BEV(バッテリー式電気自動車)といえば、「地球にやさしい」「ガソリンスタンドに行かなくていい」といったスマートなイメージがあるかもしれません。しかし現実の充電スポットでは、利用者同士のシビアなルールやトラブルがあるのをご存じでしょうか。
EVの無限走行を実現する走行中ワイヤレス給電システムのイメージを見る
その象徴ともいえるのが、テスラが導入している「スーパーチャージャー」の仕組みです。もし充電が完了したにもかかわらず、そのまま車を停めっぱなしにすると、なんと“超過料金”が請求されます。
混雑時には1分あたり50円から100円もの料金が加算される仕組みになっており、たった10分間放置しただけで、1000円以上の追加料金が発生することもあるのです。
これは、「充電が終わったらすぐに次の人に譲る」というマナーを徹底するための措置ですが、うっかり買い物を続けていると痛い出費になりかねません。
トラブルの種はこれだけではありません。
充電が終わっているのに車内で寝ていて場所を空けない人や、長時間放置されたクルマに対し、張り紙や呼び出しが行われるなど、充電器を巡るトラブルも実際に起きています。
さらに、かつては大型商業施設などで見られた無料充電サービスも、2025年現在ではほぼ姿を消しました。EVの普及に伴い、電気代などの維持管理コストが無視できなくなったためです。
充電待ちや場所取りは、EVドライバーにとって切実な悩みとなっています。しかし、そんなストレスを技術の力で解決しようという動きも加速しています。
たとえば最新のアプリでは、充電スポットの空き状況だけでなく、「あと何分で空くか」まで予測して表示してくれるため、無駄な待ち時間をなくすことができるようになっています。
“走りながら充電”も実現! ストレスゼロの未来へEV充電のルールやマナーがある一方で、充電の“面倒くささ”そのものをなくしてしまうような、夢のような技術も実用化されつつあります。
公共のEV急速充電スタンド(画像:写真AC)
そのひとつが、ホテルの駐車場などで普及が進む「6kW普通充電器」です。
数字だけ聞くと難しそうですが、これは「一晩寝ているあいだにバッテリーがかなり回復する」くらいのスピード感だと考えてください。
たとえば「ルートインホテルズ」では全国249施設にこの充電器を設置しており、宿泊客はチェックインして寝ているあいだに、おおむね翌日走行分の充電を完了させることができます(車種により違いあり)。
そして、究極の技術ともいえるのが“走りながら充電”です。
2025年に開催された大阪・関西万博では、会場内を走るEVバスにこのシステムが採用されました。電機は、道路に埋め込まれた装置からワイヤレスで送られるため、バスは乗客を乗せて走りながら、同時に充電も行った形です。
「そんな装置、道路全部に埋めるのは無理では」と思うかもしれません。しかし、2025年1月7日に東京大学が発表した、埼玉県川越市をモデルに行ったシミュレーション研究結果では、驚くべきデータが出ています。
市内の道路のすべてではなく、信号待ちをする交差点付近など“わずか1.6%”の区間に充電装置を埋め込むだけで、街中を走る車の充電をカバーできるというのです。
充電器の奪い合いで超過料金を払う時代から、寝ているあいだや走っているあいだに勝手に充電される時代へ。EVを取り巻く環境は、「不便を我慢する」段階から、「意識すらせず快適に使う」段階へと、着実に進化を遂げているようです。

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