今年も残すところあとわずかとなりましたが、12月の定番イベントといえばやはりクリスマスでしょう。そんなクリスマスの時期になると、世界中の空を忙しく飛び回るのがご存知サンタクロースです。
【デカい風船…】これが、上から見た中国の偵察気球です(写真)
トナカイの引くソリに乗って子供たちにプレゼントを配って回るこのサンタクロースですが、しかしよく考えてみれば、空飛ぶソリに乗って日本の領空内に勝手に入ってきた時点で、これは領空侵犯ということになるのかもしれません。国際法上、国家は自国の領空に関して排他的な主権を有しています。そのため、領域国に無断でその国の領空に外国の航空機が入り込むことは許されず、もしそれをすれば国際法に違反することになります。これが領空侵犯です。
それでは、仮にサンタクロースの行為を領空侵犯と仮定した場合、日本政府はどのように対応することになるのでしょうか。じつは最近、こうした対応に変化が生じています。
まず、こうした領空侵犯機への対応については、法律の規定に基づき航空自衛隊の戦闘機により実施されます。この規定というのが、自衛隊法第84条「領空侵犯に対する措置」です。
「防衛大臣は、外国の航空機が国際法規又は航空法(中略)その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる」
条文の内容は非常にシンプルで、国際法規または航空法その他の法令(航空法第126条や出入国管理及び難民認定法第3条など)に違反して、つまり無許可で日本の領空を侵犯してきた外国の航空機に対しては、これを自衛隊の基地などに着陸させ、または日本の領空から退去させるために必要な措置をとることができる、というものです。
ここで気になるのは、「必要な措置」の内容です。過去の国会答弁に基づけば、(1)領空侵犯機の確認、(2)領空を侵犯している旨の警告、(3)領空外への退去または自衛隊基地等への誘導、(4)武器使用という、段階的な措置がとられることが自衛隊内の規則で定められています。つまり、まずはサンタクロースのソリを戦闘機のパイロットが目視で確認して、無線などでの警告を行い、領空外への退去や基地等への誘導が試みられることになります。
ところで、気になるのは最後に触れられている「武器使用」です。武器使用とは、「武器を本来の用法に従って使用すること」で、相手に対して武器を向けた段階から開始されます。そのため、領空侵犯機が指示に従わない場合に行われる、相手機に照準を合わせない機関砲での信号射撃(警告射撃)は、武器使用には当たりません。
サンタクロースを撃墜できる? 全くあり得ないわけでもないワケ上空を飛行する航空機に対して武器を使用するとなると、相手は撃墜されることとなり、当然乗員の生命に関わります。そのため、自衛隊では武器使用について慎重な基準を設けています。過去の国会答弁に基づくと、武器使用が許されるのは次のようケースです。
航空自衛隊のF-2戦闘機(画像:航空自衛隊)。
一つは、領空侵犯機が自衛隊機の警告や誘導に従わずに退去せず、さらに自衛隊機に対して実力をもって抵抗してきた場合です。
これに関しては、よく自衛隊機を操縦するパイロットの生命を守るための個人の権利である正当防衛として武器使用が許されている、という意味に誤解されがちです。実際には、自衛隊機が撃墜されてしまうとその後の任務遂行ができなくなってしまうため、それを防ぐために第84条を根拠に武器の使用が許されているという立て付けになっています。
そしてもう一つは、国民の生命および財産に対して大きな危険が間近に迫っている場合です。たとえば、日本の領空を侵犯した爆撃機が上空で爆弾倉を開くなどした場合には、地上に住む国民の命に危険が差し迫っていると捉え、これに対して武器を使用することができるという整理が過去の国会答弁でなされたことがあります。
これらを踏まえると、サンタクロースに対して自衛隊の戦闘機が武器使用を行うことは一見するとできないように思われます。というのも、サンタクロースが戦闘機に実力をもって抵抗してきたり、あるいは地上に爆弾を投下しようとしたりすることは、およそ想定されないためです。
しかし最近、防衛省・自衛隊では、領空侵犯をしてきた物体が気球や無人機である場合に限定して、新たに武器使用を行うことが出来るケースを設けました。それが、侵犯機が他の航空機の安全な飛行を阻害する場合です。これは、2023年2月にアメリカで発生した中国の偵察気球撃墜事案を受けて、新たに整備されたものです。これについて、小杉裕一防衛省大臣官房審議官(当時)は2023年4月14日、国会で次のように説明しています。
「防衛省におきましては、外国の航空機による領空侵犯対処に万全を期すため、その在り方については不断に検討してまいりましたところ、先般の米国による気球の撃墜を受けまして無人の気球に対する関心が高まる中、領空侵犯する気球を含む無人の航空機につきましては、正当防衛又は緊急避難に該当しなくても武器を使用することが許される場合があると明確化いたしました。
その上で、例えば、そのまま気球を放置すれば他の航空機の安全な飛行を阻害する可能性があるなど、我が国領域内の人の生命及び財産、また航空路を飛行する航空機の安全の確保といった保護すべき法益のために必要と認める場合には、武器を使用して適切に対処することとなります」(小杉裕一防衛省大臣官房審議官『第211回国会 衆議院 法務委員会議録』第9号、15頁(令和5年4月14日))
つまり、もしサンタクロースのソリが民間航空機と衝突しそうなコースを飛行し続けるような場合には、撃墜という手段がとられる可能性もあります。ただし、これまで有人機に対する武器使用は当該機の乗員の生命を奪うことになるため、慎重な姿勢がとられ続けてきました。サンタの生命を重視するか、それとも民間航空機の乗員・乗客の安全を重視するか、いざという時には難しい判断を迫られそうです。

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