さは、破損や破壊がされる可能性が高い射撃訓練では大きな利点となります。また、撃墜を前提とした訓練が行えれば、隊員の練度向上にも繋がるでしょう。

 今回のドローン対処訓練で使われたドローンのように、今後は用途や任務に応じた機体が作られ、海上自衛隊に限らず陸上並びに航空自衛隊でも目撃するようになるかもしれません。

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