なぜ減った? クルマの「初売り」

 年末年始になると、テレビではクルマの「初売り」のCMを見かけます。とはいえ近年は、以前ほど熱心に行われなくなっているように感じます。

背景にはどのような事情があるのでしょうか。

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 業界的に見れば、初売りの時期は新車価格や装備類の値引きも活発になりますし、中古車であれば、年を越すと1年古くなるため、値段が下がる傾向があります。それでも、クルマの初売りが盛んではなくなった理由は、「ワンプライス販売の台頭」と「値引き幅の減少」の2つが考えられます。

「ワンプライス販売」は「定価販売」と言ってもいいでしょう。文字通り、統一価格で販売することを指します。「何を当たり前のことを……」と思う方もいるかもしれませんが、クルマの販売は実のところ、現場のセールスマンなどが独自で値引きをするほうが一般的な手法だったのです。

 しかし、こうした販売手法は、しばしばディーラー同士で行き過ぎた値引き競争を引き起こし、またブランドイメージの低下を招くこともあります。それらを防ぐため、最近は値引きをしないワンプライス販売が主流となってきているのです。

 次に「値引き幅の減少」についてです。近年はさまざまな物品・サービスが値上がりし、クルマの開発・生産・流通に関わるコストも連動して上昇しています。すると当然、儲けも少なくなりますから、これまでのように大幅な値引きはしづらくなっているのです。

 加えて、最近は半導体不足や部品供給の乱れなどもあり、クルマの生産体制も不安定な状態です。

ディーラーが確保できる車両数も不足しがちですから、値引きをせずとも、用意できたクルマから瞬く間に売れていってしまいます。こうした需給バランスの偏りも、販売店が値引きを控える動きにつながっているのでしょう。

 その一方で、初売りセールを今なお熱心に行っているのが、スズキとダイハツです。なぜこの両社は、値引き販売となる初売りに力を入れ続けているのでしょうか。

今も「初売り」に熱心なスズキとダイハツ

 スズキとダイハツの場合は、登録車を主に販売する他メーカーとは異なり、軽自動車が販売の主軸という点が、初売りをアピールする大きな理由と言えるでしょう。

クルマの「初売りセール」なぜ減った? 「一部メーカー」が今も...の画像はこちら >>

自動車ディーラーのイメージ(画像:PIXTA)

 軽自動車の新車販売網には、メーカー直轄の正規ディーラー以外の業販店も数多く関わっています。こうした非直轄の販売網に当たるのは、複数の自動車メーカーの看板を掲げている販売店をはじめ、街の整備工場やガソリンスタンドなど。特定のメーカーに限らず、さまざまな会社のモデルを販売していることが多く、また、あくまで新車の販売は“正業”の横、という規模の店もあります。

 そうした業販店は、自動車メーカーによるコントロールがあまり効きません。メーカー側が「ワンプライスで売りましょう」と言っても、「NO」と言うことができるのです。さらに、軽自動車を購入するユーザーは価格に敏感です。商品性よりも、値引き額でクルマを選ぶこともあるでしょう。

そのため、軽自動車が主力商品であるスズキとダイハツは、いまだに初売りを重視していると考えられます。

 もちろんユーザー目線で言えば、値引きを盛んに行う初売りセールは積極的にやってほしいものです。今クルマを買おうと思っている人は、ぜひ最寄りの販売会社のホームページなどを細かくチェックしましょう。また、意外とチラシで告知しているケースも多々あります。ちょっとした手間をかけるだけで、クルマをお得に購入することができるはずです。

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