2025年は、環境にやさしいLNG(液化天然ガス)燃料船が次々と就航しました。商船三井さんふらわあは、大洗―苫小牧航路に「さんふらわあ かむい/ぴりか」を投入。
【な、なんだこの甲板の穴…】「2026年注目の新造船」を写真で見る!
2026年も引き続き、カーボンニュートラルに向けた新造船が続々と登場する見込みです。
「次世代太陽電池」を搭載した新フェリーSHKライングループの新日本海フェリーが2025年11月、舞鶴―小樽航路に新造フェリー「けやき」を就航させました。これに次ぐ2番船の「はまなす」が2026年6月に就航する予定です。建造ヤードは三菱重工業下関造船所。新日本海フェリーと鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)の共有建造船として、三菱造船が受注しました。
船体規模は1万4300総トンで、全長は199m、幅は25.5mです。航海速力は28.3ノット。車両積載台数はトラック約150台、乗用車約30台となっています。既存の「あかしあ」(1万6897総トン)に比べて船体規模をダウンサイジングし、速度を抑えることで、より経済的な運航をできるようにしました。
1番船「けやき」との違いとして、「はまなす」には次世代の太陽電池である「ペロブスカイト太陽電池」が甲板などに設置されます。
折り曲げやゆがみに強く、軽量化が可能なペロブスカイト太陽電池を「はまなす」で使用し、海上環境下での耐候性や最適な取り付け方法の検証、舶用電源設備へ取り込む受電設備の仕様設計などの技術開発を行っていきます。
「LNGの次」も世界初実装LNGと並ぶ次世代燃料として注目されているのが、メタノールです。常石造船がフィリピンの新造ヤード(Tsuneishi Heavy Industries〈Cebu〉)で建造を進めている世界初となるメタノール二元燃料カムサマックスバルカーが2026年1月に竣工する見込みです。カムサマックスバルカーはばら積み船の一種で、従来の重油とメタノールの双方に対応する(二元燃料)船となります。
常石造船が国内で建造したメタノール二元燃料ウルトラマックスバルカー(画像:常石造船)
さらに2月には、中国の常石集団〈舟山〉造船(TZS)でグループ最大となるメタノール燃料5900TEU型コンテナ船が竣工する見込みです。
メタノールは重油と比較してNOx(窒素酸化物)を最大約80%、SOx(硫黄酸化物)を最大99%、CO2を最大約10%削減できるとされており、非化石原料由来のメタノールを活用すれば、GHG(温室効果ガス) 排出量のさらなる削減につながります。
常石造船は2035年までに建造する全船を次世代燃料に対応した船にする方針を掲げています。国内の常石工場(広島県福山市)では2025年5月に世界初のメタノール二元燃料ウルトラマックスバルカー「Green Future」(約6万5700重量トン)が竣工しているほか、同工場で、国内初の水素混焼エンジン搭載タグボート「天歐(てんおう)」が同年10月に引き渡されました。。
LNG燃料では8万2000重量トン型のカムサマックスバルカーを受注済み。もう一つの新燃料として注目されているアンモニア燃料船も、商船三井などと研究開発を行い、中型アンモニア・LPG 輸送船の基本設計承認(AiP)を日本海事協会(NK)と英船級協会ロイド・レジスター(LR)から取得しています。
日本郵船が発注した世界初となる国産エンジンを搭載した「アンモニア燃料アンモニア輸送船(AFMGC)」が2026年11月に竣工予定です。アンモニアは燃焼してもCO2を排出しない環境に優しい次世代のゼロエミッション燃料として注目を集めており、同社はアンモニア燃料船を2030年までに3隻、2031年から2033年にかけて12隻整備する方針です。
建造ヤードはジャパンマリンユナイテッド(JMU)有明事業所。同船は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション(GI)基金事業である「次世代船舶の開発」プロジェクトの一環として開発が進められており、日本郵船とJMUのほか、ジャパンエンジンコーポレーション(J-ENG)、IHI原動機、日本シップヤード、日本海事協会が参画しています。
新造AFMGCの積載容量は4万立方メートルで、全長は180m、全幅は32m。アンモニアの国際海上輸送における主要な船型である中型のガス船となります。日本郵船はアンモニア製造・販売の世界最大手ヤラ・インターナショナル・グループ(ノルウェー)と定期用船契約を結んでおり、舶用燃料としてのアンモニア需要創出など、アンモニアサプライチェーンの構築を図っていきます。
建設会社が導入する「珍し~い巨大船」海洋土木大手の東洋建設が導入する国内最大級となる「自航式ケーブル敷設船(CLV)」が、2026年6月に引き渡される予定です。海底ケーブルを敷設するための船です。建造を手掛けるのはイタリア造船大手フィンカンティエリグループのノルウェー・VARDグループ。同社のルーマニア造船所で組み立てと一次艤装を行った後、ノルウェーで二次艤装と総合試運転を行っていきます。
新造CLVは、成長が期待される日本の洋上風力発電市場への対応と、世界各国での運航という東洋建設のニーズに応えるべくVARDが特別に開発した新たな船型を使用します。
船体の長さは149.6m、幅は28m。大規模な洋上風発や長距離のケーブル敷設を行うため、国内最大となる合計9000トンのケーブルタンクを搭載するとともに、動揺低減機能付きの250トン吊りと100トン吊りのクレーンを設けます。船首側にはヘリコプター甲板も装備。広いデッキは機器の取り外しが可能で、目的に応じてケーブル敷設や着床式風発のジャケット基礎工事などが行えます。
愛子さまがロープを切った「日本初の船」も登場JAMSTEC(海洋研究開発機構)の北極域研究船「みらいII」が2026年11月に竣工する予定です。同船は砕氷機能と船上で海洋環境の研究を行える本格的な観測機能を併せ持つ日本初の砕氷観測船で、JMU横浜事業所磯子工場で建造が進められています。2025年3月19日に開催された命名・進水式には天皇皇后両陛下の長女、愛子さまが出席され、支綱を切断されました。
北極域研究船「みらいII」進水時の様子(深水千翔撮影)
「みらいII」は国際研究プラットフォームとして活用できる設備を整えるほか、LNG燃料が使用できる発電機を搭載。時期によっては北極点付近への到達を目指せる最新鋭の研究プラットフォームとして設計されています。
全長は128m、幅は23m。船体規模は1万3000総トンで、後部甲板にはヘリコプターやドローンの運用を想定して格納庫とヘリ甲板を備えました。
砕氷能力は厚さ1.2mの氷(平坦1年氷)を砕きながら3ノット(約5.6km/h)の速度で航行が可能。北極で得られたデータは調査研究に加えて、北極海航路など氷海域で航行する商船の開発にもフィードバックされることが期待されています。運航業務は商船三井が担います。

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